本編/清書
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「蜂楽廻と連絡が取れない?」
「うん……」
私が涙目で相談をすると、冴くんはまばたきして少し考えたのち。
「ブルーロックプロジェクトに招集されたんじゃないか?」
「ブルーロック?」
私が疑問を投げかけると、冴くんは私の隣に腰掛けてゆっくり説明してくれた。世界一のストライカーを生み出すために、300人高校生サッカー選手が集められてトレーニングしてるらしい。多分スマホを取り上げられて、練習だけに打ち込む環境なのではということだった。冴くんが日本に残ることにしたのも、このプロジェクトが気になるからだそうだ。ちょっと意味が分からないが、廻なら選ばれるだろうし挑戦もするだろう。
「大丈夫かな……」
「サッカーしてるだけだ。大丈夫だろ」
「コートは戦場なんでしょ?」
「いやまぁ。物の例えで……本当に死人出るようなスポーツなら廃止になってるだろ」
「生きるか死ぬかレベルの、最低限の安否を心配してるんじゃないのだわ」
まったく、冴くんはちょっと抜けてて変な人。分からず屋さん。背中を丸めて俯いていると、冴くんは冷蔵庫の中を覗き込んで。
「……アイス、食う?」
「身体冷えるから嫌いなの」
そう答えれば、そういえばそうだったという顔で自分だけ食べ始める。アイスを食べながら、私の隣に座った。窓の外には海が見える。ちゃんと空が見える場所にいる?空が繋がってれば離れても一緒だねって、廻が私を励ましたのに。どこにいるかも分からないなんて、不安で仕方ないわ。
廻が怪我をした時、手当てをするのは私だった。廻はよく友達と喧嘩をして、青タンとか擦り傷が絶えなかった。どこかを擦りむけば水ですすいで絆創膏を貼ってやり、どこかをぶつけて腫れれば氷嚢で冷やした。廻は、怪我の手当ての最中もキョロキョロして落ち着きがなくて。落ち着いて欲しい時の合図は、鼻先にキスを落とすことだった。そうしてやると、廻は少し落ち着いてじっとするのだった。
「もういい?もう動いていい?」
「はいはい、終わったよ」
廻は手当てが終わると、ありがと〜!!と私に抱きついて。パッと離れて、また遊びに出かける。怪我をすると、泣きながら戻ってきて。よく笑うし、よく泣く子だった。
私より身体が大きくなると、私のことを守ろうと背伸びをしていた。私が男に乱暴されてると勘違いして、大喧嘩になったり。どこかへ行こうとすると、必ず行き先を聞いてきた。嘘吐いちゃうこともあったけど。廻はなんでも話を聞いてくれた。人と違うことも、廻には隠さずに話せた。絵を描き続けることも、廻の隣だから出来たのだと思う。廻のサッカーをずっと見ていた。廻のサッカーは、鮮やかで輝いて見えた。
「瑠璃ちゃんもサッカー出来たらいいのにねぇ」
「私には絵があるもの」
「そうだねぇ。よかった!!」
なんの掛け値もなく、これでよかったねと笑ってくれるのに、どれほど救われただろう。蜂楽廻がいないということは、私にとって肺を片方奪われたような気分だ。生きてはいけるのだろうが、全てのことが低下してしまう。世界がセピア色の写真みたいになる。
ブルーロックプロジェクトは、いつまで続くのだろう。先行きの見えない不安で、身体が震える。冴くんが、私の肩をそっと抱き寄せる。自分と違う体温を感じて、少しだけ安まる。
「…………というか、蜂楽廻の母親に連絡すればよかったんじゃないか?」
「あ」
だいぶパニックになっていたのだと知る。追い詰められると、蜂楽廻か糸師冴のどちらかに助けを求めるんだな、私。糸師冴がそこまで深いところに根付いていたことに、驚いて。恥ずかしくなって、冴くんの腕にすがりつくように抱きついた。冴くんは不思議そうにしながら、私の頭を撫でる。廻がいなくても、呼吸はしなくちゃ。冴くんがいたら、出来るだろうか?
