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禁じられた恋 ~ Forbidden Lover ~

兄さんの腕の中で甘えるように体を擦り寄せる。
すると、兄さんが僕の頭を優しく撫でてくれた。

「僕ね……最初は確かに怖かった。兄さんに無理矢理されて “何でこんな酷い事するの!” て…いつも思ってた」

兄さんの頭を撫でてくれる手が止まった。
その手を引き寄せ頬を寄せる。

「でもね…いつも最後に頭を撫でてくれるこの手に……凄く安心したんだ。和真のこの手で撫でて欲しくて……僕…」



悠宇の頬をするりと撫で、悠宇の顎を持ち上げる。

「ご免な、悠宇。悠宇にばっか嫌な思いさせて…辛い思いさせて…俺、本当にバカでガキだったよな。ちゃんと言えば良いのに酷い事ばっかり…」

泣き笑いのような顔で悠宇が首を振る。

「ううん、ちゃんと言わなかったのは僕も同じだから。それにね……僕は兄さんが好きだって気づいたのさっきだもん…」
「えっ?」
「兄さんに抱かれて嫌な筈なのに心の何処かで嬉しいと思うのは何故なのか、兄さんに彼女ができてどうして腹が立ったのか…ずっと分からなかったんだ…」



兄さんの視線が揺れた。
動揺しているんだろう…当然だ、僕だって気づいたばかりだ…

「でも、今日家を出る時兄さんに『何処にも行くな。傍に居ろ』て言われて、伸樹先輩に頭を撫でられてやっと気づいたんだ。僕はずっと兄さんの事が好きだったんだ…だから触れられて本当は嬉しかったんだって…」

兄さんの胸に頬を寄せると、兄さんの鼓動が耳に心地好く響いた。

「ねえ兄さん、お願いがあるんだ…」



悠宇が真っ直ぐに俺を見た。
もう二度と、こんな風に見てはもらえないと思っていた…

「僕以外の誰にも触れないで。和真が触って良いのは僕だけで、和真に触って良いのも僕だけにして……お願い」

拒否なんてできる筈も無いお願いに、悠宇の頭を撫で腕の中に抱く。

「約束する。俺に触れて良いのは悠宇だけで、俺が触れるのも悠宇だけだ…」



腕の中にある互いの体をぎゅっと抱き締める。

「父さんと義母さんには秘密だぞ」
「うん。僕達って、まるで秘密の恋人…ううん、禁じられた恋人だね」

お互いに顔を寄せ見つめると、笑い合いそっと唇を重ねた。



- 終 -

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