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山崎さんとお付き合いを始めて、初めてのバレンタインデーを迎える。
せっかくだからチョコを渡したい!と2月に入る前からずうっと思いながらも、私たちはもう月の半分ほどは会っていない。
山崎さんは仕事が忙しいらしく、メールもしばらく返事がなくて、勿論そんなだからデートだって出来ていない。
唯一メールのやり取りができたのは六日だけだったかな…。
『返事もろくに出来なくてごめん。早くぽん子ちゃんに会いたい』
私は急いで『大丈夫です!私も山崎さんに早く会いたいな。大好きです』と送り返したけど、それから返事はなかった。
そうこうしているうち一週間が経ってしまい、ついにバレンタインデーを迎えてしまった。
私は、小さいけれど可愛くラッピングされたバレンタイン用のチョコレートを用意した。
いつ食べられるか分からないから、手作りよりも日持ちする市販のものがいいだろうという私なりの気遣いだ。
「ホントは手作りしたのを食べて欲しいけど…」
お昼まで何か連絡が無いか待って、お昼をすぎたら真選組へ届けようと決めていた私は、ワイドショーを見ながら携帯をチラチラ確認している。
できれば山崎さんから連絡がくるのを待っていたけれど、その思いも虚しく携帯は一度も震えることは無かった。
そうして向かった真選組の屯所。
門には二人の隊士さんがいて、きりりとした顔で見張りをしている。
武装警察というだけあって、刀を腰に携えた人のそばに行くのはなかなか勇気がいる。
「ちょっと怖いな…」
少し離れたところから様子を伺う私の方が、きっとある意味怖いだろう。
いつまでもこうしてはいられないと思い切って踏み出そうとした時、ポンと肩を叩かれた。
「オイ何してる」
「ひえええ!」
びくっと大きく跳ね上がり、私は肩を竦めながら「ごめんなさい!」と反射的に謝った。
「ん?お前…山崎の…」
「えっ?山崎さん?」
山崎さんの名前に、くるりと振り向くとそこにはタバコをくわえた真っ黒の鬼がいた。
レーザービームでも出ているかのような真っ直ぐな視線を向けられ、あっ殺されそうと思ったのはここだけの話だ。
そんな鬼さんの後ろから大柄な人がひょいと覗き込んできたかと思うと、鬼さんの肩をぽんと叩いた。
「トシ何やってんだ?こんな可愛い子いじめちゃいかんだろ」
「いやコイツが屯所を見てたから、何か用かと…」
トシと呼ばれた人と同じ服装のその人は優しい目をしていて、少しだけホッとした私はおずおずと口を開いた。
「あの、すみません…こちらに勤めている人に用がありまして…」
「真選組に?隊士の誰?案内する?」
「オイ、近藤さん」
大柄な人は近藤さんと言うらしい。
何となくだが、トシさんの上司っぽく、近藤さんは「まぁまぁ」と相変わらず怖い顔のトシさんを宥めている。
案内ということは、中に通して貰えるかもしれないという事だろうが正直怖いので、山崎さんに会うのは諦めてこの人たちに預けることを選んだ。
「いえ、こちらを届けに来ただけなので!
私、ぽん田ぽん子と言います。中のカードにも名前を書いていますから、山崎さんに渡して頂けますか?」
不審物だと思われぬよう、中を少しだけ見えるようにして紙袋を近藤さんに渡すと、トシさんが指先で袋を開いて確認をした。
そして近藤さんも同じように中を見ようとした時に、サッとそれを奪い取り私を見て頷いた。
「分かった。こいつは山崎に届けておく」
「あっありがとうございます!」
「用が済んだならさっさと帰れ
行くぞ近藤さん。遊んでる暇は無ぇ」
「えっ!トシ?!中身なんだったの?!
