口下手の主張
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最近、アオを見るともやもやする。
「蒼ー、タイム計ってくれ!」
「蒼、ちょっと手伝ってくれない?」
「見ろアオ!ミズカマキリいた!」
一見、無表情で大人びた雰囲気だけど、本当は真面目で一生懸命。
器用で意外と素直だし、綺麗な子だからけっこう好かれている。
でもなぜか最近、アオが他の人と話してるのを見ると胸のあたりがもやっとするようになった。
……なんでだろう。
「郁弥、どうかしたのか?」
気づくとアオがそばに立っていた。
僕の目を真っ直ぐのぞき込むようなひたむきな目は、まだ少し慣れない。
「……べ、別になんでもない」
思わず視線をそらしてしまう。
目を合わせたままだと、顔が熱くなりそうだから。
「……でも、少し元気ない?」
……アオの目が真っ直ぐなのは、彼女自身が人と心ごと向き合おうとしてるからなのかな。
思い切って、アオのジャージの袖をちょっとつまんだ。
うつむいたまま、視線だけ上げる。
「…………タイム、計って」
震えそうになるのを抑えたから ぶっきらぼうに聞こえただろうけど。
「わかった」
アオはこくんとうなずいてくれて。
和らいでる表情に、胸の奥がきゅっとした。
できることなら、もっと話したい。
もっと隣にいたい。
そんな本音の向こうの本心に、僕はまだ気づいていなかった。