オレンジは女のコの香り
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「いだだだだだ!!!」
「旭、声落としてくれ……。耳痛い……」
岩鳶中のプールサイドで、それはそれは辛そうな悲鳴が上がった。
今は放課後の、部活の時間。
うっしゃ泳ぐぞー!!と気合を入れて、プールに入ったとき。
足にビキリと痛みが走り、俺は泳ぎ出せずに「いでェー!」と叫んでしまった。
久しぶりに足をつったオレは今、同じ1年で水泳部マネージャーの、アオのお世話になっている。
慣れてるのか、アオはオレをプールサイドに座らせたあと、何のためらいもなく応急処置にかかった。
グッグッ、とオレのつま先を内側にたおして、つったところを伸ばしてもらってる。
「次からはちゃんと水とか飲むんだぞ?」
「おう……。気をつける」
かがみ込んでるから、俺の方からだとアオのつむじが見える。
あとアオが伏し目になってるから、まつ毛が長えのが分かる。
てか距離けっこう近ぇー……。
教室や部室で話してるときとは違う距離感に、なんかソワソワしてきたとき。
ふわり。
何だかいい匂いが、鼻先をかすめた。
前に姉ちゃんが使ってた甘ったるい感じのじゃなくて、もっとサッパリした感じだ。
アオって口調はちょっと男みたいだけど、ちゃんと女子っぽいとこあるんだなー。
なぜか感激してしまう。
(でもなんか、どっかでかいだよーな……?)
すっきりと爽やかで甘酸っぱくて、まるで果物みたいな────。
「……え、と……何か変、か?」
「へ?……って、あ!」
とまどったみたいなアオの声に、ハッと気がつく。
オレはいつの間にか、アオの髪に鼻を近づけてた。
「わっわりィ!なんかいい匂いしたから!」
「あ……もしかして、シャンプーか?オレンジの香りのを使ってるんだ」
「あー!それだ!どっかでかいだと思った!」
オレンジかー!
スッキリした気持ちでオレは言った。
「いつまで足つってんの。てかアオの髪に顔近づけて、何してたのさバカ旭」
「あのなーアオからthe女子!って感じのいい匂いしてさー、そしたらオレンジだった!」
「……犬じゃないんだから……」
「誰が犬だよ!」