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禁じられた恋 ~ Forbidden Lover ~

「悠宇?」
「ご、ご免なさいっ!ぼ、僕…やっぱり…」

次々に溢れてくる涙を止められず、泣きじゃくる僕を伸樹先輩が優しく抱き締めてくれた。

「悠宇、大丈夫だから。落ち着いて」
「僕、僕っ…ご免なさい…」

あやすように宥めるように僕の背中をずっと撫でてくれる先輩の手。
なのに今になってやっと気づいた。
僕が欲しかったのはこの手じゃないという事に…

「先輩っ、ご免…なさい…」


和真兄さんに初めて抱かれた時、部屋を出る前兄さんは優しく僕の頭を撫でた。
ぎこちないけど一生懸命に、優しく優しく撫でてくれた。
それからずっと、兄さんは僕を抱くとその度にいつも優しく頭を撫でた。

「ゴメンな」と言うように、僕を気遣うように、そっと優しく…

本当に酷い事なのに、誰にも言えない、一生隠し通さなきゃいけない事なのに、あの手で撫でられると何故か心が軽くなった。
何故か次もまた兄さんを受け入れていた。


『何処にも行くな。俺の傍に居ろよ』


今朝あの言葉を言われて、胸の奥のずっと奥の方で何かが悲鳴を上げたと思った。
あの時、僕は嬉しかったんだ…もしかしたら兄さんは僕が好きなんじゃないかと、悦んだんだ…



…僕はずっと、ずっと和真兄さんが好きだったんだ…



「先ぱ…ごめっ、なさ…僕やっぱり…」
「……悠宇、好きな奴が居るんだろ?」

先輩の言葉に涙でグシャグシャになっているであろう顔を上げる。
暫く先輩の顔を見つめてから俯き、小さく頷く。

「…それって…俺の知ってる奴?」

もう一度頷く。

「そっかぁ~」
「ご免なさいっ、本当にご免なさい!」

両手で顔を覆うと、伸樹先輩が僕を抱き締めてくれる腕に僅かに力を込めた。

「もう良いって悠宇。仕方ないよ、誰かを好きになるってさ…自分でもどうにかできる事じゃないだろ」

そう言って背中を何度も撫でてくれる先輩の腕の中で、僕は声を出して泣いた。


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