プロトタイプ/落書き
夢小説設定
「こんな夜更けに、何処行く気だ?」
冴くんの声に振り返る。まぁ、そんな全面に不機嫌なオーラ出して。私はブーツを履くのをやめて、玄関のへりに立つ。ちょっとバツが悪くて端っこに寄って、足を揃えて。笑って誤魔化そうとすると、騙されないとばかりに睨みつけられる。
「冴くん、怖い」
「怒らせてんのはあんただ」
「怒るようなこと?」
私が訊ねれば、冴くんは少しだけ表情を緩めて、大きくため息を吐いた。弱々しく右手を差し出すので、両手で握ってやる。冴くんは苦しそうに顔を歪めた。
「……俺には、口出しする権利がないってこと?」
「んーどうでしょう。私、性欲と愛情は別腹なのよね」
あけすけに、自分の正直な価値観を伝える。冴くんは、目線を落として繋がれた手を見つめていた。指を絡めて、握ってを繰り返す。
「どっちの腹も俺で満たせばいいだろ」
「冴くんはまだ子供だもの」
「いつまで言ってんだそれ?」
冴くんが手を強く引っ張るからつんのめる。そのまま、冴くんの胸に抱き止められる。ぎゅーって、私のことも考えずに抱き締めるのが好きよね。結構苦しいのだけど。
「なぁ、なんで?なんで頑なに俺と寝ようとしない?」
「……本音を言ったら、冴くん怒るでしょう」
「言ってみなくちゃ分からないだろ」
「男が逆上するかもしれないこと、女が恐れずに言えるとでも思って?」
冴くんは、辛そうに呼吸をして。私のことを掻き抱く。なんで、どうしてとか細く呟きながら。可愛らしい人。傷つけたくないのよ。私という絵の具で、貴方が汚れるのが耐えられないの。それから、貴方という首輪が、自分の首を絞めることになるのだって嫌。先のことを考えると、憂鬱になってしまう。嫌なことばかり。冴くんが私に夢中になることが、忍びなくて窮屈で。もっと私は、なににも縛られずに自由に生きたい。糸師冴に収まりたくない。でも、それを言ったら貴方苦しむでしょう。まだ自分が何者なのか、悩んでいる子供には酷な話だ。
「愛してるから、どこにもいかないで」
「愛してるの意味、ちゃんと分かる?」
「教えてくれればいいよ、瑠璃さんは知ってるんだろ」
「どうかしらね」
はぐらかせば、噛みつくようにキスをされた。そんな乱暴なこと、教えてないけれど。目で訴えれば、しおらしく離れていく。ごめんなさい、と小さく溢す。冴くんはまた私の手を握ると、部屋の方へ引っ張っていく。私は抵抗せずに引きずられていった。
「こんな夜中に、女がフラフラと出かけたら危ない」
「正論を言って自分のこと正当化しようとしてるの?」
「瑠璃さんの心配をしてる。俺の気持ちは、……どうだっていい」
少し落ち着きを取り戻した瞳で、淡々と冴くんは話した。ソファーに横並びで座って、肩を抱かれた。冴くんは私に頭を傾けて、あくびをした。途端に平穏な、刺激のない幸せな空間になる。私もあくびが出た。こんな夜だって好きよ、貴方となら。でも、どうしたって燻る欲の火は消えないのだから、発散くらいさせて欲しいものね。そんな醜い火花、貴方に見せたくないんだもの。
「瑠璃さんが幸せなら、なんだっていいから。なんでもする」
「放っておくことは出来ないくせに」
「……ごめん。それだけは出来ない」
冴くんが頭を起こし、私をじっと見つめる。知らないフリをしていたら、頬に手を添えて冴くんの方を向かされる。冴くんが優しい眼差しを私にそそぐ。そんな愛、私は知らないんだってば。
「キス、していい?」
「……お好きにどうぞ」
冴くんは嬉しそうに瞳をキラキラさせて、優しい口付けを繰り返した。キスだけでそんなに盛り上がっちゃうお子様には、まだ私は早いわよ。
