禁じられた恋 ~ Forbidden Lover ~
「じゃあ、母さん達はもう行くけど、後の戸締りしっかりね」
「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」
玄関先で義父さんと母さんを見送る。
ドアを閉めた後、階段を上がり兄さんの部屋の前で立ち止まった。
一昨日、僕が学校から帰ると兄さんは既に帰っていた。
そして部屋から一歩も出て来なかった。
昨日、兄さんが彼女と別れたらしいと隣のクラスの女子が噂していた。
兄さんは昨日も食事以外は部屋に籠もって出て来なかった。
僕には関係無いと思っていた…
「…兄さん、僕ももう出かけるから」
一言だけ声を掛けて兄さんの部屋の前から離れる。
自分の部屋へ戻り準備していた荷物を持ってまた階段を下りた。
玄関で座って靴を履いていると、不意に腕を強く引かれる。
驚いて振り返ると、いつの間に下りて来たのか兄さんが後ろに立っていた。
「…な、何?」
「………行くなよ…」
「え…?」
「……ノブさんのとこへ行くな」
「…え?」
僕の腕を掴む指先に更にぎゅっと力が込められるのが分かった。
「ちょっ、…痛いよ…兄さん」
「…此処に居ろよ」
「何…言って」
「何処にも行くな。俺の傍に居ろよ」
「っ…!」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
兄さんの目が真っ直ぐに僕を見る。
怖いくらいに真剣な眼差しに、胸の奥のずっと奥の方で何かが悲鳴を上げた。
和真兄さんのその目は、僕を初めて抱いた時のそれと同じに見えた。
「離っ、し…て!!」
「悠宇っ!」
兄さんの手を振り切って、家から飛び出した。
「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」
玄関先で義父さんと母さんを見送る。
ドアを閉めた後、階段を上がり兄さんの部屋の前で立ち止まった。
一昨日、僕が学校から帰ると兄さんは既に帰っていた。
そして部屋から一歩も出て来なかった。
昨日、兄さんが彼女と別れたらしいと隣のクラスの女子が噂していた。
兄さんは昨日も食事以外は部屋に籠もって出て来なかった。
僕には関係無いと思っていた…
「…兄さん、僕ももう出かけるから」
一言だけ声を掛けて兄さんの部屋の前から離れる。
自分の部屋へ戻り準備していた荷物を持ってまた階段を下りた。
玄関で座って靴を履いていると、不意に腕を強く引かれる。
驚いて振り返ると、いつの間に下りて来たのか兄さんが後ろに立っていた。
「…な、何?」
「………行くなよ…」
「え…?」
「……ノブさんのとこへ行くな」
「…え?」
僕の腕を掴む指先に更にぎゅっと力が込められるのが分かった。
「ちょっ、…痛いよ…兄さん」
「…此処に居ろよ」
「何…言って」
「何処にも行くな。俺の傍に居ろよ」
「っ…!」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
兄さんの目が真っ直ぐに僕を見る。
怖いくらいに真剣な眼差しに、胸の奥のずっと奥の方で何かが悲鳴を上げた。
和真兄さんのその目は、僕を初めて抱いた時のそれと同じに見えた。
「離っ、し…て!!」
「悠宇っ!」
兄さんの手を振り切って、家から飛び出した。