土方くんとトッシーと私と(土方)
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土方くんと友達になりたいと言ってから1ヶ月が経った。
あの時は想いを伝えるだけで精一杯で、連絡先を交換する余裕なんてなかった。
かといってその後改めて会う事も廊下ですれ違うこともなく…。
あの日は沖田くんがわざわざ私を探しに来てくれて、土方くんはその沖田くんを探していたから会えたんだな…としみじみと思うと、ある意味沖田くんには感謝である。
私が教室に行けばいい話だけど、そんな勇気はないのです。
何の進展もない切なさに浸りながら、隣りでボタンを連打しているトッシーにボヤき続ける。
「こういう時さ、漫画とかならもっと接点が増えたりとかしてさ、恋に繋がったりするもんだよね?何もないのよ、なんも。ほんとに。
なんならトッシーのこと任されたんだけど。
トッシーの何を任されたの?私は何をしたらいいの?」
「だってぽん子氏はリアルで生きているから動かないと何もならないよね。
僕はいつだって僕だけの嫁とイチャイチャできるけどぽん子氏はリアルだから
あと何を任されたのかは僕も知らないけど話が出来て良かったでござるね!おめでとう!」
「ありがたいけどリアルリアル言うな!トッシーもリアルで生きてるでしょ!2次元には行けないんだから!」
今度は私のターン!とばかりに私もコントローラーを操作すると、テレビ画面に映るボスはあっという間に消えていった。
でもさ、とトッシーはジュースを一口飲んで私に向き直る。
「家に来る、というミッションは達成しているでござるよ?」
そう、私は最近ついに土方家への出入りというものを成し遂げたのである!
といってもトッシーとゲームしたり漫画を借りに来るだけで、色気も何も無いし何なら土方くんとは何ら関係ない所でのミッション達成である。
「ねぇでもこれ達成したと言えるのかな?どっちかっていうとトッシーとの友情が高まったって感じじゃない?
私は別にトッシーの好感度上げなくていいんだけど。下げることもないけどさ」
「たしかに」
「………」
「………」
家に遊びに来るというミッションを達成したものの、いらん奇跡を起こして全く会わないのである。
家に来ていてだよ、こんなことある?
とはいえ遊びに来たのは3度目だし、長居もしないからかもしれない。そもそも長居する理由もないしね。
「……帰ろ」
昼過ぎに来たばかりだが、一気に疲れてしまい私は帰ることにした。
トッシーに玄関まで見送られ、またねーと手を振り歩き出すが、ぴゅうっと冷たい風が吹いてきて思わず首をすくめた。
「マフラーがいるほどじゃないけど…寒いなぁ…」
目の前で風に煽られた落ち葉がクルクルと2、3枚回っている。子供が必死に追いかけっこしているみたいでちょっと笑えたが、そんな小説みたいな妄想が一瞬にして膨らんでしまうなんて多分私は疲れているんだろう。
トッシーと出会ったのは春だったのにあっという間にもうクリスマスかぁ…と、時の流れの早さにぼんやりとしてしまう。
こうしてまた1年が終わってしまうのかと思うと、やっぱり私は卒業しても土方くんに告白できる気がしない。
「ぽん田?」
「へっ!?」
キョロキョロしていると、目に捉えたのは私服姿の土方くん!
え!なんで!いや、ここは土方くんの家のすぐ側だから当たり前か、と心の中で突っ込んだり慌てていると、土方くんはプッと吹き出した。
「んな慌てんなって。不審者と思われんぞ」
「そ、そんな…たしかに…」
相変わらずおもしれーやつ、と土方くんは笑っているが、私はまたドキドキしてしまって言われた通り不審者気味だ。
「お前の家もこの辺なのか?」
「うぅん、隣町!そんな離れてないとこ」
「へぇ」
「あっ、さっきまでお邪魔してました!」
「うちに?」
「そ、そう!トッシーがゲームしようって連絡してきたからちょっとしてたんだけど、飽きちゃったしもう帰るねーって!