「うん……」
私が涙目で相談をすると、冴くんはまばたきして少し考えたのち。
「ブルーロックプロジェクトに招集されたんじゃないか?」
「ブルーロック?」
私が疑問を投げかけると、冴くんは私の隣に腰掛けてゆっくり説明してくれた。世界一のストライカーを生み出すために、300人高校生サッカー選手が集められてトレーニングしてるらしい。多分スマホを取り上げられて、練習だけに打ち込む環境なのではということだった。冴くんが日本に残ることにしたのも、このプロジェクトが気になるからだそうだ。ちょっと意味が分からないが、廻なら選ばれるだろうし挑戦もするだろう。
「大丈夫かな……」
「サッカーしてるだけだ。大丈夫だろ」
「コートは戦場なんでしょ?」
「いやまぁ。物の例えで……本当に死人出るようなスポーツなら廃止になってるだろ」
「生きるか死ぬかレベルの、最低限の安否を心配してるんじゃないのだわ」
まったく、冴くんはちょっと抜けてて変な人。分からず屋さん。背中を丸めて俯いていると、冴くんは冷蔵庫の中を覗き込んで。
「……アイス、食う?」
「身体冷えるから嫌いなの」
そう答えれば、そういえばそうだったという顔で自分だけ食べ始める。アイスを食べながら、私の隣に座った。窓の外には海が見える。ちゃんと空が見える場所にいる?空が繋がってれば離れても一緒だねって、廻が私を励ましたのに。どこにいるかも分からないなんて、不安で仕方ないわ。
廻が怪我をした時、手当てをするのは私だった。廻はよく友達と喧嘩をして、青タンとか擦り傷が絶えなかった。どこかを擦りむけば水ですすいで絆創膏を貼ってやり、どこかをぶつけて腫れれば氷嚢で冷やした。廻は、怪我の手当ての最中もキョロキョロして落ち着きがなくて。落ち着いて欲しい時の合図は、鼻先にキスを落とすことだった。そうしてやると、廻は少し落ち着いてじっとするのだった。
「もういい?もう動いていい?」
「はいはい、終わったよ」
廻は手当てが終わると、ありがと〜!!と私に抱きついて。パッと離れて、また遊びに出かける。怪我をすると、泣きながら戻ってきて。よく笑うし、よく泣く子だった。
私より身体が大きくなると、私のことを守ろうと背伸びをしていた。私が男に乱暴されてると勘違いして、大喧嘩になったり。どこかへ行こうとすると、必ず行き先を聞いてきた。嘘吐いちゃうこともあったけど。廻はなんでも話を聞いてくれた。人と違うことも、廻には隠さずに話せた。絵を描き続けることも、廻の隣だから出来たのだと思う。廻のサッカーをずっと見ていた。廻のサッカーは、鮮やかで輝いて見えた。
「瑠璃ちゃんもサッカー出来たらいいのにねぇ」
「私には絵があるもの」
「そうだねぇ。よかった!!」
なんの掛け値もなく、これでよかったねと笑ってくれるのに、どれほど救われただろう。蜂楽廻がいないということは、私にとって肺を片方奪われたような気分だ。生きてはいけるのだろうが、全てのことが低下してしまう。世界がセピア色の写真みたいになる。
ブルーロックプロジェクトは、いつまで続くのだろう。先行きの見えない不安で、身体が震える。冴くんが、私の肩をそっと抱き寄せる。自分と違う体温を感じて、少しだけ安まる。
「…………というか、蜂楽廻の母親に連絡すればよかったんじゃないか?」
「あ」
だいぶパニックになっていたのだと知る。追い詰められると、蜂楽廻か糸師冴のどちらかに助けを求めるんだな、私。糸師冴がそこまで深いところに根付いていたことに、驚いて。恥ずかしくなって、冴くんの腕にすがりつくように抱きついた。冴くんは不思議そうにしながら、私の頭を撫でる。廻がいなくても、呼吸はしなくちゃ。冴くんがいたら、出来るだろうか?
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