プールの片隅で先輩と
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ホースから噴出された水が、噴水のように高く上がる。
今日は水泳部全員でプール掃除。
暑い中使う水ではしゃいでしまうのか、ひと遊び始めるやつもいた。
ちなみに俺もその1人。
尚の呆れたような笑顔ももう慣れた。
水から逃げるにぎやかな声と楽しげな笑い声。
それらを聞きながらホースで水をまいていると、もくもくとプールの床をこする蒼を見つけた。
ときおり歓声が起きるほうを見て、くすりと微笑んでいる。
1歩離れてこちらを見ているあいつを輪の中に引き入れたいと思っていた俺は、蒼の方へ歩いていった。
***
「蒼ー、水いるかー?」
デッキブラシで汚れを落としていたとき、様子を見に来たらしい夏也先輩が話しかけてきた。
「お願いします」
ぺこりと頭を下げて少し離れると、さっき磨いていたところに水がまかれる。
向こうからまた声が上がった。
「みんな楽しそうですね」
「あ〜……、俺もちょっと楽しんじまったしな」
小さく笑って言うと、先輩は照れくさそうに濡れた前髪をあげた。
こうして並んでみると、夏也先輩はやっぱり体が大きいな……。
「夏也先輩、背が大きいですね」
「ま、中3男子だからな!成長期だしまだ伸びるぜ?」
「……私も伸びますかね?」
「どうだろうなー……」
そんな話をしながら掃除をする。
水を吸った白いTシャツが先輩の体に張り付いていて、なぜかドキドキと胸のあたりが跳ね始める。
「蒼は仕事してるとき、ちょっと楽しそうだよな」
「……そ、そうですか?」
「おう。いつも一生懸命だし、見てると俺も頑張んなきゃなって思う」
いきなり話をふられて驚くも、続いた褒め言葉に顔が赤く染まる。
耳たぶを指で少しいじると、夏也先輩が言った。
「赤くなったとき、耳にさわるよな。照れたときの癖なのか?」
「えっ……」
耳にふれる指の感触と太陽みたいにまぶしい笑顔に、息が止まりそうになった。
しゅうう……と顔に熱が集まるのを、どうしても止められない。
「あっ!わ、悪い」
夏也先輩はそんな私に気づき、あわてて手を離した。
私はぶんぶん首を横に振り、大丈夫だということを伝える。
「夏也、遊んでないで掃除してね。部長でしょ」
そのとき上から降ってきた柔らかな声に、2人で文字通り飛び上がった。