1時間もしてないんじゃないかな?あはは…は…」
さっきまで和やかな雰囲気だったのが、トッシーとの話から一瞬にして可哀想なものを見るような目で見られているのが伝わってくる。
「お前も大変だな。トッシーのやつに振り回されてねぇか?」
「え!いやいや、そんなことは…」
きっと土方くんも色々あるんだろうな。沖田くんとか近藤くんとかに振り回されていそうだから、きっと似たようなものだと思われたのかもしれない。
「そういや友達になりてぇっつって何もしてなかったから、これ」
そういって土方くんはポケットからスマホを取り出した。
ほれ、と画面を差し出されてハッと気がつく。
「あっ、うん!ありがとう!」
慌ててポケットからスマホを取り出し私も画面を開いて操作を始めた。
数少ない連絡帳の中に土方十四郎、と名前が追加されて、そこだけ光り輝いているように見えてくるから恋って不思議である。
「つかアイツに俺の連絡先回しとけって言っといたんだけど…
まぁ今日会えたからいいか」
「そうだったんだ…」
トッシー、もしかして私と土方くんが直接やり取りするために…って絶対違うな。面倒くさかったんだろうな…。
兎にも角にも、私はこうして土方十四郎くんという手の届かないと思っていた人の連絡先を無事に手に入れることが出来たのだった。
そして、買い物ついでだからと家の近くまで送ってくれた土方くんは、後光が差してるんじゃないかってぐらい眩しくて、何を話したかあんまり覚えていないけど、とにかく幸せな時間を過ごすことが出来た。
「じゃ、今度は学校でな」
「うん!えっと……またね!」
「…おぅ」
きっとまた顔も真っ赤になっていたはずだけど、土方くんはニッと笑って返してくれた。
その表情だけで、好きという気持ちが溢れそうになってしまう。
けれどそれ以上に幸せという気持ちで無理やりに抑え込んで、バイバイ!としっかり手を振って遠くなっていく背中を見送った。
勿論その日の夜は、ぐっすり眠ることが出来た。私の疲れなんて土方くんの手にかかればちょろいもんなのだ。
あの時は想いを伝えるだけで精一杯で、連絡先を交換する余裕なんてなかった。
かといってその後改めて会う事も廊下ですれ違うこともなく…。
あの日は沖田くんがわざわざ私を探しに来てくれて、土方くんはその沖田くんを探していたから会えたんだな…としみじみと思うと、ある意味沖田くんには感謝である。
私が教室に行けばいい話だけど、そんな勇気はないのです。
何の進展もない切なさに浸りながら、隣りでボタンを連打しているトッシーにボヤき続ける。
「こういう時さ、漫画とかならもっと接点が増えたりとかしてさ、恋に繋がったりするもんだよね?何もないのよ、なんも。ほんとに。
なんならトッシーのこと任されたんだけど。
トッシーの何を任されたの?私は何をしたらいいの?」
「だってぽん子氏はリアルで生きているから動かないと何もならないよね。
僕はいつだって僕だけの嫁とイチャイチャできるけどぽん子氏はリアルだから
あと何を任されたのかは僕も知らないけど話が出来て良かったでござるね!おめでとう!」
「ありがたいけどリアルリアル言うな!トッシーもリアルで生きてるでしょ!2次元には行けないんだから!」
今度は私のターン!とばかりに私もコントローラーを操作すると、テレビ画面に映るボスはあっという間に消えていった。
でもさ、とトッシーはジュースを一口飲んで私に向き直る。
「家に来る、というミッションは達成しているでござるよ?」
そう、私は最近ついに土方家への出入りというものを成し遂げたのである!
といってもトッシーとゲームしたり漫画を借りに来るだけで、色気も何も無いし何なら土方くんとは何ら関係ない所でのミッション達成である。
「ねぇでもこれ達成したと言えるのかな?どっちかっていうとトッシーとの友情が高まったって感じじゃない?
私は別にトッシーの好感度上げなくていいんだけど。下げることもないけどさ」
「たしかに」
「………」
「………」
家に遊びに来るというミッションを達成したものの、いらん奇跡を起こして全く会わないのである。
家に来ていてだよ、こんなことある?
