可能性の話
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『どうせ暇してるんだろう。ちょっと付き合え』
風間からそんな雑な連絡が着たのは2時間前。現在、駅前で待ち合わせて適当な昼食を探している。私達が遠征から帰ってきたのが3日前だっけ。今夜は久々に同い年で飲もうという話になっている。
「風間はなに食べたいの」
「カツカレー」
「またですか」
「俺はなにも悪いことはしていない」
「いや、悪いとは言わないけど」
どこにでもある、安心安定のチェーンカレーショップに入店する。私はライス大盛りで甘口カレーを、風間はダブルサイズのカツカレー。私もこいつも、小さい身体のどこに入っていくんだろうなこれ。
「「いただきます」」
特に会話もなく、黙々とスプーンを口に運ぶ。水がなくなったので自分の分を注いでいたら、風間が黙ってコップをこっちへ寄越す。
「なにか言うことがあるんじゃありませんか?」
「…………頼んだ」
別に構いやしないので、頼むと聞こえる前に注いでやった。風間のが量があるので、私の方が早く食べ終わる。水を飲みながら、店内に設置されたテレビを眺めた。
「ごちそうさま」
隣を見れば、大皿はキレイに平らげられていた。ふう、と風間が一息つく。
「で?今日なんで呼ばれたんですか私」
「遠征で頑張っていたから、三上になにか買ってやろうと思ってな」
「ほーん」
アドバイスしろってか。あんま参考にならん気もするけど。
「私にはなにかあったりしないんですか?」
「は?お前は自分で買うか太刀川にでも買ってもらえ」
「おっしゃる通りで……」
目的は分かったので、さっさと2人で店を出る。
駅ビルの中、あれこれ雑貨やアクセサリーなどを見て回る。
「身につけるもの、意外とみんなこだわりあるから貰っても困ると思うよ」
「まぁそうだな」
「でも消え物もちょい寂しいよねー」
「なるほど」
調理器具のコーナーを、なんとなしに見る。風間はペッパーミルを手に取ってカラカラ捻った後、何事もないように元の位置に戻した。そのあとも、あれこれ触れては戻して。ちゃんと考えてるのか?
「小林」
「はいよ」
「お前、弓場とは仲直り出来たのか?」
「あー……半分?」
曖昧に答えると、風間はふっと少し笑い。
「仲直りに半分とかあるか?」
「いやぁ問題は火急速やかに解決とはいかなくてですね……」
「お前のせいだろうどうせ」
「そんなこと……あるかなぁ」
店を移動する。他の店の軒先で、お守りマスコットが籠にいっぱい売られていた。風間が興味を示すので、2人で全種類集めて見比べるために漁り出した。
「結局お前は誰が好きなんだ」
「好いてくれる人が好き」
「でも弓場ではないんだろう?」
「あっ、紫なんかもある」
青、赤、黄、紫、ピンク。色とりどりのお守りが並ぶ。風間は赤を手に取った。会計に向かうようだ。
「お前が好きなのは雷蔵だろ」
返す言葉がなく、店の前に突っ立っていた。やがて風間が戻ってくる。風間は私の顔を見ると、ため息を吐く。
「別に特定の好きな奴がいるのは普通のことだろ」
「いや、まぁ。うん」
「それで誰かを傷つけたとしても、お前のせいじゃない」
「そうか?」
「勝手に誰かがお前を好きで、勝手に失恋した。お前に責任はない。概ね」
「概ね?」
風間は私に包装されたなにかを突き出す。受け取って中身を見れば、先ほどのマスコットが。黄色のお守りは、私に似合うだろう。
「お前はその気が無いのに人を振り回すクセがある。そこだけ減点だ」
「……そうですか」
風間が歩き出すので、隣を歩幅を揃えて歩く。この方角は、カフェラメールに行くんだろう。
「風間、お守りありがとう」
「ふん。せいぜい大切にしろ」
風間は少し照れくさいのか、そっぽを向いた。良き友人を持ったと思う。今夜も楽しく過ごせそうだ。……恋愛のことは、忘れていたい。風間はそれじゃダメだぞって言いたいんだろうけど。誰も傷つけず誰にも支配されず、自由でいたいだけなんだけどなぁ。
