そうです、私がFree!の敬虔な信徒です



『Free!』。
それは消えない眩しさ。澄んだ希望の名。

そのアニメに出会ったのは、中学1年生の時でした。

休日の夜。のんびりアニマックスで『黒子のバスケ』を見ていた時のこと。まだお風呂の時間が回ってこなかったので、次に放送するアニメも見ました。

どんな話かな。この『Free!』ってアニメ。

シンプルな英語のタイトルを新鮮に思っていた時、耳に飛び込んできたのは、「水は生きている」という言葉。目に飛び込んできたのは、美しい青の世界。透き通る水。個性豊かな少年たち。

遅刻するかもしれないのに、水着の上にエプロンをつけて、鯖と食パンを焼き始める主人公。そんな彼にツッコミを入れつつ、優しく見守る幼なじみ。廃墟の水が無いプールに、水着で飛び込もうとする主人公とライバル。夜のプールに裸で飛び込む無邪気な少年。かっこよさとコミカルなシーンのバランスがちょうどよく、気づいたら笑いながら、夢中で惹き込まれていました。

1話を見終わり、次の2話も当然見ようとしたところ、無情にも回ってくるお風呂の時間。母に怒り混じりで急かされながらも、戸の影からこっそり2話のラストを見たのが、まだ記憶に残っています。

それが始まりでした。
アニマックスで9話と10話も見て、その後別のチャンネルでちゃんと放送された全話を見ました。
怜ちゃんとマコちゃんが海に呑まれかけた5話を見て、(9話と10話は見ていたものの)2人が無事かどうか気になってたまらず、自らネタバレを探しに行って安心した思い出があります。

名前を呼ぶ場面だけでときめくアニメなんて、まだ『Free!』しか見たことがありません。1期3話で怜ちゃんが、初めて渚の名前を呼ぶシーン。1期12話で、お互いに苗字呼びだった凛ちゃんとアイちゃんが、初めてお互いの名前を呼ぶシーン。2期未放送の14話で、ハルちゃんと宗介がお互いの名前を呼ぶシーン。全部おすすめです。

ファンブックを買って、それまで漠然と捉えていた、キャラクターに声を当てている声優さんたちの存在を、はっきりと知りました。

人生で初めて買ったCDは、『岩鳶高校水泳部 活動日誌1』でした。当時はお金が足りなくて、2つめのドラマCDが買えなかったのですが、今思えばそれで良かったと思います。数話しか知らない時点で見てたら、結構キャラ崩壊が多い印象だったので。

毎月のおこづかいを全額貯金して、奇跡的に初回特典付きのDVDを全部揃えることができました。Free!と名のつくコンテンツは大体揃えようとしてましたね。京アニショップ関連は、当時通販の使い方を知らない上に、通販の登録ができなかったので、無理でした。今はできる。大人なので。

サウンドトラックを買って、テレビに流れるBGMから、Free!の曲を聞き分けられるくらい聴き込んだ。
キャラクターソングCDを買った。
アニメのくじを引いた。
夢小説サイトを作った。
1話を見ただけで心を奪われた。
疲れてる時、辛い時、苦しい時、見ただけで全回復できた。

全部、『Free!』が初めてでした。

全話を見た後、2期の発表がされ、そのまま熱を冷ますことなく『Eternal Summer』へ。
当時は『Free!』が自分の好みドンピシャ過ぎたせいで、「Free!さえあればいい」「Free!があるから、他のアニメはいらない」と思っていました。『Free!』以外のアニメを見ることは浮気だとまで思っていたし、他のアニメに一切の興味を向けられませんでした。

おかげで、他のアニメを勧めてくれる姉に泣かれました。「これも面白いよ。こっちも見てみようよ」と。その節は本当にごめん、姉。

後に「お前は『Free!』教の敬虔な信徒」と姉に言われました。言い得て妙です。あの時の私はさながら操を捧げた修道女でした。

今は他の作品もちゃんと見ています。好きな作品が多いと、何かあった時の心の支えがたくさんできるので。でも『Free!』が心の中で、殿堂入りしているのは変わりません。

高校入試を控えた時期、最後の楽しみとして映画館に見に行った『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』。あの日は自分なりにおめかしして、髪も緑色のヘアゴムでハーフアップに結びました。
情報を知る前は、中学生編ということで、女性声優さんが声を当てるのかと少し物足りなく思っていました。でも、男性声優さんだったので安心。渚や怜ちゃんの声は女性声優さんでしたが、「Free!-Starting Days-」にピッタリだったので、あれはあれで良き。


『Free!』を見ているうちに、気づいたら箱推しかつ、マコちゃんこと橘真琴くんが最推しになってました。
優しくて面倒見がよくて、声が甘くて、力持ちで手先が不器用で、大きな体つきで怖がりなのが可愛くて、泳ぎがダイナミックでかっこいい人。後の推しキャラに筋肉がしっかりついてるタイプがいるのは、『Free!』の影響かもしれない。おかげでシャチのぬいぐるみを買ったり、シャチの絵をTシャツに描いたりしました。2期の8話はマジで神回。マコちゃんマジ熾天使。