冴くんの声に振り返る。まぁ、そんな全面に不機嫌なオーラ出して。私はブーツを履くのをやめて、玄関のへりに立つ。ちょっとバツが悪くて端っこに寄って、足を揃えて。笑って誤魔化そうとすると、騙されないとばかりに睨みつけられる。
「冴くん、怖い」
「怒らせてんのはあんただ」
「怒るようなこと?」
私が訊ねれば、冴くんは少しだけ表情を緩めて、大きくため息を吐いた。弱々しく右手を差し出すので、両手で握ってやる。冴くんは苦しそうに顔を歪めた。
「……俺には、口出しする権利がないってこと?」
「んーどうでしょう。私、性欲と愛情は別腹なのよね」
あけすけに、自分の正直な価値観を伝える。冴くんは、目線を落として繋がれた手を見つめていた。指を絡めて、握ってを繰り返す。
「どっちの腹も俺で満たせばいいだろ」
「冴くんはまだ子供だもの」
「いつまで言ってんだそれ?」
冴くんが手を強く引っ張るからつんのめる。そのまま、冴くんの胸に抱き止められる。ぎゅーって、私のことも考えずに抱き締めるのが好きよね。結構苦しいのだけど。
「なぁ、なんで?なんで頑なに俺と寝ようとしない?」
「……本音を言ったら、冴くん怒るでしょう」
「言ってみなくちゃ分からないだろ」
「男が逆上するかもしれないこと、女が恐れずに言えるとでも思って?」
冴くんは、辛そうに呼吸をして。私のことを掻き抱く。なんで、どうしてとか細く呟きながら。可愛らしい人。傷つけたくないのよ。私という絵の具で、貴方が汚れるのが耐えられないの。それから、貴方という首輪が、自分の首を絞めることになるのだって嫌。先のことを考えると、憂鬱になってしまう。嫌なことばかり。冴くんが私に夢中になることが、忍びなくて窮屈で。もっと私は、なににも縛られずに自由に生きたい。糸師冴に収まりたくない。でも、それを言ったら貴方苦しむでしょう。まだ自分が何者なのか、悩んでいる子供には酷な話だ。
「愛してるから、どこにもいかないで」
「愛してるの意味、ちゃんと分かる?」
「教えてくれればいいよ、瑠璃さんは知ってるんだろ」
「どうかしらね」
はぐらかせば、噛みつくようにキスをされた。そんな乱暴なこと、教えてないけれど。目で訴えれば、しおらしく離れていく。ごめんなさい、と小さく溢す。冴くんはまた私の手を握ると、部屋の方へ引っ張っていく。私は抵抗せずに引きずられていった。
「こんな夜中に、女がフラフラと出かけたら危ない」
「正論を言って自分のこと正当化しようとしてるの?」
「瑠璃さんの心配をしてる。俺の気持ちは、……どうだっていい」
少し落ち着きを取り戻した瞳で、淡々と冴くんは話した。ソファーに横並びで座って、肩を抱かれた。冴くんは私に頭を傾けて、あくびをした。途端に平穏な、刺激のない幸せな空間になる。私もあくびが出た。こんな夜だって好きよ、貴方となら。でも、どうしたって燻る欲の火は消えないのだから、発散くらいさせて欲しいものね。そんな醜い火花、貴方に見せたくないんだもの。
「瑠璃さんが幸せなら、なんだっていいから。なんでもする」
「放っておくことは出来ないくせに」
「……ごめん。それだけは出来ない」
冴くんが頭を起こし、私をじっと見つめる。知らないフリをしていたら、頬に手を添えて冴くんの方を向かされる。冴くんが優しい眼差しを私にそそぐ。そんな愛、私は知らないんだってば。
「キス、していい?」
「……お好きにどうぞ」
冴くんは嬉しそうに瞳をキラキラさせて、優しい口付けを繰り返した。キスだけでそんなに盛り上がっちゃうお子様には、まだ私は早いわよ。