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夜8時。
二人でテレビを見ていると徐にトシが立ち上がり、「あれ?」と言いながら上着のポケットに手を突っ込みつつ何かを探し始めた。
どうしたの?と声をかければタバコがないと眉間に皺を寄せて一言で返され、私も座ったまま目と手の届く範囲を探してみるがやはり見つからない。
探すことを諦めたトシはコンビニに行ってくると言い、少し前に出ていってしまった。
テレビではお笑い芸人さんがネタを披露しているが、先程まで笑っていたのに途端につまらなく感じてただただガヤガヤと騒いでいるだけのように思えた。
「早く帰ってこないかなぁ」
近くのコンビニまでは徒歩でも10分程度で、あれからまだ15分程度しか経っていないのに凄くすごーく長い時間離れているように思えるのはきっと私がトシのことを好きすぎるからかも知れない。
そんなことを考えながらこたつでウトウトしていると、玄関の鍵がガチャ!と音を立てて回された。トシが帰ってきたのだろう。
「あったけー」
部屋に入り、上着をハンガーにかけてすぐさま私の隣りに入り込んだトシからは冷たい匂いがした。
「トシ冷たーい。やだ」
「うっせ」
ギュッと手を握られて笑うとトシも笑っていたけど、すぐに手を離してビニール袋から取り出したタバコをポンとテーブルに置いて、まだ他にも入っているのかガサガサいわせている。
「他にも何か買ってきたの?」
「おー、コレとコレどっちがいい?」
そっと2つ取り出されたのは、チョコプリンと生クリームのプリンだった。
「えっ!に、似合わない…」
「うっせ。食わねーなら総悟にでもやるからいい」
「やだやだ食べたい!えーと、生クリームで!」
テーブルの上で並んだ2種類のプリンが素早くトシの方に引き寄せられて、慌てて答えて1つ貰うとトシは小さなプラスチックのスプーンでチョコプリンを食べ始めた。
「んだこれ甘ぇ」
「チョコだし」
「でもビターって書いてあんぞ」
「うーん、でもプリンだし?」
トシは嫌な顔をしながらも喉に流し込んだようで、眉間に皺を寄せている。ビターと言っても甘さ控えめ程度だろうに、どうして買ったんだか。
「まぁそうだよな。クソ天パに騙されたわ」
「銀ちゃんに?コンビニで会ったの?」
「おぅ。クソ天パが俺でも食えるっつって勧めてきたから買ったのにな。信じた俺が馬鹿だったわ」
トシは私の方へとスプーンの突き刺さったプリンを差し出すと「ぽん子にやるわ」とお茶を二口ほど喉を鳴らしながら飲んでごろんと寝転がりスマホをいじり始めた。
そんなトシに、2つは食べきれないよと苦笑しながら手をつけていないもう1つのプリンを冷蔵庫へしまって、トシの食べかけのチョコプリンに口をつける。
「これ普通のより甘くないかも」
「へぇー」
まるで興味が無いといった感じのトシは相変わらずスマホをいじったままだ。
小さなプリンをゆっくり味わいながら、銀さんに勧められたからってトシが甘いものを買うなんて珍しいなと改めて思い返す。
そしてもしかして、と思いついた。
「ねぇ、もしかして最初から私のために2つ買ってきてくれちゃってたりして」
なんちゃって~とでも続きそうなトーンで言ってみるとトシの手がピタリと止まり、のそりと起き上がって肘をつきながら私を見た。
すうっと、こちらへ伸ばされた指で鼻先を擽られたかと思ったらトシは意地悪くニヤリと笑った。
「そうだったりして」
あまりにも自然におちょくられて、でもその顔が凄く格好よくて、思わず息を飲んでしまうほどだった。
急にそんな楽しそうな顔するなんてトシはずるい。
「……ぽん子ちゃんてば、めちゃくちゃ愛されてるわァ~」
「ホントだわァー凄く愛されてるわァー」
「うっせ」
「可愛くねぇこと言うなよ」
パクパクと残りのプリンを食べてしまい、容器へとスプーンを置いたらカランと小さく音がしてゆらゆらと揺れた。
「トシのそういうとこ、好き」
恥ずかしさで顔を見れなくなった私はコロンと横になってトシに背中を向けた。
いじけんなよと背中をポンポン叩かれるが、顔が熱くなっているうちは振り向くまいとそのままの姿でじっと耐える。
そんな私の背後でトシが「知ってる」と上機嫌な声で返事をしたのがはっきり聞こえて、ついつい口元が緩んでしまった。
