本編
な、何なんだ! 泣き疲れて眠って、そしてさっき起きて、寝ているふりしていたら……
「好きだよ、紺くん」
って言ってきてキスしてきて。大丈夫か俺。起きているのバレていない? それとも起きているのを知ってやってきた?
ぁああああああああ───ッ! 何なんだよ翡翠! 俺はどうすれば。
そう悩んでいると煉が部屋に入ってきた。
「翡翠〜紺起きたか?」
「ううん、まだ起きてないよ」
「じゃあベッドに運んでやるか 」
「そうだね」
「じゃあ僕が……」
「いや、僕がやるよ」
「えっ! 翡翠がやるの⁉︎ お前そんなに力強くないだろ……」
「僕だって男だよ。ある程度は持てるよ」
そんな会話が聞こえた。翡翠が俺のこと運べるのか? と思っていると、ふわっと体浮くような感覚がした。そして少し揺られると柔らかい床に置かれる。多分ベッドだろう。
「ほら運べたでしょ」
「まさか翡翠が……」
「流石に煉くんは無理だけどね」
「いや、僕翡翠に持ち上げられたらプライドが傷つきます」
煉がそう言うと二人は部屋から出ていった。ガチャッと扉の閉まる音を聞いてから、俺はゆっくり目を開けた。
「〜〜〜っ!」
顔が暑い。心臓がドクドクいってうるさい。あーもう、鎮まれよ。俺の心臓。
そんなことを考えていると氷雨が部屋に入ってきた。
「紺くん調子どう?」
「えっ、あぁ、大丈夫。調子良くなった」
「そうなの? でも顔赤いよ? 風邪?」
「いや大丈夫……」
「一応測っておこうね」
「うん」
「じゃあ取りに行ってくるね」
氷雨が小走りで行っているみたいでドタドタという足音が聞こえた。少しすると聞こえなくなっていた足音がまた聞こえ、段々と音が大きくなっていった。氷雨、急いで持ってこなくても良いのにと思っていたら。
「紺くん大丈夫?」
「えっ……」
扉を開けた翡翠を見て、ぽつりと呟きが俺の口から零れた。
「ん? どうしたの」
「何で翡翠が……」
今一番会いたくないのになんで⁉︎
「紺くんが心配で氷雨くんに頼んで変わってもらったんだよ」
「そう、なんだ……」
「うん、じゃあ体温測ろうか」
翡翠に渡された体温計を脇に挟んで待つ。体温計の結果が出るまでの間、俺らの間に沈黙が流れる。気まずい。そう思っているとピピピッと無機質な音が響く。
「36.3」
正常な体温だった。
「そうなの? でも顔赤いよ?」
「な、泣いたからじゃないか」
違う。赤くなっているのは、お前がいるからだ! ずっと心臓がバクバクしてる。お前がいるからだよと言いたいけど言えない。バレたくない。翡翠のせいでこんなになっているなんて。
「う〜んでも……」
翡翠が近づいてきて、俺のおでこに手を当てた。
「あんまり暑くないかな」
そう言うと次は首を触れてきた。首をスーッと撫でられ驚いてなのか分からないが、ピクッと俺の体が跳ねた。2秒ぐらい翡翠が俺の首に手を当てる。翡翠が俺に触れる時近くて、どんどん俺の体が熱くなり、心臓もさっきより大きくバクバクと音を鳴らし動いている。俺の心臓の音が翡翠にバレないのか不安だ。
「熱は大丈夫そうだけど、顔が赤いから一応保冷剤取ってくるね」
翡翠が部屋を出ていって閉まる扉の音や足音が聞こえる筈だが、心臓の音によって聞こえるはずの音が全て消えた。
「翡翠のバカ……」
小さな声で呟きを零す。
これは恋なのか? それともキスされたから恥ずかしいだけなのか?
分からない。正解が分からない。
分かるのはただ心臓がうるさくて痛いだけだ。
「好きだよ、紺くん」
って言ってきてキスしてきて。大丈夫か俺。起きているのバレていない? それとも起きているのを知ってやってきた?
ぁああああああああ───ッ! 何なんだよ翡翠! 俺はどうすれば。
そう悩んでいると煉が部屋に入ってきた。
「翡翠〜紺起きたか?」
「ううん、まだ起きてないよ」
「じゃあベッドに運んでやるか 」
「そうだね」
「じゃあ僕が……」
「いや、僕がやるよ」
「えっ! 翡翠がやるの⁉︎ お前そんなに力強くないだろ……」
「僕だって男だよ。ある程度は持てるよ」
そんな会話が聞こえた。翡翠が俺のこと運べるのか? と思っていると、ふわっと体浮くような感覚がした。そして少し揺られると柔らかい床に置かれる。多分ベッドだろう。
「ほら運べたでしょ」
「まさか翡翠が……」
「流石に煉くんは無理だけどね」
「いや、僕翡翠に持ち上げられたらプライドが傷つきます」
煉がそう言うと二人は部屋から出ていった。ガチャッと扉の閉まる音を聞いてから、俺はゆっくり目を開けた。
「〜〜〜っ!」
顔が暑い。心臓がドクドクいってうるさい。あーもう、鎮まれよ。俺の心臓。
そんなことを考えていると氷雨が部屋に入ってきた。
「紺くん調子どう?」
「えっ、あぁ、大丈夫。調子良くなった」
「そうなの? でも顔赤いよ? 風邪?」
「いや大丈夫……」
「一応測っておこうね」
「うん」
「じゃあ取りに行ってくるね」
氷雨が小走りで行っているみたいでドタドタという足音が聞こえた。少しすると聞こえなくなっていた足音がまた聞こえ、段々と音が大きくなっていった。氷雨、急いで持ってこなくても良いのにと思っていたら。
「紺くん大丈夫?」
「えっ……」
扉を開けた翡翠を見て、ぽつりと呟きが俺の口から零れた。
「ん? どうしたの」
「何で翡翠が……」
今一番会いたくないのになんで⁉︎
「紺くんが心配で氷雨くんに頼んで変わってもらったんだよ」
「そう、なんだ……」
「うん、じゃあ体温測ろうか」
翡翠に渡された体温計を脇に挟んで待つ。体温計の結果が出るまでの間、俺らの間に沈黙が流れる。気まずい。そう思っているとピピピッと無機質な音が響く。
「36.3」
正常な体温だった。
「そうなの? でも顔赤いよ?」
「な、泣いたからじゃないか」
違う。赤くなっているのは、お前がいるからだ! ずっと心臓がバクバクしてる。お前がいるからだよと言いたいけど言えない。バレたくない。翡翠のせいでこんなになっているなんて。
「う〜んでも……」
翡翠が近づいてきて、俺のおでこに手を当てた。
「あんまり暑くないかな」
そう言うと次は首を触れてきた。首をスーッと撫でられ驚いてなのか分からないが、ピクッと俺の体が跳ねた。2秒ぐらい翡翠が俺の首に手を当てる。翡翠が俺に触れる時近くて、どんどん俺の体が熱くなり、心臓もさっきより大きくバクバクと音を鳴らし動いている。俺の心臓の音が翡翠にバレないのか不安だ。
「熱は大丈夫そうだけど、顔が赤いから一応保冷剤取ってくるね」
翡翠が部屋を出ていって閉まる扉の音や足音が聞こえる筈だが、心臓の音によって聞こえるはずの音が全て消えた。
「翡翠のバカ……」
小さな声で呟きを零す。
これは恋なのか? それともキスされたから恥ずかしいだけなのか?
分からない。正解が分からない。
分かるのはただ心臓がうるさくて痛いだけだ。