風間からそんな雑な連絡が着たのは2時間前。現在、駅前で待ち合わせて適当な昼食を探している。私達が遠征から帰ってきたのが3日前だっけ。今夜は久々に同い年で飲もうという話になっている。
「風間はなに食べたいの」
「カツカレー」
「またですか」
「俺はなにも悪いことはしていない」
「いや、悪いとは言わないけど」
どこにでもある、安心安定のチェーンカレーショップに入店する。私はライス大盛りで甘口カレーを、風間はダブルサイズのカツカレー。私もこいつも、小さい身体のどこに入っていくんだろうなこれ。
「「いただきます」」
特に会話もなく、黙々とスプーンを口に運ぶ。水がなくなったので自分の分を注いでいたら、風間が黙ってコップをこっちへ寄越す。
「なにか言うことがあるんじゃありませんか?」
「…………頼んだ」
別に構いやしないので、頼むと聞こえる前に注いでやった。風間のが量があるので、私の方が早く食べ終わる。水を飲みながら、店内に設置されたテレビを眺めた。
「ごちそうさま」
隣を見れば、大皿はキレイに平らげられていた。ふう、と風間が一息つく。
「で?今日なんで呼ばれたんですか私」
「遠征で頑張っていたから、三上になにか買ってやろうと思ってな」
「ほーん」
アドバイスしろってか。あんま参考にならん気もするけど。
「私にはなにかあったりしないんですか?」
「は?お前は自分で買うか太刀川にでも買ってもらえ」
「おっしゃる通りで……」
目的は分かったので、さっさと2人で店を出る。
駅ビルの中、あれこれ雑貨やアクセサリーなどを見て回る。
「身につけるもの、意外とみんなこだわりあるから貰っても困ると思うよ」
「まぁそうだな」
「でも消え物もちょい寂しいよねー」
「なるほど」
調理器具のコーナーを、なんとなしに見る。風間はペッパーミルを手に取ってカラカラ捻った後、何事もないように元の位置に戻した。そのあとも、あれこれ触れては戻して。ちゃんと考えてるのか?
「小林」
「はいよ」
「お前、弓場とは仲直り出来たのか?」
「あー……半分?」
曖昧に答えると、風間はふっと少し笑い。
「仲直りに半分とかあるか?」
「いやぁ問題は火急速やかに解決とはいかなくてですね……」
「お前のせいだろうどうせ」
「そんなこと……あるかなぁ」
店を移動する。他の店の軒先で、お守りマスコットが籠にいっぱい売られていた。風間が興味を示すので、2人で全種類集めて見比べるために漁り出した。
「結局お前は誰が好きなんだ」
「好いてくれる人が好き」
「でも弓場ではないんだろう?」
「あっ、紫なんかもある」
青、赤、黄、紫、ピンク。色とりどりのお守りが並ぶ。風間は赤を手に取った。会計に向かうようだ。
「お前が好きなのは雷蔵だろ」
返す言葉がなく、店の前に突っ立っていた。やがて風間が戻ってくる。風間は私の顔を見ると、ため息を吐く。
「別に特定の好きな奴がいるのは普通のことだろ」
「いや、まぁ。うん」
「それで誰かを傷つけたとしても、お前のせいじゃない」
「そうか?」
「勝手に誰かがお前を好きで、勝手に失恋した。お前に責任はない。概ね」
「概ね?」
風間は私に包装されたなにかを突き出す。受け取って中身を見れば、先ほどのマスコットが。黄色のお守りは、私に似合うだろう。
「お前はその気が無いのに人を振り回すクセがある。そこだけ減点だ」
「……そうですか」
風間が歩き出すので、隣を歩幅を揃えて歩く。この方角は、カフェラメールに行くんだろう。
「風間、お守りありがとう」
「ふん。せいぜい大切にしろ」
風間は少し照れくさいのか、そっぽを向いた。良き友人を持ったと思う。今夜も楽しく過ごせそうだ。……恋愛のことは、忘れていたい。風間はそれじゃダメだぞって言いたいんだろうけど。誰も傷つけず誰にも支配されず、自由でいたいだけなんだけどなぁ。