土方くんとトッシーと私と(土方)
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目が覚めた時、私は一体どこで寝ているんだろうと困惑しながらあたりを見回して、ここがトッシーの部屋でゲームを終えた後に眠ってしまったことを思い出した。
そして何故かトッシーは向かいでぐっすりと眠っているようで、なんでアンタまで寝ているのよ!てか何で起こしてくれないの!と軽く怒りに震えたが、時計を見て一瞬にして青ざめた。
少しだけ眠るつもりが、もう六時を過ぎていて外は暗くなってしまっていたのだ。
「寒いし暗いし…最悪……」
すぴーと気持ちよさそうに眠るトッシーに、土方くんの寝顔もこんな感じなのかなと思うとちょっとだけ得をしたような気になったので、何も声をかけずに「帰るね」とだけメモを残して部屋を出ることにした。
廊下に出れば少しだけヒヤリとした空気に包まれていて、外はもっと寒いだろうなと肩を落として階段を降りたら、誰かいるのかトッシーの消し忘れか、リビングに電気が着いていた。
おじゃましましたーと一応挨拶をして玄関のドアに手をかけた時、後ろからガチャッと音が聞こえた。
誰かいた!と、驚きで肩が跳ねたと同時に名前を呼ばれ、思わずハイっ!と声が裏返ってしまって恥ずかしさで死にそうだ。
「脅かして悪ぃ
今から帰んのか?…アイツは?」
壊れたロボットのようにぎこちなく振り返った私に、土方くんが申し訳なさそうな顔をしたあと、すぐにいつもの不機嫌そうな表情で聞いてきた。
「ひ、土方くん…!実は…」
最悪だー。トッシーとはいえ男子の部屋で寝こけただなんて絶対にだらしない女子だと思われたに違いない…
この世の終わりのような気分に見舞われながら正直に話すと、土方くんは少し悩んだような顔をしたかと思うと「ちょっと待ってろ」と言い残し二階へ去っていった。
もしかしてトッシーを叩き起すつもりじゃと心配していると、上着を片手に抱えて戻ってきた。
「もう暗ぇし、送ってく」
「えっ!?」
今私はとんでもなく間抜けな顔をしているに違いない。
はっと気を取り直し、もうすでに靴を履いてしまっていた土方くんの袖口を慌てて掴んだ。
「そんな、寒いし悪いよ」
「用事のついでだから気にすんなって。ほら行くぞ」
「わっ!」
上着に隠れていて気づかなかったが、土方くんの持っていたマフラーで、私はあっという間にぐるぐる巻きにされてしまった。
「さっさと行くぞ」
その声に急かされるよう大慌てで外に出ると想像よりも風も空気も冷たくて、思わず口元まで覆われたマフラーで頬をきゅっと守るように触れた。
ほのかにいい香りがして、土方くんのだろうかと思ったら急に恥ずかしくなってきて、鼓動が段々と激しくなり、隣りを歩いている土方くんのことを猛烈に意識してしまった。
もうこうなったら土方くんを直視するなんて出来そうにない。
「…お前らほんと仲良いのな」
あぁもう好き!と言ってしまいそうになるのを堪えていたら、ずっと黙っていた土方くんがそんなことを言い出して即座に土方くんの方を向いた。
土方くんは相変わらず不機嫌そうだが、いつもよりちょっと不機嫌に磨きがかかっているような気がしなくもない。
「そ、そうかな?あっ、でも高校生にしてはよく遊んでるし、そうなのかも」
「じゃねーと家まで来ねぇだろ」
「そっか、それもそうだよね」
アハハと笑いながらも、変なこと言ってないよね?とかちゃんと受け答えできているよね?と緊張感でいっぱいいっぱいの私は、土方くんがどんか表情をしているかなど気にする余裕もなくただひたすら歩き続けた。
ふわふわと夢の中にいるような気持ちでいると、もうあっという間に家の近所の道に着いてしまっていた。
そこでマフラーのことを思い出し、慌てて解こうとしたら土方くんが私の手首を掴んだ。
驚いて顔を上げると、思いのほか近くに土方くんの顔があって、こちらを真っ直ぐに見つめる端正な顔立ちに思わずハッと息を呑む。
「そのまま帰っていいから外すな」
「や、でも」
「いいから」
土方くんが私から手を離したかと思うと、中途半端に解けかけていたマフラーをきれいにクルクルと巻き直して、最後に私の頭をポンと軽く叩いた。
「また今度会った時にでいいだろ」
「えっ」
「あー、トッシーとはゲームできて俺とは会いたくねぇ?」
「そんなことない!会いたい!毎日だっていい!…って何言ってるの私!!」
ぎゃあぁ、と言いながら顔を手で隠した私に土方くんは笑って、今度はくしゃくしゃっと私の髪を乱暴に触れてから、じゃあなと手を振って道を引き返した。
その後ろ姿を見つめながら、じわじわと私の頬が熱を持っていく。
「また今度って、言ってくれた…
頭、撫でてくれた………」
嬉しくてにやけてしまった口元を隠すように、私は首元のマフラーをぎゅうっと握りしめた。