あっぽん田さん、気をつけて帰ってね~!」
バサッと隊服を翻しながら、トシさんは門へと向かっていった。
近藤さんは私に手を振りながらも、さっさと行ってしまったトシさんを慌てて追いかけて、門のところで挨拶をしている隊士さんに片手を上げていた。
もしかしたら凄く偉い人だったのかもしれない。
ひとまず私の目的は達成されたので、後は山崎さんに届くのを待つだけだ。
できるだけ早く山崎さんからの連絡が来るといいな、と思いながら、私は来た道をとぼとぼと引き返す。
途中でスーパーに寄り道をして、夕飯の買い出しと滅多に買わない缶チューハイを数本買ったら、店長から「彼氏に振られた?やけ酒?」と悲しげな目をされて泣きたくなった。
すっかり夜も更け、私はちょっぴりいい気分になっていた。アルコールの力はすごい。
山崎さんからの連絡を待ちながらも、心のどこかでは半ば諦めている自分がいる。
きっと山崎さんと付き合うというのはこういう事なんだろうって頭では分かっていても、やっぱり少し寂しい。
ぼーっとテレビを見ながらそんなことを考えているうち、いつの間にか眠ってしまっていた。
「…ちゃん、ぽん子ちゃん」
ゆさゆさと揺さぶられて、眠たい目をゆっくりと開けた。
あぁ私、眠っちゃってたんだ、とぼんやり考えながら揺すってきた人に視線を移せば、困った顔の山崎さんがそこには居た。
「あれぇ?山崎さん…」
まだ眠い目を擦りながら、もう片方の手で山崎さんの腕をやわやわと握れば、優しくその手を取られた。
付けっぱなしだったテレビは消えていて、お腹には薄手の毛布が掛けられている。
山崎さんが掛けてくれたのかな、なんて考えているうちに彼の声がしっかり耳に入ってきた。
「ぽん子ちゃん、不用心すぎるよ?きちんと戸締りしないとダメだよ」
「えっまじ?こわ」
「何を他人事のように…」
はぁーっと溜息をつきながら、山崎さんは私をすっぽり抱きしめた。
彼からは石鹸の匂いが香ってきた。
「あ…今、何時?」
「十一時だよ」
「間に合ったね、ハッピーバレンタイン。チョコ食べた?」
へへっと笑いながら言うと、山崎さんは私の頭を撫でながら「まだだよ」と言った。
そして体を離すと、私が真選組へ届けたままの紙袋を手に取り、中からチョコを取りだした。
「届けてくれてありがとう」
照れ臭そうに笑う山崎さんが可愛くて、私の方から彼にぎゅうっと飛びついて床に押し倒すと、背中にそっと腕を回された。
「山崎さん、会いたかった。大好き」
「俺も。ぽん子ちゃんが大好き」
そっと触れるだけのキスをして、2人でクスクス笑い合う。なんて幸せなんだろう。
「一緒に食べよっか」
「うん!」
いつかのように2人でソファに座って、それぞれ一粒ずつ口に入れると甘い味が口の中にじんわりと広がった。
2人で顔を見合わせて、またクスクスと笑い合う。
そして山崎さんは何かを思い出したように、あっと小さく呟いた。
「そういや俺、先週誕生日でした」
「ええっ!聞いてない!」
「伝えてなくてごめんね
でもメールは出来たし、ぽん子ちゃんと今会えてるから今年は幸せだよ」
「メール…」
たしか、最後にやり取りをしたのは六日…。
「そっかぁ…ごめんね、私も誕生日いつか聞けばよかった…」
「いいよいいよ!もう誕生日を喜ぶ歳でもないし
とか言って、メール寄越したのはオレなんだけどね。ガキっぽくて恥ずかしいけど」
照れたように笑う山崎さんはやっぱり可愛くて、ちょっと恥ずかしかったけど、彼の頬に唇を寄せた。
山崎さんはお返しと言わんばかりに私に唇を重ねてきて、ただただ何度も触れ合った。
「誕生日プレゼント、遅くなっちゃったけど何がいい?」
「んー、何か欲しいってこともないんだけど……そうだなぁ…」
何度も重ねた私の唇を指先でなぞりながら、山崎さんはうーんと唸っている。
そして何か思いついたのか、急に明るい顔になって口を開いた。
「俺、明日は丸一日非番なんだ
だからぽん子ちゃんを自由にしていい権利が欲しいな」
なぞっていた指先が唇から頬を掠めて、首筋をするりと撫でられて背筋がむず痒くなった。
「ん…そんなんでいいの……?」
「そんなんじゃなくて、それがいいの」
