禁じられた恋 ~ Forbidden Lover ~
悠宇と初めて逢ったのは10歳のクリスマス・イブだった。
仕事で家を空ける事が多かった父さんが珍しく外で食事をしようと連れて行ってくれたレストランで、幼い頃に亡くなった写真でしか思い出す事のできない母親と何処か似た面影を持った女の人と会った。
「こんにちは、和真君。初めまして」
そう言って優しく微笑んだその人の後ろに隠れるようにして立っていた、俺と同い年くらいの少年。
それが悠宇だった…
「ほら、悠宇もご挨拶して」
「…こ、…こんにちは…」
「……初めまして…」
おずおずと差し出された手を握り返した時、花が咲くように悠宇が笑った。
あの時から、悠宇が俺のすべてになった…
何があってもどんな時でも何処に居ても、悠宇を守り悠宇の為に悠宇の力になる事。
それが俺の使命であり存在意義だと思ってきた。
悠宇の隣で悠宇の頼れる兄でいる事、それだけで良かった筈なのに、成長と共に肥大する想いはいつしか俺の胸の内だけに収まりきらなくなって、両親不在だった中3のあの夏の日、俺は悠宇の頼れる兄でいる事を自ら放棄した。
あの日から悠宇は俺を見ない。
いつだって俺を見て、俺の後ろを追いかけて来た悠宇はもう居ない。
あの日から悠宇は俺に触れない。
離れないように、迷子にならないようにと繋がれていた手を、悠宇から触れてくる事はない。
そうさせたのは俺なのに、誰も居ない後ろを振り返ったり、空いたままの手を寂しく感じる時がある。
…俺はどこまで酷い男なんだろうか?
仕事で家を空ける事が多かった父さんが珍しく外で食事をしようと連れて行ってくれたレストランで、幼い頃に亡くなった写真でしか思い出す事のできない母親と何処か似た面影を持った女の人と会った。
「こんにちは、和真君。初めまして」
そう言って優しく微笑んだその人の後ろに隠れるようにして立っていた、俺と同い年くらいの少年。
それが悠宇だった…
「ほら、悠宇もご挨拶して」
「…こ、…こんにちは…」
「……初めまして…」
おずおずと差し出された手を握り返した時、花が咲くように悠宇が笑った。
あの時から、悠宇が俺のすべてになった…
何があってもどんな時でも何処に居ても、悠宇を守り悠宇の為に悠宇の力になる事。
それが俺の使命であり存在意義だと思ってきた。
悠宇の隣で悠宇の頼れる兄でいる事、それだけで良かった筈なのに、成長と共に肥大する想いはいつしか俺の胸の内だけに収まりきらなくなって、両親不在だった中3のあの夏の日、俺は悠宇の頼れる兄でいる事を自ら放棄した。
あの日から悠宇は俺を見ない。
いつだって俺を見て、俺の後ろを追いかけて来た悠宇はもう居ない。
あの日から悠宇は俺に触れない。
離れないように、迷子にならないようにと繋がれていた手を、悠宇から触れてくる事はない。
そうさせたのは俺なのに、誰も居ない後ろを振り返ったり、空いたままの手を寂しく感じる時がある。
…俺はどこまで酷い男なんだろうか?