トッシーが起こしてくれなかったせいで最悪だと思っていたけれど、今ではトッシーのおかげでいい思いができた!と浮かれる私はやっぱり単純なのであった。
そして何故かトッシーは向かいでぐっすりと眠っているようで、なんでアンタまで寝ているのよ!てか何で起こしてくれないの!と軽く怒りに震えたが、時計を見て一瞬にして青ざめた。
少しだけ眠るつもりが、もう六時を過ぎていて外は暗くなってしまっていたのだ。
「寒いし暗いし…最悪……」
すぴーと気持ちよさそうに眠るトッシーに、土方くんの寝顔もこんな感じなのかなと思うとちょっとだけ得をしたような気になったので、何も声をかけずに「帰るね」とだけメモを残して部屋を出ることにした。
廊下に出れば少しだけヒヤリとした空気に包まれていて、外はもっと寒いだろうなと肩を落として階段を降りたら、誰かいるのかトッシーの消し忘れか、リビングに電気が着いていた。
おじゃましましたーと一応挨拶をして玄関のドアに手をかけた時、後ろからガチャッと音が聞こえた。
誰かいた!と、驚きで肩が跳ねたと同時に名前を呼ばれ、思わずハイっ!と声が裏返ってしまって恥ずかしさで死にそうだ。
「脅かして悪ぃ
今から帰んのか?…アイツは?」
壊れたロボットのようにぎこちなく振り返った私に、土方くんが申し訳なさそうな顔をしたあと、すぐにいつもの不機嫌そうな表情で聞いてきた。
「ひ、土方くん…!実は…」
最悪だー。トッシーとはいえ男子の部屋で寝こけただなんて絶対にだらしない女子だと思われたに違いない…
この世の終わりのような気分に見舞われながら正直に話すと、土方くんは少し悩んだような顔をしたかと思うと「ちょっと待ってろ」と言い残し二階へ去っていった。
もしかしてトッシーを叩き起すつもりじゃと心配していると、上着を片手に抱えて戻ってきた。
「もう暗ぇし、送ってく」
「えっ!?」
今私はとんでもなく間抜けな顔をしているに違いない。
はっと気を取り直し、もうすでに靴を履いてしまっていた土方くんの袖口を慌てて掴んだ。
「そんな、寒いし悪いよ」
「用事のついでだから気にすんなって。ほら行くぞ」
「わっ!」
上着に隠れていて気づかなかったが、土方くんの持っていたマフラーで、私はあっという間にぐるぐる巻きにされてしまった。
「さっさと行くぞ」
その声に急かされるよう大慌てで外に出ると想像よりも風も空気も冷たくて、思わず口元まで覆われたマフラーで頬をきゅっと守るように触れた。
ほのかにいい香りがして、土方くんのだろうかと思ったら急に恥ずかしくなってきて、鼓動が段々と激しくなり、隣りを歩いている土方くんのことを猛烈に意識してしまった。
もうこうなったら土方くんを直視するなんて出来そうにない。
「…お前らほんと仲良いのな」
あぁもう好き!と言ってしまいそうになるのを堪えていたら、ずっと黙っていた土方くんがそんなことを言い出して即座に土方くんの方を向いた。
土方くんは相変わらず不機嫌そうだが、いつもよりちょっと不機嫌に磨きがかかっているような気がしなくもない。
「そ、そうかな?あっ、でも高校生にしてはよく遊んでるし、そうなのかも」
「じゃねーと家まで来ねぇだろ」
「そっか、それもそうだよね」
アハハと笑いながらも、変なこと言ってないよね?とかちゃんと受け答えできているよね?と緊張感でいっぱいいっぱいの私は、土方くんがどんか表情をしているかなど気にする余裕もなくただひたすら歩き続けた。
ふわふわと夢の中にいるような気持ちでいると、もうあっという間に家の近所の道に着いてしまっていた。
そこでマフラーのことを思い出し、慌てて解こうとしたら土方くんが私の手首を掴んだ。
驚いて顔を上げると、思いのほか近くに土方くんの顔があって、こちらを真っ直ぐに見つめる端正な顔立ちに思わずハッと息を呑む。
「そのまま帰っていいから外すな」
「や、でも」
「いいから」
土方くんが私から手を離したかと思うと、中途半端に解けかけていたマフラーをきれいにクルクルと巻き直して、最後に私の頭をポンと軽く叩いた。
「また今度会った時にでいいだろ」
「えっ」
「あー、トッシーとはゲームできて俺とは会いたくねぇ?」
「そんなことない!会いたい!毎日だっていい!…って何言ってるの私!!」
ぎゃあぁ、と言いながら顔を手で隠した私に土方くんは笑って、今度はくしゃくしゃっと私の髪を乱暴に触れてから、じゃあなと手を振って道を引き返した。
その後ろ姿を見つめながら、じわじわと私の頬が熱を持っていく。
「また今度って、言ってくれた…
頭、撫でてくれた………」
嬉しくてにやけてしまった口元を隠すように、私は首元のマフラーをぎゅうっと握りしめた。
トッシーが起こしてくれなかったせいで最悪だと思っていたけれど、今ではトッシーのおかげでいい思いができた!と浮かれる私はやっぱり単純なのであった。