コタツとプリン
二人でテレビを見ていると徐にトシが立ち上がり、「あれ?」と言いながら上着のポケットに手を突っ込みつつ何かを探し始めた。
どうしたの?と声をかければタバコがないと眉間に皺を寄せて一言で返され、私も座ったまま目と手の届く範囲を探してみるがやはり見つからない。
探すことを諦めたトシはコンビニに行ってくると言い、少し前に出ていってしまった。
テレビではお笑い芸人さんがネタを披露しているが、先程まで笑っていたのに途端につまらなく感じてただただガヤガヤと騒いでいるだけのように思えた。
「早く帰ってこないかなぁ」
近くのコンビニまでは徒歩でも10分程度で、あれからまだ15分程度しか経っていないのに凄くすごーく長い時間離れているように思えるのはきっと私がトシのことを好きすぎるからかも知れない。
そんなことを考えながらこたつでウトウトしていると、玄関の鍵がガチャ!と音を立てて回された。トシが帰ってきたのだろう。
「あったけー」
部屋に入り、上着をハンガーにかけてすぐさま私の隣りに入り込んだトシからは冷たい匂いがした。
「トシ冷たーい。やだ」
「うっせ」
ギュッと手を握られて笑うとトシも笑っていたけど、すぐに手を離してビニール袋から取り出したタバコをポンとテーブルに置いて、まだ他にも入っているのかガサガサいわせている。
「他にも何か買ってきたの?」
「おー、コレとコレどっちがいい?」
そっと2つ取り出されたのは、チョコプリンと生クリームのプリンだった。
「えっ!に、似合わない…」
「うっせ。食わねーなら総悟にでもやるからいい」
「やだやだ食べたい!えーと、生クリームで!」
テーブルの上で並んだ2種類のプリンが素早くトシの方に引き寄せられて、慌てて答えて1つ貰うとトシは小さなプラスチックのスプーンでチョコプリンを食べ始めた。
「んだこれ甘ぇ」
「チョコだし」
「でもビターって書いてあんぞ」
「うーん、でもプリンだし?」
トシは嫌な顔をしながらも喉に流し込んだようで、眉間に皺を寄せている。ビターと言っても甘さ控えめ程度だろうに、どうして買ったんだか。
「まぁそうだよな。クソ天パに騙されたわ」
「銀ちゃんに?コンビニで会ったの?」
「おぅ。クソ天パが俺でも食えるっつって勧めてきたから買ったのにな。信じた俺が馬鹿だったわ」
トシは私の方へとスプーンの突き刺さったプリンを差し出すと「ぽん子にやるわ」とお茶を二口ほど喉を鳴らしながら飲んでごろんと寝転がりスマホをいじり始めた。
そんなトシに、2つは食べきれないよと苦笑しながら手をつけていないもう1つのプリンを冷蔵庫へしまって、トシの食べかけのチョコプリンに口をつける。
「これ普通のより甘くないかも」
「へぇー」
まるで興味が無いといった感じのトシは相変わらずスマホをいじったままだ。
小さなプリンをゆっくり味わいながら、銀さんに勧められたからってトシが甘いものを買うなんて珍しいなと改めて思い返す。
そしてもしかして、と思いついた。
「ねぇ、もしかして最初から私のために2つ買ってきてくれちゃってたりして」
なんちゃって~とでも続きそうなトーンで言ってみるとトシの手がピタリと止まり、のそりと起き上がって肘をつきながら私を見た。
すうっと、こちらへ伸ばされた指で鼻先を擽られたかと思ったらトシは意地悪くニヤリと笑った。
「そうだったりして」
あまりにも自然におちょくられて、でもその顔が凄く格好よくて、思わず息を飲んでしまうほどだった。
急にそんな楽しそうな顔するなんてトシはずるい。
「……ぽん子ちゃんてば、めちゃくちゃ愛されてるわァ~」
「ホントだわァー凄く愛されてるわァー」
「うっせ」
「可愛くねぇこと言うなよ」
パクパクと残りのプリンを食べてしまい、容器へとスプーンを置いたらカランと小さく音がしてゆらゆらと揺れた。
「トシのそういうとこ、好き」
恥ずかしさで顔を見れなくなった私はコロンと横になってトシに背中を向けた。
いじけんなよと背中をポンポン叩かれるが、顔が熱くなっているうちは振り向くまいとそのままの姿でじっと耐える。
そんな私の背後でトシが「知ってる」と上機嫌な声で返事をしたのがはっきり聞こえて、ついつい口元が緩んでしまった。
コタツとプリン