4次元で恋をする
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第8話 デート
15時半に、東京テレポート駅で待ち合わせ。少し早く着いてしまった私はそわそわしていた。シフォンブラウスにスカートを合わせて、髪も部活中の味気ないポニーテールではなく、少しアレンジしてみた。そろそろ来るかなぁ、白石くん。
「すまんなぁ、結構待たせてもうた?」
ふと後ろから声をかけられて振り向くと、そこには私服の白石くんがいた。私服ははじめて見たけれど──やっぱりかっこいい。テレビ局が近いから、周りからもジャ○ーズJr.かなにかに思われてそうだ。
「家から遠かったやろ。来てくれておおきにな」
「う、ううん。私もお台場久しぶりだし楽しみ!……他のみんなから抜けて来てくれたんだよね?」
「せやな。けど、あいつらは俺1人おらんでも勝手に楽しんどるやろうし、それに今日誘ったんは俺のほうや。──そういえば、支倉さんの私服見るんはじめてやな」
「うん、いつも制服かダサいジャージだったもんね」
「ああ、あのごっつう素敵な色のジャージな」
「それお願いだから忘れて……!」
「よう似合ってたけどなぁ」
「嬉しくない……!」
「せやけど、今日の私服、ほんまにかわええな。俺のためにおしゃれしてくれたって思ってもええか?」
ついさっきまで日常会話をしていたというのに、突然甘い言葉を投下され、動揺して顔が熱くなってしまう。もう、そうだよ、白石くんに少しでもかわいいって思ってもらいたくて、おしゃれしたんだよ、白石くんのばか!……なんて言えたらいいのに、恥ずかしくて言えるわけがない。白石くんはそんな私の内心を知ってか知らずか「ほな、行こか」と、包帯の巻いていないほうの手で、私の左手をとった。
「はぐれへんように、手繋ごな」
「う、うん!」
「ん。ええ返事や。それに、また階段から落ちても困るしな」
「なっ?!もう落ちないもん!」
「はは、冗談やって」
いつか好きな人と来れたらいいな、なんて妄想していたヴィーナスフォート。まさか白石くんと来ることになるとは思わなかったけれど、白石くんとは、手を繋いで歩くだけで楽しくて、会話も弾んだ。
ただ、何となく昨日の試合のことは自分から話題にすることができなくて、青学の話や、自分の話をした。白石くんも昨日のことには触れなくて、その代わり、四天宝寺中の話や、白石くん自身の話をしてくれた。
「四天宝寺って学校名はお寺が由来なの?」
「せやで。うちの学校な、四天宝寺って寺の敷地内にあんねん。珍しいやろ」
「へぇ!お寺の敷地内!見てみたい」
「ほんまか?支倉さんが大阪に来ることあったら案内するわ。なかなか歴史あってええとこやで」
「大阪かぁ……新幹線だと片道いくらだっけ……」
「まぁ、中学生の小遣いで気軽に行けるとこやないか」
白石くんは少し眉をハの字にした。今隣にいて手を繋いでくれている白石くんは、明日の決勝戦が終わったら、大阪に帰ってしまう。大人ならそんな距離大したことないのかもしれないけれど、中学生の私にとっては、永遠のような距離に感じて、急にさみしくなった。
まだ、会うのも3回目で、お互いの家は東京と大阪で離れている。お互いに知らないこともたくさんある。なのに、どうしよう。
──私、白石くんのことが、本気で好きになってしまったみたいだ。
急に黙ってしまった私の様子を見て、白石くんは足を止める。
「……支倉さん、高いトコ平気か?」
「え?うん、平気だよ」
なんだろう、この脈絡のない質問。
「ほな、観覧車、乗りに行かへん?」
白石くんはそう言って笑った。白石くんの笑顔も、心なしかいつもより優しくて、でもなんだか切ないようにも見えた。
15時半に、東京テレポート駅で待ち合わせ。少し早く着いてしまった私はそわそわしていた。シフォンブラウスにスカートを合わせて、髪も部活中の味気ないポニーテールではなく、少しアレンジしてみた。そろそろ来るかなぁ、白石くん。
「すまんなぁ、結構待たせてもうた?」
ふと後ろから声をかけられて振り向くと、そこには私服の白石くんがいた。私服ははじめて見たけれど──やっぱりかっこいい。テレビ局が近いから、周りからもジャ○ーズJr.かなにかに思われてそうだ。
「家から遠かったやろ。来てくれておおきにな」
「う、ううん。私もお台場久しぶりだし楽しみ!……他のみんなから抜けて来てくれたんだよね?」
「せやな。けど、あいつらは俺1人おらんでも勝手に楽しんどるやろうし、それに今日誘ったんは俺のほうや。──そういえば、支倉さんの私服見るんはじめてやな」
「うん、いつも制服かダサいジャージだったもんね」
「ああ、あのごっつう素敵な色のジャージな」
「それお願いだから忘れて……!」
「よう似合ってたけどなぁ」
「嬉しくない……!」
「せやけど、今日の私服、ほんまにかわええな。俺のためにおしゃれしてくれたって思ってもええか?」
ついさっきまで日常会話をしていたというのに、突然甘い言葉を投下され、動揺して顔が熱くなってしまう。もう、そうだよ、白石くんに少しでもかわいいって思ってもらいたくて、おしゃれしたんだよ、白石くんのばか!……なんて言えたらいいのに、恥ずかしくて言えるわけがない。白石くんはそんな私の内心を知ってか知らずか「ほな、行こか」と、包帯の巻いていないほうの手で、私の左手をとった。
「はぐれへんように、手繋ごな」
「う、うん!」
「ん。ええ返事や。それに、また階段から落ちても困るしな」
「なっ?!もう落ちないもん!」
「はは、冗談やって」
いつか好きな人と来れたらいいな、なんて妄想していたヴィーナスフォート。まさか白石くんと来ることになるとは思わなかったけれど、白石くんとは、手を繋いで歩くだけで楽しくて、会話も弾んだ。
ただ、何となく昨日の試合のことは自分から話題にすることができなくて、青学の話や、自分の話をした。白石くんも昨日のことには触れなくて、その代わり、四天宝寺中の話や、白石くん自身の話をしてくれた。
「四天宝寺って学校名はお寺が由来なの?」
「せやで。うちの学校な、四天宝寺って寺の敷地内にあんねん。珍しいやろ」
「へぇ!お寺の敷地内!見てみたい」
「ほんまか?支倉さんが大阪に来ることあったら案内するわ。なかなか歴史あってええとこやで」
「大阪かぁ……新幹線だと片道いくらだっけ……」
「まぁ、中学生の小遣いで気軽に行けるとこやないか」
白石くんは少し眉をハの字にした。今隣にいて手を繋いでくれている白石くんは、明日の決勝戦が終わったら、大阪に帰ってしまう。大人ならそんな距離大したことないのかもしれないけれど、中学生の私にとっては、永遠のような距離に感じて、急にさみしくなった。
まだ、会うのも3回目で、お互いの家は東京と大阪で離れている。お互いに知らないこともたくさんある。なのに、どうしよう。
──私、白石くんのことが、本気で好きになってしまったみたいだ。
急に黙ってしまった私の様子を見て、白石くんは足を止める。
「……支倉さん、高いトコ平気か?」
「え?うん、平気だよ」
なんだろう、この脈絡のない質問。
「ほな、観覧車、乗りに行かへん?」
白石くんはそう言って笑った。白石くんの笑顔も、心なしかいつもより優しくて、でもなんだか切ないようにも見えた。