パン屋とラッパーたち
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「クリミア戦争で心身共に負傷した兵士たちの看病を献身的にした白衣の天使レベルのスマイル1つ」
「……今日で何徹目ですか?」
無料でスマイルを提供するチェーン店のハンバーガーショップなら3軒隣ですという言葉は飲み込んだ。
デフォルトでぞんざいな口調の夜でも、人によっては敬語をちゃんと使っている。
例えば、お世話になっている寂雷先生。
ヨコハマ・ディビジョンの、MAD TRIGGER CREWの3人(たまに口調が元に戻る)。
そして今、『フルムーン』のキッチンカーに来店している、麻天狼の観音坂 独歩。
今日も彼の目の下は不健康そうなクマに彩られ、着ているスーツは少しよれている。それに加えて、目のハイライトは風前の灯火のように揺れていた。
見慣れているものの、流石に心配になりながら、夜は棚に置いてあったサンドイッチを紙袋に詰め始める。
ハムとキュウリ。
照り焼きチキンと卵。
それを目で追っていた独歩は、ぼんやりしているような声で呟くように言った。
「……覚えてるのか。俺がよく買っていくやつ」
「まあ、あんた毎日のようにこれら買って行きますからね。お昼頃に」
「……金が許す限りここのを食べてる気がする……。サンドイッチなら、作業しながら食えるし、ここのパンは美味いから。俺にとっては日々の癒しだ……」
「……どうも」
疲れきったような独歩の顔が少し緩み、口が微笑みの形を作る。ストレートな褒め言葉に弱い夜は、珍しくこそばゆそうな顔で言葉を返した。
「……これ、良かったら」
おしぼりとサンドイッチが入った紙袋と一緒に、紙パックの野菜ジュースを差し出すと、独歩は「え」と瞬きする。
「……パンばっかじゃ栄養偏るんで。……体には気をつけてくださいよ」
普段の夜だったらあまり口に出さないだろうし、他の誰かだったら絶対に言わないだろう。
言葉はぶっきらぼうでも、声にはほんの少し優しさがにじんでいた。
「……俺なんかに優しくしてくれるなんて……いつもとギャップがすごいな……夢かな……君が女だったら惚れてた……」
「さりげなく失礼だなあんた」