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二度目の告白 ~君なしではダメ~

並べたクッションの上でじゃれ合う様にしている爽汰と水谷さんをファインダー越しに覗く。
昨日最後に涙を見せた爽汰も、先刻の挑む様に俺を見ていた水谷さんも、今は笑っている。
それも “輝く様な” という表現がぴったりの笑顔で、さすが二人共プロのモデルなんだなと改めて思った。



「では一旦休憩します」

カメラのレンズを交換しながらふと見ると、スタジオの隅に置かれたテーブルの上のお菓子を爽汰と水谷さんがどれを食べようかと選んでいる様子だった。

「ドム、ちょっとカメラ頼んでいいか?」
「うん」

ドミニクにカメラを渡して二人の方へ近づく。

「爽汰、そっちのグミ取って」
「え~、こっちのチョコ食べよ~よ」
「え~、太るじゃん」

互いに手にしたお菓子を奪う様に巫山戯け合っている二人に、胸の奥がチリッと痛んだ。


大丈夫……落ち着け、俺
水谷さんも言ってただろ、『爽汰とは兄弟みたいな親友』だって


「あの…」

少し震える声で声を掛けると、二人が同時に俺を振り返った。

「ちょっと……良いですか?」
「はい」
「…何ですか?」

訝しげな視線で俺を見る水谷さんとは対照的に、爽汰はいつもと同じ様に笑いながら俺を見た。
でも判ってしまう。
いつもと同じ様に笑う爽汰の笑顔が、今までとは違っている事に。
何処か他人行儀なその笑顔にハッキリと胸が痛かった。

「次の撮影って屋外ですよね。その撮影に入る前に御二人に見て頂きたいんです」
「え?でも那智さんは…」
「…俺は今日だけだと聞いてますけど?」
「事務所からはできれば二人の写真をもう少し増やして欲しいと言われてます。水谷さんと居る時の爽…六倉さんは、…とても良い表情をされるので」
「………」
「…まぁ俺は…爽汰が良いんなら…」
「俺は良いに決まってるよ!それでその場所って何処ですか?いつ行くんですか?」
「あっ、でも俺は明日別の仕事だぞ?」
「でも事務所の意向なら日程調整は大丈夫なんじゃない?ね、千屋さん」


胸が…ドクンと鳴った。


「…こっちの予定を何とかズラして調整します。明後日の午前中は大丈夫ですか?」
「俺は今はこの撮影だけだから大丈夫です」
「…俺も…多分」
「場所はまた後でお伝えします」

「分かりました」と言う二人に軽く頭を下げドミニクの居る場所まで戻る。



ずっと他人行儀なままの爽汰の態度が……胸を締めつける様に痛かった。


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