「…はぁい……」
そのまま首筋に顔を寄せられて、擽ったくて身をよじればやんわりと抱き抱えられた。
そしてベッドへ運ばれて、2人でそのままゴロンと転がれば小さくベッドが軋んだ。
明かりを消した山崎さんが私に覆い被さるように口付けて、私はそれを受け入れる。
角度を変えて、ちょっとだけ舌で遊んで、ぞわりと体が熱くなる。
「山崎さん、なんかやらしー」
ちょっぴり大人なキスをされて、顔が離れてすぐに自然と言葉に出てしまった。
山崎さんは驚いた顔をしたけど、すぐにいつもの優しい顔になって今度は唇じゃなくて頬にキスをした。
「やらしくないよ、もう寝るだけ
ぽん子ちゃんはやらしー事したいの?」
「んー……」
私はそっと山崎さんの首に腕を回して、さらさらの黒髪を指先でクルクルと弄ぶ。
山崎さんは目を細めてこちらを見ていて、その余裕たっぷりの表情に何だかちょっと悔しい気もした。
「ふふ、じゃぁ…明日のお楽しみにとっとく」
「…りょーかい」
山崎さんはちゅっと軽く口付けると、私のとなりにコロンと寝転がった。
擦り寄ると優しく抱きしめてくれた腕は、いつもより少し暖かく感じて、私はすぐに夢の中へと旅立ってしまった。
お巡りさんとバレンタインデー
せっかくだからチョコを渡したい!と2月に入る前からずうっと思いながらも、私たちはもう月の半分ほどは会っていない。
山崎さんは仕事が忙しいらしく、メールもしばらく返事がなくて、勿論そんなだからデートだって出来ていない。
唯一メールのやり取りができたのは六日だけだったかな…。
『返事もろくに出来なくてごめん。早くぽん子ちゃんに会いたい』
私は急いで『大丈夫です!私も山崎さんに早く会いたいな。大好きです』と送り返したけど、それから返事はなかった。
そうこうしているうち一週間が経ってしまい、ついにバレンタインデーを迎えてしまった。
私は、小さいけれど可愛くラッピングされたバレンタイン用のチョコレートを用意した。
いつ食べられるか分からないから、手作りよりも日持ちする市販のものがいいだろうという私なりの気遣いだ。
「ホントは手作りしたのを食べて欲しいけど…」
お昼まで何か連絡が無いか待って、お昼をすぎたら真選組へ届けようと決めていた私は、ワイドショーを見ながら携帯をチラチラ確認している。
できれば山崎さんから連絡がくるのを待っていたけれど、その思いも虚しく携帯は一度も震えることは無かった。
そうして向かった真選組の屯所。
門には二人の隊士さんがいて、きりりとした顔で見張りをしている。
武装警察というだけあって、刀を腰に携えた人のそばに行くのはなかなか勇気がいる。
「ちょっと怖いな…」
少し離れたところから様子を伺う私の方が、きっとある意味怖いだろう。
いつまでもこうしてはいられないと思い切って踏み出そうとした時、ポンと肩を叩かれた。
「オイ何してる」
「ひえええ!」
びくっと大きく跳ね上がり、私は肩を竦めながら「ごめんなさい!」と反射的に謝った。
「ん?お前…山崎の…」
「えっ?山崎さん?」
山崎さんの名前に、くるりと振り向くとそこにはタバコをくわえた真っ黒の鬼がいた。
レーザービームでも出ているかのような真っ直ぐな視線を向けられ、あっ殺されそうと思ったのはここだけの話だ。
そんな鬼さんの後ろから大柄な人がひょいと覗き込んできたかと思うと、鬼さんの肩をぽんと叩いた。
「トシ何やってんだ?こんな可愛い子いじめちゃいかんだろ」
「いやコイツが屯所を見てたから、何か用かと…」
トシと呼ばれた人と同じ服装のその人は優しい目をしていて、少しだけホッとした私はおずおずと口を開いた。
「あの、すみません…こちらに勤めている人に用がありまして…」
「真選組に?隊士の誰?案内する?」
「オイ、近藤さん」
大柄な人は近藤さんと言うらしい。
何となくだが、トシさんの上司っぽく、近藤さんは「まぁまぁ」と相変わらず怖い顔のトシさんを宥めている。
案内ということは、中に通して貰えるかもしれないという事だろうが正直怖いので、山崎さんに会うのは諦めてこの人たちに預けることを選んだ。
「いえ、こちらを届けに来ただけなので!