とはいえ遊びに来たのは3度目だし、長居もしないからかもしれない。そもそも長居する理由もないしね。
「……帰ろ」
昼過ぎに来たばかりだが、一気に疲れてしまい私は帰ることにした。
トッシーに玄関まで見送られ、またねーと手を振り歩き出すが、ぴゅうっと冷たい風が吹いてきて思わず首をすくめた。
「マフラーがいるほどじゃないけど…寒いなぁ…」
目の前で風に煽られた落ち葉がクルクルと2、3枚回っている。子供が必死に追いかけっこしているみたいでちょっと笑えたが、そんな小説みたいな妄想が一瞬にして膨らんでしまうなんて多分私は疲れているんだろう。
トッシーと出会ったのは春だったのにあっという間にもうクリスマスかぁ…と、時の流れの早さにぼんやりとしてしまう。
こうしてまた1年が終わってしまうのかと思うと、やっぱり私は卒業しても土方くんに告白できる気がしない。
「ぽん田?」
「へっ!?」
キョロキョロしていると、目に捉えたのは私服姿の土方くん!
え!なんで!いや、ここは土方くんの家のすぐ側だから当たり前か、と心の中で突っ込んだり慌てていると、土方くんはプッと吹き出した。
「んな慌てんなって。不審者と思われんぞ」
「そ、そんな…たしかに…」
相変わらずおもしれーやつ、と土方くんは笑っているが、私はまたドキドキしてしまって言われた通り不審者気味だ。
「お前の家もこの辺なのか?」
「うぅん、隣町!そんな離れてないとこ」
「へぇ」
「あっ、さっきまでお邪魔してました!」
「うちに?」
「そ、そう!トッシーがゲームしようって連絡してきたからちょっとしてたんだけど、飽きちゃったしもう帰るねーって!
1時間もしてないんじゃないかな?あはは…は…」
さっきまで和やかな雰囲気だったのが、トッシーとの話から一瞬にして可哀想なものを見るような目で見られているのが伝わってくる。
「お前も大変だな。トッシーのやつに振り回されてねぇか?」
「え!いやいや、そんなことは…」
きっと土方くんも色々あるんだろうな。沖田くんとか近藤くんとかに振り回されていそうだから、きっと似たようなものだと思われたのかもしれない。
「そういや友達になりてぇっつって何もしてなかったから、これ」
そういって土方くんはポケットからスマホを取り出した。
ほれ、と画面を差し出されてハッと気がつく。
「あっ、うん!ありがとう!」
慌ててポケットからスマホを取り出し私も画面を開いて操作を始めた。
数少ない連絡帳の中に土方十四郎、と名前が追加されて、そこだけ光り輝いているように見えてくるから恋って不思議である。
「つかアイツに俺の連絡先回しとけって言っといたんだけど…
まぁ今日会えたからいいか」
「そうだったんだ…」
トッシー、もしかして私と土方くんが直接やり取りするために…って絶対違うな。面倒くさかったんだろうな…。
兎にも角にも、私はこうして土方十四郎くんという手の届かないと思っていた人の連絡先を無事に手に入れることが出来たのだった。
そして、買い物ついでだからと家の近くまで送ってくれた土方くんは、後光が差してるんじゃないかってぐらい眩しくて、何を話したかあんまり覚えていないけど、とにかく幸せな時間を過ごすことが出来た。
「じゃ、今度は学校でな」
「うん!えっと……またね!」
「…おぅ」
きっとまた顔も真っ赤になっていたはずだけど、土方くんはニッと笑って返してくれた。
その表情だけで、好きという気持ちが溢れそうになってしまう。
けれどそれ以上に幸せという気持ちで無理やりに抑え込んで、バイバイ!としっかり手を振って遠くなっていく背中を見送った。
勿論その日の夜は、ぐっすり眠ることが出来た。私の疲れなんて土方くんの手にかかればちょろいもんなのだ。