不死鳥に贈るセレナーデ
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彼女を欲しいと思ったのは、いつからだろう。
世の中じゃ嫌われ者のおれたちに、当たり前のように向けてくる、温かさでくるんでしまうような眼差し。
優しく撫でたり、触れたりしてくれる手のひら。
複雑そうな楽器を弾きこなす細い指。
笑っちまうくらい愉快な歌も、星空の下が似合う穏やかな歌も、悪役が考えたような不穏な歌も、巧みに歌い上げる色鮮やかな声。
清浄な親愛を惜しみなく注いでくれるのに、目を離せばいつの間にか、手の届かないところへ心の向くままに行ってしまう。世界に向かって羽ばたいていき、心を震わせる歌声を響かせていく姿は、自由なサヨナキドリのようで。
その姿を美しいと思うと同時に、次に目の前に現れたら、絶対に捕まえたいという気持ちが強くなっていた。
今度こそ、繋いだ手を離さないように。自分の隣にいてほしいと伝えるために。