二度目の告白 ~君なしではダメ~
「爽汰さん、今日は何だかやけに機嫌がイイですね~」
「え~、そうですか~?いつもですよ」
メイクを担当する女性スタッフが笑いながら言うのに、俺も笑いながら答える。
「あ、分かった。何かすっごい良い事があったんでしょう!」
「え~?どうかなぁ」
メイク直しを終えカメラの前にスタンバイすると
「いやホントに!今日の六倉 さん、めちゃくちゃ調子が好いからこっちも撮り甲斐っていうか腕が鳴りますよ!」
「え~、それじゃいつもは全然ダメみたいじゃないですか~」
俺の言葉にスタジオ内の彼方此方から笑い声が上がった。
「も~、だったら俺の調子が好い内にバンバン撮っちゃってくださいね」
「了解です!あ、JOYさんも準備できましたか?では二人並んでくださーい」
通路の奥から今回初めて一緒に撮影をする女性モデルのJOYさんが出て来て、俺を見るやパッと走り寄りペコッとお辞儀をした。
「初めまして!今日はよろしくお願いします!」
女性モデルとしては少し小柄な所為かまるで小動物の様なその動きに思わず笑ってしまった。
「こちらこそ、よろしくお願いします。お互い頑張りましょう!」
「はいっ!」
「はいはーい、挨拶が終わった処で撮影入りますよ~。JOYさん、もっと六倉さんの方に寄ってください。六倉さん、JOYさんの肩を抱き寄せる様にして…」
軽く交わした手を離すと、指示に従いながらカメラへと視線を向けた。
スタジオの入り口付近に居たスタッフに挨拶をしていると、楽しそうな笑い声が聞こえて来た。
中へ入ると明るい照明とシャッター音が目と耳を刺激した。
「六倉さん、JOYさんの肩を抱き寄せる様にして…そうそう、もっと寄り添ってみて。二人共イイ感じですよ~」
カメラマンの声がする方を見ると爽汰と女性モデルが並んで立って居た。
「JOYさん、六倉さんの肩に凭れてみてください。六倉さん、JOYさんの頬に手を添えてみて…そこで二人見つめ合う感じで視線を合わせて」
女性モデルが甘える様に爽汰の肩に凭れた。
爽汰の手がそっと撫でる様に彼女の頬に触れた。
甘く見つめ合う二人は傍から見れば、美男美女で似合いのカップルだ。
どうして俺なんだろう…
ふとそんな思いが浮かんだ。
爽汰はどうして俺なんかを好きなんだ?
子供の頃からモテて今はトップモデルとして人気も実績もある。
しかも最近は演技も評価され俳優としても着実に支持を得ている。
ファンにしろモデルや女優にしろ、アイツの周りには可愛くてスタイルも良い女の子がたくさん居る筈だ。
それなのにどうして俺が好きだと言うんだ?
胸の奥がチリチリと痛い。
熱く焼けたナイフで少しずつ刺されている様なその痛みが、徐々に俺の心を全身を蝕んで行く様な感覚に囚われた。
「ではちょっとセットを変えますので、二人はそのまま待機してくださ~い」
不意に響いた声に我に返ると、爽汰が俺に気づいたのかこっちを見て笑った。
周りのスタッフを気にしていないのか、それとも気づかれても構わないと思っているのか、先刻までのトップモデルでも人気俳優でもない、多分カメラのレンズには決して向けた事が無いだろう、俺のよく知る……幼馴染の笑顔だった。
「え~、そうですか~?いつもですよ」
メイクを担当する女性スタッフが笑いながら言うのに、俺も笑いながら答える。
「あ、分かった。何かすっごい良い事があったんでしょう!」
「え~?どうかなぁ」
メイク直しを終えカメラの前にスタンバイすると
「いやホントに!今日の
「え~、それじゃいつもは全然ダメみたいじゃないですか~」
俺の言葉にスタジオ内の彼方此方から笑い声が上がった。
「も~、だったら俺の調子が好い内にバンバン撮っちゃってくださいね」
「了解です!あ、JOYさんも準備できましたか?では二人並んでくださーい」
通路の奥から今回初めて一緒に撮影をする女性モデルのJOYさんが出て来て、俺を見るやパッと走り寄りペコッとお辞儀をした。
「初めまして!今日はよろしくお願いします!」
女性モデルとしては少し小柄な所為かまるで小動物の様なその動きに思わず笑ってしまった。
「こちらこそ、よろしくお願いします。お互い頑張りましょう!」
「はいっ!」
「はいはーい、挨拶が終わった処で撮影入りますよ~。JOYさん、もっと六倉さんの方に寄ってください。六倉さん、JOYさんの肩を抱き寄せる様にして…」
軽く交わした手を離すと、指示に従いながらカメラへと視線を向けた。
スタジオの入り口付近に居たスタッフに挨拶をしていると、楽しそうな笑い声が聞こえて来た。
中へ入ると明るい照明とシャッター音が目と耳を刺激した。
「六倉さん、JOYさんの肩を抱き寄せる様にして…そうそう、もっと寄り添ってみて。二人共イイ感じですよ~」
カメラマンの声がする方を見ると爽汰と女性モデルが並んで立って居た。
「JOYさん、六倉さんの肩に凭れてみてください。六倉さん、JOYさんの頬に手を添えてみて…そこで二人見つめ合う感じで視線を合わせて」
女性モデルが甘える様に爽汰の肩に凭れた。
爽汰の手がそっと撫でる様に彼女の頬に触れた。
甘く見つめ合う二人は傍から見れば、美男美女で似合いのカップルだ。
どうして俺なんだろう…
ふとそんな思いが浮かんだ。
爽汰はどうして俺なんかを好きなんだ?
子供の頃からモテて今はトップモデルとして人気も実績もある。
しかも最近は演技も評価され俳優としても着実に支持を得ている。
ファンにしろモデルや女優にしろ、アイツの周りには可愛くてスタイルも良い女の子がたくさん居る筈だ。
それなのにどうして俺が好きだと言うんだ?
胸の奥がチリチリと痛い。
熱く焼けたナイフで少しずつ刺されている様なその痛みが、徐々に俺の心を全身を蝕んで行く様な感覚に囚われた。
「ではちょっとセットを変えますので、二人はそのまま待機してくださ~い」
不意に響いた声に我に返ると、爽汰が俺に気づいたのかこっちを見て笑った。
周りのスタッフを気にしていないのか、それとも気づかれても構わないと思っているのか、先刻までのトップモデルでも人気俳優でもない、多分カメラのレンズには決して向けた事が無いだろう、俺のよく知る……幼馴染の笑顔だった。