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二度目の告白 ~君なしではダメ~

「っ!?」

水谷さんの問いに咄嗟に言葉を失った。


どうしてこの人がそんな事を訊くのだろう?
俺が爽汰をどう思っていようと水谷さんに関係あるんだろうか?

もしかして…水谷さんは爽汰の事を?
けど彼は氏原さんの…


「……っんで、そんなコト…」
「アイツ…爽汰はよく千屋さんの事を話してくれました。千屋さんの話をする時の爽汰はいつも嬉しそうで…。でも最近の爽汰は見てて寂しそうで」
「……」
「今回の写真集の話を俺に話してくれた時に言ってたんです。『理由とか無くても好きだから会いたいんだ』て。その気持ち、俺にも分かるから…だから爽汰の事、放っておけなくて」
「……水谷さんは……爽汰が好きなんですか?」
「え?」
「…俺……見たんです、昨日二人が一緒に居る処を。水谷さんが爽汰を抱き締めてるのを」
「あっ、あれは!…あれはその、…爽汰が今にも泣き出しそうな顔をしてたから…」

焦ったのかしどろもどろになる水谷さんから顔を逸らす。

「再会してからのアイツは俺の前で泣くなんて殆どと無かった。なのに水谷さんの前では素直に泣けるんなら、水谷さんと居る時の爽汰が本来のアイツの姿なんだと思いますよ。水谷さんだって本当は爽汰の事が」
「俺と爽汰はそんなんじゃないっ!!」

強い言葉にもう一度水谷さんを見ると、挑む様に俺を見ていた。

「俺にとって爽汰はこの世界で初めてできた親友で、それ以上でも以下でもない!爽汰はアンタしか見てないんだ!アンタに “会いたい、一緒に居たい” て一言言って欲しくてアイツは…」

水谷さんが少し俯いて唇を噛むのが見えた。

「…俺だって不安だった。千屋さんは奎亮と親しいから…奎亮にとって特別な人だから、だから…俺は…」
「え…?」
「…千屋さんが撮った奎亮の写真は、アイツがどれだけミモザ館を大切に思っているか、それを理解してなきゃ撮れない写真だ。あの写真を見て俺は……奎亮にも千屋さんにも嫉妬したんだ」
「……」
「爽汰が言ってました。『兄さんが氏原さんや林さんの時みたいにちゃんと俺を見て、俺の想いを受け止めてくれるのか確かめたい』て。…俺も知りたいんです、あなたが本当に好きなのは爽汰なのか奎亮なのかそれとも他の誰かなのか」
「俺っ、は…」

言葉に詰まった俺を見て、水谷さんが頭を下げた。

「すみません、偉そうな事を言って」
「……いえ」
「でもこれだけは知ってて欲しいんです。爽汰は千屋さんを本当に心から想ってます。それから俺と爽汰は親友…兄弟みたいな親友、それだけです」

頭を上げた水谷さんが真っ直ぐに俺を見た。
その視線の真っ直ぐさに何も言えなくなって俺も水谷さんを見つめる事しかできない。



「瑞希さん、遅くなってごめん!」

不意に扉が開き息を切らせながら入って来たドミニクと入れ替わる様にして、水谷さんがスタジオから出て行った。

「…俺、邪魔しちゃった?」
「いや…気にするな…」

ドミニクがコンビニの袋から出したコーヒーを受け取りながら、爽汰の笑顔と泣き顔が幾重にも重なりながら脳裏を過った。


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