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禁じられた恋 ~ Forbidden Lover ~

和真兄さんは女の人によくモテる。
中学生になった頃からクラスメートだけでなく、上級生や下級生、他校の女子生徒からも貰ったというラブレターやプレゼントを持って帰って来た。
けれど特に気になる相手ができなかったのか、一度として誰かを彼女として家に連れて来る事は無く、いつだって来るのは男友達ばかりだった。

でもその回数は段々と減っていき、あの夏の日以降は殆ど友達を呼ぶ事は無かった。
そんな中で伸樹先輩は特別だったのだろう。
先輩だけは何度も家に遊びに来た。
けれど僕が先輩と付き合うようになってからは、本当に誰も呼ばなくなった。


そんな時、偶然僕は見てしまった。
兄さんが、学校の中庭で女子生徒と一緒に居る所を…


兄さんの腕に自分の腕を絡めて甘えるような仕種で兄さんを見上げる女子生徒
そんな彼女を優しく笑いながら見つめる兄さん
誰がどう見たって2人は彼氏と彼女のそれだった

兄さんの肩に小さく凭れるように寄り添った彼女を見た瞬間、僕は走り出した。
込み上げてくる叫び出しそうな声と続く嘔吐感を必死に我慢して廊下を走り、トイレに駆け込み個室に入ると同時に我慢できずに胃の内容物を全て吐き出した。


どうしてかあの時 “裏切られた” と、本気でそう思った…


気に入ったタイプの彼女ができないから僕に手を出したの?
身近に居て簡単に触れられるなら僕じゃなくても良かった?

そんな馬鹿げた考えが頭を過って、空っぽになった筈の胃が再び痙攣するような感覚に襲われて、口の中に酸っぱい液体が逆流してきた。

その日は、その後の事は殆ど覚えていない。
家に帰ってからも兄さんと何か言葉を交わした記憶も無い。



あの日から何ヶ月経った?
まだたった数ヶ月だ…


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