【番外編】心に残る歌を教えて
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「お前もキャロルの歌知ってんのか!?」
昔トーンダイアルに残した思い出の歌を聞き返していたとき、ルフィさんが目を輝かせて話しかけてくれました。聞いてみると、ルフィさんも子どもの頃に、彼女から歌を聞かせてもらっていたそうです。不思議な縁ですね。
「彼女の歌を聞いたとき……まるで、魔法にかけられたようでした」
白黒の鍵盤に指を置き、教えてもらった曲の1つを奏でながら、彼女のことを思い出す。
楽しく悲しい仲間たちとの思い出に囲まれて、孤独だった私の前に現れたお嬢さん。
誰かの物語を通して、自分の感情を見つけるような、共感できる歌。明るく楽しい歌。ゆったりとした心安らぐ歌。おどろおどろしい雰囲気の歌。
私が知らない歌を、たくさん教えてもらった。
ピアノに合わせて口ずさむのは、『そばにいて』。魔女に騙されて、おとぎの国とは正反対の世界に追放された姫君の物語に出てくる歌。
彼女とワルツを踊る間は、辛かったことや寂しかったことを忘れてしまえた。
一人きりで暗い海を漂う生活に戻っても、彼女がくれた歌と物語は、小さなロウソクの明かりのように心を慰めてくれた。
本当は、あのままいつまでも、ずっと一緒にいたかった。
2人で過ごした美しい日々を夢に見る度に、まだ覚めないでほしいと何度願ったか。
「……また、いつか。お会いしたいですね」
影を取り戻し、霧の中から抜け出せた今なら。新しい仲間と出会えた今なら。また会えるかもしれない。あの日のように、そばにいられる日が来るかもしれない。
新しく生まれた希望と夢が、胸骨の辺りに満ちるのを感じながら、私は鍵盤から手を離した。