反社の首領がひよこ飼い始めたってマジ?
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万次郎くんと一緒に暮らすようになってから、1週間と少しが経過した。
広いリビングでなわとびをしたり、もらったiPadで、お腹痩せ効果があるトレーニングの動画を見ながら体を動かしたり。
ふかふかのカウチに寝そべって、買ってもらった本を読んだり。椅子に座って、刺繍や編み物にチャレンジしてみたり。
うどんを生地からこねて手作りしてみたり、鶏むね肉を湯煎してブラックペッパーをきかせた鶏ハムを作ってみたり。バナナを使ったパウンドケーキやオレンジを乗せたマフィン、甘く煮たフィリングを詰めたアップルパイなど、あれこれお菓子を焼いてみたり、日々を私は元気に過ごしていた。
問題なく生活してるので、心配しないでと家族や友達に伝えたいけれど、スマホは持ってこられなかったので、連絡手段は無いまま。iPadだけじゃ電話ができないし、多分、万次郎くんもそれを分かってて渡したんだと思う。
お料理系の動画を、動画サイトに投稿したら、遠回しに元気だって伝えられるかな。顔を出さないで、声だけなら大丈夫だと思うんだけど。後で万次郎くんに相談してみよう。
やましい事をするつもりは無いから、報告連絡相談はちゃんとする。久しぶりに会った万次郎くんは、何だか心配性で寂しがりな面が見えやすいから。
"オレを独りにしないで"
そう言った万次郎くんは、まるで道に迷ったか、誰かに手を離されて置いていかれた、小さい子みたいな表情をしていた。
何が彼をこんな風にしてしまったんだろう。
「さよなら」は彼から言ったのに、離れている間、彼は何を見てきたんだろう。
もう、彼のそばから離れるつもりはなかった。
たとえ、万次郎くんが「もういいよ」って言っても、彼の隣からいなくなったりしないと決めた。
いつか、彼の中の黒い夜が明けるまで、この甘い鳥かごの中に2人でいよう。
そして彼の心に日が昇って、また昔みたいに、懐かしい人たちと笑える日が来ますように。
いつになるか分からない未来を願って、私は祈るように両手を組んだ。