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二度目の告白 ~君なしではダメ~

ポケットから出したスマートフォンの画面に一番見慣れた電話番号を表示する。
呼出音を聞きながら、何度も頬を拭った。

『もしもし』
「…あ、……俺だけど…」
『うん、どうした?那智』

変わらない奎亮の声に、直ぐにまた瞼の奥が熱くなって来る。

「別に…用って訳じゃ無いけど……何か奎亮の声が聴きたくなって…」
『…那智、何かあった?最近何か様子がおかしいぞ』
「…っ、な…にも…」

微かにしゃくり上げる。
それが聞こえてしまったのかもしれない。

『那智、俺言ったよな。俺には隠し事しないでくれって』
「…奎亮」
『那智の思ってる事、言いたい事、ちゃんと言ってくれ』

堪え切れなかった涙がまた溢れ出す。

「…奎亮っ、……会いたい…会いたいんだ」
『うん、俺も那智に会いたい』
「そうじゃなくてっ!…そうじゃ…なくて…」


我が儘だと分かっている。
俺だって仕事がある。
奎亮にだって何より大切にしてきたミモザ館がある。
でも今はその全てを投げ出して奎亮に会いたい。
奎亮にも会いたいと言って欲しい。


『…那智、次の休みっていつ?』
「…え?」
『実はさぁ、最近那智不足なんだよね、俺』
「え?…それはどういう…」
『雑誌とか広告とかじゃなくて本物の那智に会いたい。那智に触れたい』
「…っ、奎亮…」
『次の休みが分かったら教えて。こっちも可能なら休みにする。ううん、無理にでも休みにして那智に会いに行くから』
「奎亮…」

スマホを耳に押し当てながら何度も何度も手で涙を拭う。

『あ、でも大翔と透真が一緒でも良いか?彼奴等、自分達も連れて行けって最近しつこくてさ。けどそっちに行ったら二人は追い出すから心配するなよ?』
「うん…うん、休みが決まったら直ぐに連絡する。俺も時間作ってまたミモザ館に行くよ」
『待ってる。…那智、無理はするなよ』

奎亮の優しい声が耳に響いて、胸に沁み込んで…それだけで心が軽くなった気がした。

「うん、ありがとう…奎亮」
『好きだよ、那智。早く会いたい』
「…俺もだ、俺も…奎亮が好きだ」



少し笑い合って通話を切った後、スケジュールを確認する為にマネージャーの早瀬さんの番号を呼び出した。


- 終 -

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