出会い編
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一面雪の中、私は両手に紙袋を下げて一歩一歩と踏みしめるようにゆっくりと歩いている。
腹巻付き毛糸のパンツを着込み、それから着物を着付けてポンチョ型のコートを羽織り、裏起毛の足袋にレギンス。
耳まですっぽりの毛糸の帽子を被り、口元までストールで隠した真冬スタイルで着膨れた姿は、さながら動く雪だるまとでも言うだろうか。
寒さに弱い私にとってこの装備はまさに完璧であったが、ほとんどお団子屋さんとコンビニにしか外出をしないうえ年中冷暖房を効かせた部屋で引きこもり生活を送っているのが祟ってか、体は重く動きにくい。
それでも私が外へ出たのは、一刻も早く新刊を手に入れたかったからである。
「あと少しで家に着く…!」
しかし新刊だけを買うつもりがつい店内を見回ってしまい、片手で事足りるはずがそうではなくなってしまった。
両手に本の入った紙袋を引っさげて軽く積もった雪の上を震えながら歩く私の姿は周りからは異様に見えるだろう。チラチラと視線が痛いが、それよりも早く家に帰らなければ両手の指が、本の重みと寒さで断裂しそうだよォ!と限界を訴えている。
これは一刻も早く帰らなければ、とあともう十数メートルほど進んだ先にあるわが家へと帰るべく気を引き締めまた一歩と足を踏み出した。
「あれ?ぽん子ちゃん?」
聞き覚えのある声が後ろから飛んできて一瞬思考が固まる。
ぐるりと頭をフル回転させながら出した答えはこうだった。
「……………イエ、ヒトチガイデス」
「いや人違いじゃねーだろ。なんでカタコトなんだよ」
私よりも数段軽い足取りで、銀さんはあっという間に距離を詰めたかと思うと私の顔をひょっこりと覗き込んだ。
太陽に照らされたふわふわの銀髪は今日もキラキラと輝き、私の瞳を一瞬にして奪い去ってしまう。
「ぽん子は相変わらずもっさりしてんな」
「まあ失礼な」
実際もっさりした姿ではあるが、そうハッキリと言われると少し凹むものがある。
にやにやしながら私をからかう姿に眉をひそめると、銀さんは私の左手の紙袋を奪い去った。
驚いてよろけそうになるのを何とか踏みとどまると、彼は呆れたように溜息をつきながら今度は右手の紙袋にも手をかけられいとも簡単に奪われてしまった。
「細っこい腕でそこそこ重いもん持って何で雪道歩いてんだよ」
「えぇと、仕事で必要だったので…」
「へぇー。んで?どこに持ってくつもりだったんだ?家?」
「はい、自宅へ帰る所でした」
「んじゃナビよろしく~」
えっ!と声を零すが、指示を出せと言わんばかりに顎で示され、慌てて小さく謝り足を進めることにした。
さくさくと先程よりも明らかに早まった足取りで進みながら、銀さんとたわいもない話をした。
万事屋のお仕事のことや、新八くんと神楽ちゃんのこと。
今日は仕事終わりでお団子屋さんへ寄り道でも、という時に私のことを見かけて声を掛けたということ。
出来ればこんな姿の時に出くわしたくは無かったが、初対面と大して変わらないと笑われてどちらにしても恥ずかしくなったことは言うまでもない。
そして格好こそ想像のそれとは違っているものの、デートとはこういったことだろうか?と思いを馳せては、隣りに居る銀さんの姿にどうしようもない気持ちを抱えてしまう。
そうこう話しているうちに、あっという間に家へと辿り着いてしまった。
「すみません、家まで運んで頂いて…助かりました」
玄関を開けると銀さんはよっこいせと紙袋を置き「大したことねーよ」と微笑んだ。
笑顔でもないのに輝いたように感じ、まるで太陽のような人だなと見とれていると、彼もまた私をじっと見つめていて急に頬に熱を持ち始めた。
恥ずかしさにパッと目を逸らすも、ここでお別れするのは寂しく色々と思考を巡らしながら指先を擦り、はっとお礼に上がって頂くのはどうかと思いついた。
「あっあの、お茶でも飲んでいかれませんか?大したおもてなしはできませんが…」
もう一度銀さんに目をやれば少し眉が下がっていた。
「…ん、じゃあ少しだけな」
少し間が空いて、もしかして迷惑だっただろうかと思った瞬間銀さんが苦笑しながら私の頭にポンと手を乗せた。
それだけで不安だった気持ちから、ふわふわとした幸せな気持ちになるのだから恋というものは不思議なものだ。
バタバタと履物を脱ぐと、銀さんも続いてお邪魔しまーすと間延びした挨拶をしてブーツを脱いだ。
いつも一人分しか無いそこに二人分の履物が並んで、たったそれだけの事なのに特別な景色のように見えてしまう。
色恋とはこうも人を狂わせてしまうものかと、少しだけ自分自身の変わりように笑いそうになりながら、軽くしまった玄関の扉を背に奥の部屋へと足早に向かった。
