二度目の告白 ~君なしではダメ~
スタジオに向かう足取りが重い。
昨日見た光景が頭から離れない。
爽汰は俺と別れた後水谷さんと会っていた。
偶々かもしれない。
本当に偶然スタジオの玄関で会っただけかもしれない。
でもだからって抱き締めたりするか?
俺と言い合ったからって……あんな…縋る様に。
水谷さんも爽汰の頭や背中を優しく撫でていた。
多分俺が追い掛けていたなんて気づいてなかったんだろう、水谷さんの手は……本当に優しく爽汰に触れていた。
水谷さんは爽汰の事をどう思っているんだろう?
好き?嫌い…ではない筈だ。
ならそれはどういう “好き” なんだ?
でも水谷さんは氏原さんと付き合っている筈だ。
俺の知る限り二人が別れたなんて話は聞いてないし、水谷さんは浮気とか二股とかそんな事をする人だとは思えない。
でも……俺が知らないだけで…もし…
そんな風に考えてしまって、慌てて頭を振る。
そんな考えは水谷さんは勿論、氏原さんにだって失礼に当たる。
あの二人がどれだけお互いを大切に想い合っているのか何度も見てきた筈なのに…
「瑞希さん、大丈夫?」
少し足元をフラつかせた俺を支える様に腕を引かれて我に返った。
隣で心配そうに俺を見るドミニクの肩を軽く叩く。
「サンキュ、ドム。大丈夫、ちょっと寝不足なだけだ。やっぱ緊張してるんだな」
寝不足なのは本当だから、まだ心配そうなドミニクに「大丈夫だって」と笑い掛けた。
午前中の撮影が予定より早く終わって、爽汰の写真集撮影に合流する為スタジオへと向かう。
事務所に寄ってから向かうと言うマネージャーの早瀬さんに断って先に向かったスタジオ入り口の扉を開けると、
「……千屋…さん?」
「えっ?」
撮影の開始時間までまだだいぶ早い筈なのに、其処には千屋瑞希さんが一人で黙々と作業をしていた。
「……どうも、…今日はよろしくお願いします」
「…………こちらこそ…」
「随分早いんですね?」
「……まぁ、…色々…準備したかったので…」
「撮影って…千屋さんが一人で?」
「…いや、同僚にサポートで入って貰ってます。今飲み物買いに行ってくれてるんで」
「そう…ですか」
再び黙々と作業を続ける千屋さんの横顔をジッと見る。
爽汰がずっと想い続ける大切な想い人
奎亮にとって多分特別な人で、奎亮を理解している人
…千屋さんは二人をどう思っているんだろう?
ふと湧き上がった思いはどんどん膨らんで行った。
「あの」
全く同じタイミングで掛けた声に二人共ぎこちない態度になる。
ずっと感じる視線が気になって、どうにも準備が進まなくて…いや、気になっているのは俺も同じで水谷さんの様子をずっと探っていた。
「え?」
「あ、いや…何ですか?」
「いえ、俺は別に…そっちこそ…」
「い、いや俺も別に…」
「………」
「…あの、……一つ訊いても良いですか?」
一瞬躊躇ってから俺を見た水谷さんの視線に拒否できない何かを感じた。
「……何ですか?」
「千屋さんは……爽汰の事をどう思ってるんですか?」
昨日見た光景が頭から離れない。
爽汰は俺と別れた後水谷さんと会っていた。
偶々かもしれない。
本当に偶然スタジオの玄関で会っただけかもしれない。
でもだからって抱き締めたりするか?
俺と言い合ったからって……あんな…縋る様に。
水谷さんも爽汰の頭や背中を優しく撫でていた。
多分俺が追い掛けていたなんて気づいてなかったんだろう、水谷さんの手は……本当に優しく爽汰に触れていた。
水谷さんは爽汰の事をどう思っているんだろう?
好き?嫌い…ではない筈だ。
ならそれはどういう “好き” なんだ?
でも水谷さんは氏原さんと付き合っている筈だ。
俺の知る限り二人が別れたなんて話は聞いてないし、水谷さんは浮気とか二股とかそんな事をする人だとは思えない。
でも……俺が知らないだけで…もし…
そんな風に考えてしまって、慌てて頭を振る。
そんな考えは水谷さんは勿論、氏原さんにだって失礼に当たる。
あの二人がどれだけお互いを大切に想い合っているのか何度も見てきた筈なのに…
「瑞希さん、大丈夫?」
少し足元をフラつかせた俺を支える様に腕を引かれて我に返った。
隣で心配そうに俺を見るドミニクの肩を軽く叩く。
「サンキュ、ドム。大丈夫、ちょっと寝不足なだけだ。やっぱ緊張してるんだな」
寝不足なのは本当だから、まだ心配そうなドミニクに「大丈夫だって」と笑い掛けた。
午前中の撮影が予定より早く終わって、爽汰の写真集撮影に合流する為スタジオへと向かう。
事務所に寄ってから向かうと言うマネージャーの早瀬さんに断って先に向かったスタジオ入り口の扉を開けると、
「……千屋…さん?」
「えっ?」
撮影の開始時間までまだだいぶ早い筈なのに、其処には千屋瑞希さんが一人で黙々と作業をしていた。
「……どうも、…今日はよろしくお願いします」
「…………こちらこそ…」
「随分早いんですね?」
「……まぁ、…色々…準備したかったので…」
「撮影って…千屋さんが一人で?」
「…いや、同僚にサポートで入って貰ってます。今飲み物買いに行ってくれてるんで」
「そう…ですか」
再び黙々と作業を続ける千屋さんの横顔をジッと見る。
爽汰がずっと想い続ける大切な想い人
奎亮にとって多分特別な人で、奎亮を理解している人
…千屋さんは二人をどう思っているんだろう?
ふと湧き上がった思いはどんどん膨らんで行った。
「あの」
全く同じタイミングで掛けた声に二人共ぎこちない態度になる。
ずっと感じる視線が気になって、どうにも準備が進まなくて…いや、気になっているのは俺も同じで水谷さんの様子をずっと探っていた。
「え?」
「あ、いや…何ですか?」
「いえ、俺は別に…そっちこそ…」
「い、いや俺も別に…」
「………」
「…あの、……一つ訊いても良いですか?」
一瞬躊躇ってから俺を見た水谷さんの視線に拒否できない何かを感じた。
「……何ですか?」
「千屋さんは……爽汰の事をどう思ってるんですか?」