私、ぽん田ぽん子と言います。中のカードにも名前を書いていますから、山崎さんに渡して頂けますか?」
不審物だと思われぬよう、中を少しだけ見えるようにして紙袋を近藤さんに渡すと、トシさんが指先で袋を開いて確認をした。
そして近藤さんも同じように中を見ようとした時に、サッとそれを奪い取り私を見て頷いた。
「分かった。こいつは山崎に届けておく」
「あっありがとうございます!」
「用が済んだならさっさと帰れ
行くぞ近藤さん。遊んでる暇は無ぇ」
「えっ!トシ?!中身なんだったの?!
あっぽん田さん、気をつけて帰ってね~!」
バサッと隊服を翻しながら、トシさんは門へと向かっていった。
近藤さんは私に手を振りながらも、さっさと行ってしまったトシさんを慌てて追いかけて、門のところで挨拶をしている隊士さんに片手を上げていた。
もしかしたら凄く偉い人だったのかもしれない。
ひとまず私の目的は達成されたので、後は山崎さんに届くのを待つだけだ。
できるだけ早く山崎さんからの連絡が来るといいな、と思いながら、私は来た道をとぼとぼと引き返す。
途中でスーパーに寄り道をして、夕飯の買い出しと滅多に買わない缶チューハイを数本買ったら、店長から「彼氏に振られた?やけ酒?」と悲しげな目をされて泣きたくなった。
すっかり夜も更け、私はちょっぴりいい気分になっていた。アルコールの力はすごい。
山崎さんからの連絡を待ちながらも、心のどこかでは半ば諦めている自分がいる。
きっと山崎さんと付き合うというのはこういう事なんだろうって頭では分かっていても、やっぱり少し寂しい。
ぼーっとテレビを見ながらそんなことを考えているうち、いつの間にか眠ってしまっていた。
「…ちゃん、ぽん子ちゃん」
ゆさゆさと揺さぶられて、眠たい目をゆっくりと開けた。
あぁ私、眠っちゃってたんだ、とぼんやり考えながら揺すってきた人に視線を移せば、困った顔の山崎さんがそこには居た。
「あれぇ?山崎さん…」
まだ眠い目を擦りながら、もう片方の手で山崎さんの腕をやわやわと握れば、優しくその手を取られた。
付けっぱなしだったテレビは消えていて、お腹には薄手の毛布が掛けられている。
山崎さんが掛けてくれたのかな、なんて考えているうちに彼の声がしっかり耳に入ってきた。
「ぽん子ちゃん、不用心すぎるよ?きちんと戸締りしないとダメだよ」
「えっまじ?こわ」
「何を他人事のように…」
はぁーっと溜息をつきながら、山崎さんは私をすっぽり抱きしめた。
彼からは石鹸の匂いが香ってきた。
「あ…今、何時?」
「十一時だよ」
「間に合ったね、ハッピーバレンタイン。チョコ食べた?」
へへっと笑いながら言うと、山崎さんは私の頭を撫でながら「まだだよ」と言った。
そして体を離すと、私が真選組へ届けたままの紙袋を手に取り、中からチョコを取りだした。
「届けてくれてありがとう」
照れ臭そうに笑う山崎さんが可愛くて、私の方から彼にぎゅうっと飛びついて床に押し倒すと、背中にそっと腕を回された。
