ハロウィーンは楽しむもの
「ツイステッドワンダーランド?」
「はい。私が"神隠し"で行っていた場所です」
任務から帰った後、私は悠仁くんたちだけじゃなく、五条先生にも話をした。
高校入学前の春休み。散歩から帰る途中で、夕方に十字路を通りがかったとき、黒い棺を乗せた馬車が目の前に現れたこと。
目を覚ましたら棺の中にいて、そのときに言葉を話すグリムと出会ったこと。
私がいた場所は、ツイステッドワンダーランド。そこに存在する、魔法を使える人が集まる魔法士養成学校――ナイトレイブンカレッジであること。
私が使っている力は全部、ナイトレイブンカレッジで出会った、学友や先輩たちの力であること。彼らとの思い出は、だんだん蘇っているけれど、彼らの名前はまだ思い出せないこと。
「大変なことがたくさんあったけど、同じくらい楽しいこともあったんです。早く思い出したいです」
「そんな優しい目で語られると、妬けちゃうなあ」
「わっ」
腕を引かれ、五条先生が座っているソファに、ぽすりと手をつく。すぐ近くに五条先生の顔があって、とくんと心臓が跳ね上がった。先生が目隠しをしていなかったら、すぐに飛び退いていたかもしれない。
「
「……えへへ。そうですね」
1人じゃないことが、ありがたくて。助けになってくれる人たちがいることが、嬉しくて心強くて、頬が緩む。そんな私を見て、五条先生も満足そうに唇を綻ばせた。