NRCの少女Eに気をつけろ!
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NRCの廊下の上空を、ふよふよと進んでいく1枚のタブレット型端末。それをパシッと捕まえる1人の生徒がいた。
「イデアせーんぱいっ、こんにちは♡」
「ヒイッ!? そ、その声は、アズール氏を泣かせリドル氏をウギらせるあたおかパリピのエレノア氏!!」
「わぁ、覚えててくれて嬉しいです♡」
「ウワ解釈がポジティブ過ぎる……。拙者とは生きる次元が違う。そうとしか思えない。それよりそろそろ離してください……」
「イデア先輩、なんで最近校内にいないんですか?? 私先輩で遊ぶのけっこう楽しみなのに」
「拙者を弄んでることを隠さないで開き直るだと……。これだから他者の事情をかえりみない陽キャは嫌なんだ……」
タブレットを両手でしっかり捕まえたまま、エレノアは鏡の間に向かって、てくてくと歩き出す。
「たまにはタブレットじゃなくて本人来てくださいよー」
「嫌でござる。今まで君が拙者に何をしてきたかお忘れか? 会う度に拙者を追いかけ回すわ、リリア氏が錬成したダークマターを食べさせてくるわ、そんな危険なエネミーが歩き回ってる場所にのこのこ行くわけが無かろうが」
「あれダークマターじゃなくて、リリアちゃん先輩が作ったお菓子ですよ。それにしても先輩、タブレット越しだとめちゃくちゃ喋りますねえ。対面でもその調子で楽しくおしゃべりしましょうよ」
「いやいやいやそういうのホント無理なんで。キャッキャウフフとかできないんで。そもそもエレノア氏と喋るくらいならマンドラゴラ相手に喋ってる方がマシでござる」
「ところで先輩、私が今どこにいるか分かりますかー?」
「は? 知らないんですけど……。陽キャすぐに話題変えるの意味わかんないんですけど怖あ……」
その時、イデアの耳に音が届いた。
タブレットからではなくて、部屋の外から、ぱたぱたと軽く、人が歩いてくる音が聞こえる。
それは、だんだん近づいていた。
「…………、え?」
ぞわぞわと、イデアの背筋に冷たいものが走る。
何だろう。何か来た。とんでもないものが接近しているような予感がする。これアレだ。ホラーゲームで敵が近づいてくるあの感じだ。
足音が、部屋の前でぴたりと止まる。
かけていたはずの鍵が、カチャリと回る音がする。
ドアの隙間から、無邪気で可愛らしい、天使のような悪魔の声がした。
「私エレノアさん。今あなたの部屋にいるの♡」
「ギャーーーーーーッ!!??」
ドアを開け放って踏み込んできた少女に、イデアは悲鳴をあげた。ついでに少し泣いた。
両手をグーにして胸の前に持ってくる、か弱い乙女のようなポーズで部屋の隅に逃げる。
少しでも安全な場所に行こうという防衛本能が働いた結果だった。
「ナンデ!? 鍵かけてたのにナンデ!? エレノア氏対策に結構複雑な設定にしたはずなんだが!!??」
「魔法でちょちょいと解きました!」
「もうやだこのチート敵キャラ! 助けてオルトーーーー!!」
その後文字通り飛んできたオルトに、「兄さんに会いに来てくれるのは嬉しいけど、いじめちゃダメだよ!」とお叱りを受けるエレノアだった。
まあイデアがどれほど警戒して隠れても、彼女に見つけられちゃうんですけどね。