「山崎さん、会いたかった。大好き」
「俺も。ぽん子ちゃんが大好き」
そっと触れるだけのキスをして、2人でクスクス笑い合う。なんて幸せなんだろう。
「一緒に食べよっか」
「うん!」
いつかのように2人でソファに座って、それぞれ一粒ずつ口に入れると甘い味が口の中にじんわりと広がった。
2人で顔を見合わせて、またクスクスと笑い合う。
そして山崎さんは何かを思い出したように、あっと小さく呟いた。
「そういや俺、先週誕生日でした」
「ええっ!聞いてない!」
「伝えてなくてごめんね
でもメールは出来たし、ぽん子ちゃんと今会えてるから今年は幸せだよ」
「メール…」
たしか、最後にやり取りをしたのは六日…。
「そっかぁ…ごめんね、私も誕生日いつか聞けばよかった…」
「いいよいいよ!もう誕生日を喜ぶ歳でもないし
とか言って、メール寄越したのはオレなんだけどね。ガキっぽくて恥ずかしいけど」
照れたように笑う山崎さんはやっぱり可愛くて、ちょっと恥ずかしかったけど、彼の頬に唇を寄せた。
山崎さんはお返しと言わんばかりに私に唇を重ねてきて、ただただ何度も触れ合った。
「誕生日プレゼント、遅くなっちゃったけど何がいい?」
「んー、何か欲しいってこともないんだけど……そうだなぁ…」
何度も重ねた私の唇を指先でなぞりながら、山崎さんはうーんと唸っている。
そして何か思いついたのか、急に明るい顔になって口を開いた。
「俺、明日は丸一日非番なんだ
だからぽん子ちゃんを自由にしていい権利が欲しいな」
なぞっていた指先が唇から頬を掠めて、首筋をするりと撫でられて背筋がむず痒くなった。
「ん…そんなんでいいの……?」
「そんなんじゃなくて、それがいいの」
「…はぁい……」
そのまま首筋に顔を寄せられて、擽ったくて身をよじればやんわりと抱き抱えられた。
そしてベッドへ運ばれて、2人でそのままゴロンと転がれば小さくベッドが軋んだ。
明かりを消した山崎さんが私に覆い被さるように口付けて、私はそれを受け入れる。
角度を変えて、ちょっとだけ舌で遊んで、ぞわりと体が熱くなる。
「山崎さん、なんかやらしー」
ちょっぴり大人なキスをされて、顔が離れてすぐに自然と言葉に出てしまった。
山崎さんは驚いた顔をしたけど、すぐにいつもの優しい顔になって今度は唇じゃなくて頬にキスをした。
「やらしくないよ、もう寝るだけ
ぽん子ちゃんはやらしー事したいの?」
「んー……」
私はそっと山崎さんの首に腕を回して、さらさらの黒髪を指先でクルクルと弄ぶ。
山崎さんは目を細めてこちらを見ていて、その余裕たっぷりの表情に何だかちょっと悔しい気もした。
「ふふ、じゃぁ…明日のお楽しみにとっとく」
「…りょーかい」
山崎さんはちゅっと軽く口付けると、私のとなりにコロンと寝転がった。
擦り寄ると優しく抱きしめてくれた腕は、いつもより少し暖かく感じて、私はすぐに夢の中へと旅立ってしまった。
お巡りさんとバレンタインデー