さて、これから何を話そうか。
腹巻付き毛糸のパンツを着込み、それから着物を着付けてポンチョ型のコートを羽織り、裏起毛の足袋にレギンス。
耳まですっぽりの毛糸の帽子を被り、口元までストールで隠した真冬スタイルで着膨れた姿は、さながら動く雪だるまとでも言うだろうか。
寒さに弱い私にとってこの装備はまさに完璧であったが、ほとんどお団子屋さんとコンビニにしか外出をしないうえ年中冷暖房を効かせた部屋で引きこもり生活を送っているのが祟ってか、体は重く動きにくい。
それでも私が外へ出たのは、一刻も早く新刊を手に入れたかったからである。
「あと少しで家に着く…!」
しかし新刊だけを買うつもりがつい店内を見回ってしまい、片手で事足りるはずがそうではなくなってしまった。
両手に本の入った紙袋を引っさげて軽く積もった雪の上を震えながら歩く私の姿は周りからは異様に見えるだろう。チラチラと視線が痛いが、それよりも早く家に帰らなければ両手の指が、本の重みと寒さで断裂しそうだよォ!と限界を訴えている。
これは一刻も早く帰らなければ、とあともう十数メートルほど進んだ先にあるわが家へと帰るべく気を引き締めまた一歩と足を踏み出した。
「あれ?ぽん子ちゃん?」
聞き覚えのある声が後ろから飛んできて一瞬思考が固まる。
ぐるりと頭をフル回転させながら出した答えはこうだった。
「……………イエ、ヒトチガイデス」
「いや人違いじゃねーだろ。なんでカタコトなんだよ」
私よりも数段軽い足取りで、銀さんはあっという間に距離を詰めたかと思うと私の顔をひょっこりと覗き込んだ。
太陽に照らされたふわふわの銀髪は今日もキラキラと輝き、私の瞳を一瞬にして奪い去ってしまう。
「ぽん子は相変わらずもっさりしてんな」
「まあ失礼な」
実際もっさりした姿ではあるが、そうハッキリと言われると少し凹むものがある。
にやにやしながら私をからかう姿に眉をひそめると、銀さんは私の左手の紙袋を奪い去った。
驚いてよろけそうになるのを何とか踏みとどまると、彼は呆れたように溜息をつきながら今度は右手の紙袋にも手をかけられいとも簡単に奪われてしまった。
「細っこい腕でそこそこ重いもん持って何で雪道歩いてんだよ」
「えぇと、仕事で必要だったので…」
「へぇー。んで?どこに持ってくつもりだったんだ?家?」
「はい、自宅へ帰る所でした」
「んじゃナビよろしく~」
えっ!と声を零すが、指示を出せと言わんばかりに顎で示され、慌てて小さく謝り足を進めることにした。
さくさくと先程よりも明らかに早まった足取りで進みながら、銀さんとたわいもない話をした。
万事屋のお仕事のことや、新八くんと神楽ちゃんのこと。
今日は仕事終わりでお団子屋さんへ寄り道でも、という時に私のことを見かけて声を掛けたということ。
出来ればこんな姿の時に出くわしたくは無かったが、初対面と大して変わらないと笑われてどちらにしても恥ずかしくなったことは言うまでもない。
そして格好こそ想像のそれとは違っているものの、デートとはこういったことだろうか?と思いを馳せては、隣りに居る銀さんの姿にどうしようもない気持ちを抱えてしまう。
そうこう話しているうちに、あっという間に家へと辿り着いてしまった。
「すみません、家まで運んで頂いて…助かりました」
玄関を開けると銀さんはよっこいせと紙袋を置き「大したことねーよ」と微笑んだ。
笑顔でもないのに輝いたように感じ、まるで太陽のような人だなと見とれていると、彼もまた私をじっと見つめていて急に頬に熱を持ち始めた。
恥ずかしさにパッと目を逸らすも、ここでお別れするのは寂しく色々と思考を巡らしながら指先を擦り、はっとお礼に上がって頂くのはどうかと思いついた。
「あっあの、お茶でも飲んでいかれませんか?大したおもてなしはできませんが…」
もう一度銀さんに目をやれば少し眉が下がっていた。
「…ん、じゃあ少しだけな」
少し間が空いて、もしかして迷惑だっただろうかと思った瞬間銀さんが苦笑しながら私の頭にポンと手を乗せた。
それだけで不安だった気持ちから、ふわふわとした幸せな気持ちになるのだから恋というものは不思議なものだ。
バタバタと履物を脱ぐと、銀さんも続いてお邪魔しまーすと間延びした挨拶をしてブーツを脱いだ。
いつも一人分しか無いそこに二人分の履物が並んで、たったそれだけの事なのに特別な景色のように見えてしまう。
色恋とはこうも人を狂わせてしまうものかと、少しだけ自分自身の変わりように笑いそうになりながら、軽くしまった玄関の扉を背に奥の部屋へと足早に向かった。
さて、これから何を話そうか。