月明かりの下で
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夕暮れの中、帰り道を久々に3人で歩いた。
宗介とのことがあったからか、試合で疲れたか、……たぶん、ほかの理由なのか。
やっぱり会話がなかったし、何か話せるようなこともなかった。
「ハル、今日こそご飯食べにおいでよ」
「……え?」
真琴の言葉に思いがけず足を止めた。
てっきり、真琴の家でご飯を食べてると思っていた。
「いい、家で食べる」
振り返らずに階段を上っていくハルの背中を見送った後、私は真琴を向いた。
「……もしかしてハル、ずっと家で食べてるのか?」
「うん……。何とかするってそれっきりで……」
それを聞いて、嫌な予感がまた湧いた。
***
家について、部活のジャージからラフな服に着替える。
夕飯を透兄と紺と食べて片付けをした後、自分の部屋のベッドで膝を抱えた。
ぐるぐる考えるのは、皆のこと。
特に元気がない真琴と、いつもと違う泳ぎのハル。
凛の手紙をバッグに入れたときの、ハルの辛そうな表情。
……悩むより、会って話したい。
もう夜だけど、ハルたちの家は近くだから大丈夫だろう。
そう思った私は愛用の白いパーカーを上に着て、スニーカーを履いてから家を出た。
そのときだった。
「あ、アオ!」
「わっ」
階段を駆け下りてきた真琴にぶつかりそうになった。
ハルが困惑気味の表情で手をつかまれている。
「ど、どうしたんだ。こんな時間に……」
そう聞こうとしたとき。
真琴の手が私の手をつかんで駆け出した。
引きずられるように私も走り出す。
ハルも追いつくように走っていた。
思いがけない真琴の行動に、早いリズムで心臓が跳ね出す。
「一緒に来てほしいんだ!」
真琴が少し振り返り、また前を見る。
風までも切っていくような走り方は、どこか今までの迷いを振り切るように見えた。
ついた場所は、岩鳶SCだった。