好こ好こスコーン


スコーンをご存知だろうか。
スコットランドで生まれた英国菓子の定番。スコットランド地方に伝わる速成パン「バノック」が派生したものと考えられているらしい。16世紀頃には存在していたとされ、ベーキングパウダーやオーブン等の普及を経て、19世紀中頃に現在の形が完成したと言われている。

名前の由来は、スコットランドのスコーン城にあった「運命の石」(The stone of Scone)と考えられている。歴代のスコットランド王が、この上で戴冠式を行ったという、神聖なものらしい。椅子の土台に使われていたという運命の石は、もとはツタンカーメン王(古代エジプト)の王座下にあったものとも言われている。素朴な見た目の割に、意外とロイヤルな逸話のあるお菓子である。

形は円筒型、四角、三角と様々。イギリス式は丸い形で、クロテッドクリームとジャムをつける。アメリカ式は三角形で、チョコやナッツが練り込まれているのが、大きな違いだろう。焼き上がりにできる側面の割れ目は、「狼の口」と呼ばれ、そこに沿って手で割るのがいいらしい。「神聖なものには刃を入れない」という慣習から、ナイフで切ったり縦に割ったりするのはおすすめできないと言われている。

余談だが、イタリアのことわざで『オオカミの口の中へ!』は、「頑張れ!」の表現になるらしい。


スコーンの食べ歩きにハマっていることを、母と姉に話したら、「お嬢様じゃん」と言われた。お紅茶と一緒にたしなんでおりますの。ホホホ。

スコーンにハマったのは、鳩見すたさんの小説『おしゃべりオコジョと秘密のアフタヌーンティー 霧摘み紅茶と日向夏のタルト〜冬毛のオーナーを添えて〜』(メディアワークス文庫)を読んだ影響。私がスコーンに魅せられた以下の描写は、作品からの引用だ。

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きつね色に焼けたスコーンからは、ほくほくと香ばしい匂いが漂っていた。
僕はクリームの上に、イチゴのジャムを塗った。
スコーンの熱でクリームが少し溶けていて、なんとも食欲をそそられる。
ひとくちかじると、外側のさくさく感がまずおいしい。
続くこってりしたクリームには、罪悪感を覚えるうまさがある。けれどイチゴジャムの健全な甘酸っぱさが、それを「ギリセーフ」のラインまで戻してくれた。
最後に生地が口の中でほろほろ溶けると、すぐに二口目が欲しくなる。

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食べ比べてみると、みんな違ってみんな美味しい。プレーンもいいし、紅茶やドライフルーツやチョコが混ざってるのも良き。

定番のクロテッドクリームだけじゃなく、ホイップクリーム、マスカルポーネクリーム、サワークリームと、お店によって添えられるクリームが違うのも素敵。クリームとジャムをたっぷり盛って、パクッとかじるのが大好き。

ちなみにクロテッドクリームは、乳脂肪分の高い牛乳を時間をかけて煮詰めて作るそうだ。スコーンを食べるまで知らなかったこのクリーム、生クリームより重くバターより軽い乳製品らしい。イングランド南西部のデボンシャー地方の特産品で、伝統的なクリームとも言われている。北海道の十勝しんむら牧場のクロテッドクリームも、「過去一旨い」とSNSでおすすめしている人がいたため、一度食べてみたいものである。

紅茶とスコーンのクリームティーセットで、私が特に好きな組み合わせは、クロテッドクリームと苺ジャム。スコーンの形は円筒型が好き。いつもクリームを先に乗せる「デヴォン式」で食べている。特に気にしないで乗せてるけど、デヴォン式の方がジャムの色が見えやすくて綺麗な気がする。ちなみに「コーンウォール式」は、ジャムを先に乗せるスタイルのことだ。


参考文献
・『おしゃべりオコジョと秘密のアフタヌーンティー』/鳩見すた/KADOKAWA
・『菓の辞典』/長井史枝(テキスト)/雷鳥社
・『令嬢のマナーと教養図鑑 英国令嬢のすてきな暮らしかた50Topics』/下条智恵子・青木美沙子(監修)/Gakken
・『猫と紳士のティールーム 2』/モリコロス/コアミックス
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