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毎週月曜が彼の休みだ。
仕事の日は、少しだけ長い後ろ髪を一つに結い、館内をゆっくりと歩き回る。
大小、厚さも様々な本を手に取り、ラベルを見て一冊ずつ棚の中に整理していくさまを眺めていると、なんて滑らかな動きをする人なんだろうと目が自然と後を追う。
胸元のネームプレートには、山崎退と書いてあり、初めは私も読めずに山崎さんとだけ認識していた。
そんな彼と少しずつ話すようになり、じっくりじっくりと距離を縮めて、ついにただの来館者から彼女という関係に立つことになった。
「こんにちは」
「…こんにちは」
私は数冊の小説を手に抱え、彼が何か作業をしているカウンターの前に立つ。
私の姿を見た退は、おや、という顔をしたあと、にこりと微笑んで本を受け取った。
初めて話したときと変わらない微笑みを向けられ、職業柄とはいえ凄いなぁと思いながらも、他の人にもこうやって笑いかけていることを想像して少しだけむず痒い気持ちにもなる。
「貸し出しですね。期限は…」
そう言いながら、休館日や貸し出し期限、お知らせなどが記載された紙を本に挟むと、またにこりと微笑んで私の方へと本を差し出された。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
小さく頷きながら私も返事をし、持参したバッグへ本をしまっていく。
そしてその本を持ち上げながら顔を上げると、退はキョロキョロとあたりを見回して、近くに誰も居ない事を確認していた。
そして口元を手で隠しながら、小さな声でぽそぽそと言葉を発するのだ。
(今夜、泊まりの約束だからね?)
少し照れくさそうに眉を下げて笑う彼に、こくんと小さく頷いて受付カウンターからそっと離れる。
「ありがとうございました」
少しだけ上機嫌に聞こえた彼の声に微笑みながら、私は彼の部屋へ帰るべく図書館をあとにした。
仕事の日は、少しだけ長い後ろ髪を一つに結い、館内をゆっくりと歩き回る。
大小、厚さも様々な本を手に取り、ラベルを見て一冊ずつ棚の中に整理していくさまを眺めていると、なんて滑らかな動きをする人なんだろうと目が自然と後を追う。
胸元のネームプレートには、山崎退と書いてあり、初めは私も読めずに山崎さんとだけ認識していた。
そんな彼と少しずつ話すようになり、じっくりじっくりと距離を縮めて、ついにただの来館者から彼女という関係に立つことになった。
「こんにちは」
「…こんにちは」
私は数冊の小説を手に抱え、彼が何か作業をしているカウンターの前に立つ。
私の姿を見た退は、おや、という顔をしたあと、にこりと微笑んで本を受け取った。
初めて話したときと変わらない微笑みを向けられ、職業柄とはいえ凄いなぁと思いながらも、他の人にもこうやって笑いかけていることを想像して少しだけむず痒い気持ちにもなる。
「貸し出しですね。期限は…」
そう言いながら、休館日や貸し出し期限、お知らせなどが記載された紙を本に挟むと、またにこりと微笑んで私の方へと本を差し出された。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
小さく頷きながら私も返事をし、持参したバッグへ本をしまっていく。
そしてその本を持ち上げながら顔を上げると、退はキョロキョロとあたりを見回して、近くに誰も居ない事を確認していた。
そして口元を手で隠しながら、小さな声でぽそぽそと言葉を発するのだ。
(今夜、泊まりの約束だからね?)
少し照れくさそうに眉を下げて笑う彼に、こくんと小さく頷いて受付カウンターからそっと離れる。
「ありがとうございました」
少しだけ上機嫌に聞こえた彼の声に微笑みながら、私は彼の部屋へ帰るべく図書館をあとにした。