2期のイラストレーションワークスについてるドラマCD『星空のバブリング』で、マコちゃんの誤魔化し方がド下手くそな声の調子が可愛すぎる。嘘つくの苦手なの可愛いね……。

茶の間でDVDを何度も再生しているので、祖母がマコちゃんのことを「タレ目ちゃん」と呼んでいるのが面白い。


高校生の時は、休日登校の帰りに『Free!』のイベントのレポをTwitterで見て、羨ましがっていました。
でも大人になって、運良くチケットが当選し、自分の意志とお金と行動力で埼玉まで行くことができました。誰の許可を得なくても、自分の意志だけで動けるって素晴らしい。人生初イベントが『Free!』の10周年イベントで、本当に良かったです。本祭は、白い花の刺繍がある、お気に入りのミントグリーンのカットソーで臨みました。『Free!』の痛バッグやグッズ、推しカラーや水泳部の黄色いTシャツを身につけたお兄様やお姉様たちが、さいたまスーパーアリーナの方に向かっていくのを駅で眺めていました。なかなか壮観でした。世の中の『Free!』好きたちが、一堂に会しているのに感動しました。

当時は地獄の3ヶ月間を必死で乗り越えた後だったので、席が比較的前の方だったのは、神様からのご褒美に違いないと思いました。あの涙の日々はこの日のためにあったんだと、辛かった時間が報われる気持ちでした。
当選するだけで御の字だと思っていましたが、声優さんたちが喋って動いて歌っているのを肉眼で見られるのは幸せでしたね。「本当に彼らはこの世界で生きているんだ」と実感しました。この話を姉にしたら、「お前は声優さんたちを、妖精さんか何かと思ってたの?」と突っ込まれました(笑)。
『Free!』に費やしてきた10年間が、前夜祭と本祭で昇華されたような気がしました。


幼稚園、小学校、中学校、高校、大学まで、キャラクターたちの成長過程を見ることができたのは初めての経験です。ありがたい。そして1期では、愛想を振りまくことなんて一切しなかったハルちゃんが、ウインクを覚え微笑みを浮かべるまでに成長する姿を見届けました。これはいつ見ても感慨深いな。

***

『Timeless Medley』、『Take Your Marks』を経て、迎えた『Dive to the Future』。
すれ違い続けるハイスピメンバーと、freeメンバーに焦れったく思っていたので、ようやく2つの世界が繋がって嬉しかったです。ハイスピとfreeのクロスオーバーを見てるような感覚でした。

ただ個人的には、爽やかで透明で、性格が悪い人が出てこない『Free!』を心から愛していたので、『Free!』に余計な湿度を持ち込まれたのが少しモヤモヤしました。8話から、やっといつもの『Free!』が帰ってきた気がしました。

遠野日和が好きな人、すみません。私は最初、彼の存在が無理でした。

『Timeless Medley』で最初に見た時は、「何か声がいいサブキャラいるな」と思ってました。郁弥に「表彰式で、中学時代の友達と会わなくてよかったの?」みたいな感じで声をかけたりしてて、何かこのキャラ良さそうと思ってました。名前の響きも穏やかで素敵だし可愛いし。「遠野日和」って声に出して読みたくなる。

ところがどっこい。DFでは、話数を重ねるごとに庇えなくなっていく。逆にすごい。ESの宗介は、凛ちゃんのことを大事に思うがゆえの行動だと分かっていたけど、遠野日和テメーはダメだ。日和は完全にハルちゃんを傷つける目的があってやってるじゃん。

「ただの郁弥の劣化コピーじゃん」は、「ああ、ハイスピでハルのお弁当を食べる順番までまねっこしてた、雛鳥みたいな可愛い郁弥を知らないもんね」で何とか自分をなだめられるけど。「君と泳ぐと皆不幸になるよね」はダメだ。許さん。てめーは俺を怒らせた。
勝負に応じる凛々しいマコちゃんは大好きだけど、あの話だけはなかなかもう一度見られないです。あの時期の遠野日和は本当に無理。ごめん。

彼の存在は『Free!』を作ってくださるスタッフさんたちの思いを読んで、何とか無理やり飲み下していきました。DVDの特典のおかげです。いろいろ彼の事情を知ったうえで、今はそこまで彼のことが嫌じゃなくなりました。ハルちゃんにちくちく言葉を言った癖に、謝った描写も無く、普通に純喫茶まろんで皆と談笑してる姿に違和感はあったけれど。
『Road to the World-夢-』で、レースゲームにアワアワしてた姿を見て、「……可愛いとこあるな」と溜飲が下がったところはあります。


これまでの『Free!』にいなかったタイプのキャラと言えば、金城楓もそうですね。上手く言えないけど、とにかく笑い方が怖かったです。DFのオープニングで、「なんか怖い人来た」という印象を抱いてました。笑いながら人殺しそうなタイプっぽい印象。

誕生日、出身地、好きな食べ物、嫌いな食べ物、趣味。彼について知りたいことがたくさんあります。書籍には収録されていないけれど、モチーフアニマルがブルーマーリンと知り、何これカッコイイと調べたらカジキでした。

今後、彼の夢小説を書きたい意欲があるので、解釈と妄想を繰り返しながら、捏造設定をこねこねまとめていきたいです。
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