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禁じられた恋 ~ Forbidden Lover ~

「今度の連休は、久しぶりに家族皆で旅行にでも行くか?」

夕飯を囲む食卓で、珍しく父さんが上機嫌で言った。

「あらあなた、お仕事は大丈夫なの?」
「ああ。今回は出張の予定も無いし、久しぶりにちゃんと休めそうなんだ」
「ほんとに?!なら少し遠くにも行けるわね。賛成!どこに行こうかしら?」
「お前達は?2人共行くだろ?」

父さんが俺と悠宇を見た。

「あ、ごめん。僕、今度の連休は友達の家に行くから」
「何だ、泊まりなのか?」
「うん」
「別の日に変えられないの?」
「もう約束しちゃったから…ごめんね、母さん」

残念そうな義母さんに悠宇が申し訳無さそうな笑顔を向けた。

「まあ、仕方ないさ。悠宇ももう高校生だ。友達との付き合いも大事だよな」
「和真は?」
「あ、う、うん…俺もちょっと…」
「あら、そうなの…残念ね…」
「父さんと義母さん2人で行って来なよ。夫婦水入らずってのも良いんじゃない?」

「そうね」と楽しそうに笑う2人を見ながら、お茶で無理矢理ご飯を飲み込んだ。




「悠宇、ちょっと良いか?」

夕食後、悠宇の部屋のドアをノックする。

「……何?」

無気質な応答で俺を部屋に入れた悠宇は、勉強机に向かったまま決して俺を見ようとしない。

初めて悠宇を抱いたのはこの部屋だった。
その後も何度かこの部屋で悠宇を無理矢理抱いたけど、俺が高校に入った頃から「自分の部屋は嫌だ」という悠宇の願いを聞き入れてそれからはずっと俺の部屋でだったから警戒しているのだろう…探るような気配が感じられる。

「…連休、泊まりに行く友達って……もしかしてノブさん?」
「そうだよ。分かってるなら一々訊かないで」

用が済んだなら出て行けと言わんばかりの空気に、ぎゅっと両手を握り締める。

「……泊まって…何するんだよ?」
「………は…?」
「勉強を教えてもらったり遊ぶだけなら泊まる必要なんか無いだろ?泊まりでノブさんの家に行って、ノブさんに抱か」
「ちょっとやめてよ!!義父さんや母さんに聞こえたらどうするの!?」

明らかに怒っていると見て取れる顔が振り返った。



俺が高校に進学して一番仲が良くなったのが1学年上のノブ先輩だった。
初めて家に遊びに来た時ノブ先輩が悠宇に一目惚れして「紹介してくれ」と俺に何度も頭を下げた。
俺を避けたがっていた悠宇が同じ高校に進学したのは、ノブ先輩が居たからだ。
2人が付き合う事になった時、ノブ先輩は「絶対に悠宇を泣かせたりしないから」と俺に言ってくれた。

いつか、いつかそんな関係になるだろう事は予想していた。
でもきっと悠宇は嫌がると、そうなる前にノブ先輩と別れるだろうと予測していた。
俺に何度も抱かれ犯されてきた悠宇が、他の男にそれを許すとはどうしても思えなかったから…



……いや、思いたくなかった



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