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案外坂田銀時という男は行事に敏い人間である。
クリスマス、正月、バレンタイン、夏祭り、月見。
そして明日はハロウィンだ。
「つーわけで、トリック・オア・トリート」
どこで買ってきたのか、ふわふわの猫耳のようなものをつけてきた銀時がぽん子家を訪ねてきたのは、もう夜もとっぷり更けた頃だった。
わざわざインターホンを鳴らして呼び出されたぽん子は、大慌てで呼び出しに応じた為ぽかんと口を開けて銀時を見上げたかと思うと、数秒経ってくふふと笑いだす。
「かっ、か、可愛いっ…」
ふわふわの髪よりも白さの目立つ玩具の耳を付けたままの銀時を部屋に引き入れると、ぽん子はベッドサイドに腰掛けた銀時の前に立ってカシャカシャと写真を撮った。
「いやいや、珍しいのは分かるけどよ…」
「銀さん、銀さんすごく可愛らしいお姿ですから!これは残しておかないと!」
「いつになく興奮してんね」
呆れ気味の銀時が口を引きつらせるも、お構いなしのぽん子は様々な角度から銀特を撮影しては、かっこいいだの可愛らしいだのと口にし、時折うっとりと眺めたりもして存分に楽しんだ。
一方で、銀時はそんなぽん子の楽しそうな姿に悪い気はしておらず、気の済むまでやらせてやろう、ぐらいのもので見守ることにした。
そんな日があってもいいじゃないか、という気持ちもあったのである。
「すみません、たくさん撮ってしまいました」
しばらく経った頃、やっといつもの落ち着きを取り戻したぽん子は爽やかな笑顔でカメラを置くと、銀時の隣にちょこんと腰を下ろした。
静かに少しばかり沈みこんだベッドの振動に、銀時はその体を支えるかのようにそっと腰に手を回す。
引き寄せれば、簡単にその体は銀時にもたれ掛かった。
「満足したならよかったけど、何か忘れてない?ぽん子ちゃん?」
「えっ?」
きょとんとした顔で見上げるぽん子に、銀時はニヒヒと悪戯っ子のように笑うと、この日特有のあのセリフを再び口にした。
「トリック・オア・トリート!お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!…だっけかぁ?」
「あらあら…」
その表情に負けず劣らずの演技力で、子供のような口ぶりで言う銀時に困ったように笑ったぽん子は、口元を隠しながらクスクスと笑った。
そして楽しそうな銀時に釣られて微笑んだぽん子は、そんな銀時の手にそっと触れながら、困りましたねぇと呟く。
こつんと合わせた額から、互いの熱をじわりと感じて二人揃ってくすくす笑った。
「どんないたずらをされてしまうのか、怖いですねぇ」
「どんないたずらしちゃおっかねぇ」
「ふふふっ」
銀時は、ぽん子に触れられている手とは反対の手で柔らかな頬を撫でると、にんまりと厭らしく目を細めてみせた。
ふと危険を察知したぽん子は、慌てて額と握っていた手を離すと、一歩下がって立ち上がった。
「じゃあ、そんな怖ぁい悪戯っ子銀さんの好きそうなお菓子を探してきますね。少し待っててください」
「おっ、まじで?んじゃ銀さんは大人し~く楽しみ~に待ってるわ」
大人しく逃した銀時は、何やかんやで楽しそうなぽん子を見送ると、頭に乗っかっていた猫耳のようなものを外してそれをじいっと見つめている。
頭の中には、これからぽん子がどのような菓子を持ってくるだろうかということと、もう一つ。
「ぽん子のことも美味しく頂くつもりなんだけどねぇ」
楽しみだと言わんばかりに笑う銀時のことを、まだぽん子は気付いていない。
それに気付くのは、銀時がお菓子をすっかり頂いてからのことだった。
クリスマス、正月、バレンタイン、夏祭り、月見。
そして明日はハロウィンだ。
「つーわけで、トリック・オア・トリート」
どこで買ってきたのか、ふわふわの猫耳のようなものをつけてきた銀時がぽん子家を訪ねてきたのは、もう夜もとっぷり更けた頃だった。
わざわざインターホンを鳴らして呼び出されたぽん子は、大慌てで呼び出しに応じた為ぽかんと口を開けて銀時を見上げたかと思うと、数秒経ってくふふと笑いだす。
「かっ、か、可愛いっ…」
ふわふわの髪よりも白さの目立つ玩具の耳を付けたままの銀時を部屋に引き入れると、ぽん子はベッドサイドに腰掛けた銀時の前に立ってカシャカシャと写真を撮った。
「いやいや、珍しいのは分かるけどよ…」
「銀さん、銀さんすごく可愛らしいお姿ですから!これは残しておかないと!」
「いつになく興奮してんね」
呆れ気味の銀時が口を引きつらせるも、お構いなしのぽん子は様々な角度から銀特を撮影しては、かっこいいだの可愛らしいだのと口にし、時折うっとりと眺めたりもして存分に楽しんだ。
一方で、銀時はそんなぽん子の楽しそうな姿に悪い気はしておらず、気の済むまでやらせてやろう、ぐらいのもので見守ることにした。
そんな日があってもいいじゃないか、という気持ちもあったのである。
「すみません、たくさん撮ってしまいました」
しばらく経った頃、やっといつもの落ち着きを取り戻したぽん子は爽やかな笑顔でカメラを置くと、銀時の隣にちょこんと腰を下ろした。
静かに少しばかり沈みこんだベッドの振動に、銀時はその体を支えるかのようにそっと腰に手を回す。
引き寄せれば、簡単にその体は銀時にもたれ掛かった。
「満足したならよかったけど、何か忘れてない?ぽん子ちゃん?」
「えっ?」
きょとんとした顔で見上げるぽん子に、銀時はニヒヒと悪戯っ子のように笑うと、この日特有のあのセリフを再び口にした。
「トリック・オア・トリート!お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!…だっけかぁ?」
「あらあら…」
その表情に負けず劣らずの演技力で、子供のような口ぶりで言う銀時に困ったように笑ったぽん子は、口元を隠しながらクスクスと笑った。
そして楽しそうな銀時に釣られて微笑んだぽん子は、そんな銀時の手にそっと触れながら、困りましたねぇと呟く。
こつんと合わせた額から、互いの熱をじわりと感じて二人揃ってくすくす笑った。
「どんないたずらをされてしまうのか、怖いですねぇ」
「どんないたずらしちゃおっかねぇ」
「ふふふっ」
銀時は、ぽん子に触れられている手とは反対の手で柔らかな頬を撫でると、にんまりと厭らしく目を細めてみせた。
ふと危険を察知したぽん子は、慌てて額と握っていた手を離すと、一歩下がって立ち上がった。
「じゃあ、そんな怖ぁい悪戯っ子銀さんの好きそうなお菓子を探してきますね。少し待っててください」
「おっ、まじで?んじゃ銀さんは大人し~く楽しみ~に待ってるわ」
大人しく逃した銀時は、何やかんやで楽しそうなぽん子を見送ると、頭に乗っかっていた猫耳のようなものを外してそれをじいっと見つめている。
頭の中には、これからぽん子がどのような菓子を持ってくるだろうかということと、もう一つ。
「ぽん子のことも美味しく頂くつもりなんだけどねぇ」
楽しみだと言わんばかりに笑う銀時のことを、まだぽん子は気付いていない。
それに気付くのは、銀時がお菓子をすっかり頂いてからのことだった。
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