Jour de muguet ~君なしではダメ~
「え~っと…つまり、千屋さんと連絡がつかない上にやっと会えたと思ったら其処に透真さんが居たから、2人がこっそり会う約束をしていたと思った訳?」
5人に囲まれる形で俺が座って場を仕切っているのは何故だろう?
「だって……俺、瑞希兄さんに酷い事言っちゃったし…もう愛想つかれたかと思って」
「酷い事言ったって自覚があるんなら謝れば良いじゃん」
「ずっと会えなかったんだから仕方ないだろ!?兄さんには電話は掛けてくるなって言われてたけどまさかメールも無視されるなんて…」
「…何度も言ったのにお前が疑うからだろ。俺と林さんは本当に何でもないのに」
「瑞希兄さんは解ってないんだよ。自分がどれだけ魅力的なのか…俺がいつもどれだけ不安なのか…」
おぉっ!…流石、六倉爽汰。サラッと見事に惚気たぞ…
「やっと仕事が一区切りついたからもしかしたらと思って此処へ来たら…」
「あのさ、ムツクラさん…だっけ?俺が言うのも何だけど、千屋さんは一途な人だと思うよ」
「……何で…アンタがそんな事分かるんだよ?」
「俺が取材を受けた時、千屋さんと話したんだ。仕事とか夢とかについて。その時に千屋さん言ってたよ『自分の知り合いにも誇りを持って仕事してる奴がいる。いつか其奴を撮るのが目標だ』て。それって貴方の事じゃないかな?」
「え…」
六倉爽汰を始め、全員が千屋さんを見る。
千屋さんが俯きながら頬も首筋をも朱に染めた。
「俺、あの取材の直後にいろいろあってその職場を辞めちゃったけど、あの時の千屋さんが羨ましくて。俺も誰にも恥じる事のない仕事がしたいと思った。で、今此処に居るんだ。だから千屋さんは俺にとって恩人だし、極論だけどムツクラさんも恩人ですよ」
「……」
何も言わない千屋さんに縋る様な視線を送る六倉爽汰は何だか可愛く見える。
これが超人気モデルの素の表情だなんて、神様は少し意地悪な気がする。
「…瑞希兄さん…ごめんなさい」
「……」
「千屋さん、もしかして少し前に出た爽汰のゴシップの事、気にしてます?」
不意に那智兄さんが口を開いた。
「あの時、爽汰も凄く気に病んでましたよ」
「…那智?どうして那智がそんな事…」
「何度か会う機会があったんだ。爽汰、言ってましたよ『瑞希兄さんに誤解されるのが一番怖い』て。なあ?」
「だって……俺には瑞希兄さんしか…兄さんが居なきゃ俺ダメだもん…」
「……爽汰」
千屋さんが漸く真っ直ぐに六倉爽汰を見た。
「悪かった…爽汰」
「ううん。俺もごめんなさい、酷い事言って」
しっかりと手を繋いだ2人を少し羨ましいと思った。
5人に囲まれる形で俺が座って場を仕切っているのは何故だろう?
「だって……俺、瑞希兄さんに酷い事言っちゃったし…もう愛想つかれたかと思って」
「酷い事言ったって自覚があるんなら謝れば良いじゃん」
「ずっと会えなかったんだから仕方ないだろ!?兄さんには電話は掛けてくるなって言われてたけどまさかメールも無視されるなんて…」
「…何度も言ったのにお前が疑うからだろ。俺と林さんは本当に何でもないのに」
「瑞希兄さんは解ってないんだよ。自分がどれだけ魅力的なのか…俺がいつもどれだけ不安なのか…」
おぉっ!…流石、六倉爽汰。サラッと見事に惚気たぞ…
「やっと仕事が一区切りついたからもしかしたらと思って此処へ来たら…」
「あのさ、ムツクラさん…だっけ?俺が言うのも何だけど、千屋さんは一途な人だと思うよ」
「……何で…アンタがそんな事分かるんだよ?」
「俺が取材を受けた時、千屋さんと話したんだ。仕事とか夢とかについて。その時に千屋さん言ってたよ『自分の知り合いにも誇りを持って仕事してる奴がいる。いつか其奴を撮るのが目標だ』て。それって貴方の事じゃないかな?」
「え…」
六倉爽汰を始め、全員が千屋さんを見る。
千屋さんが俯きながら頬も首筋をも朱に染めた。
「俺、あの取材の直後にいろいろあってその職場を辞めちゃったけど、あの時の千屋さんが羨ましくて。俺も誰にも恥じる事のない仕事がしたいと思った。で、今此処に居るんだ。だから千屋さんは俺にとって恩人だし、極論だけどムツクラさんも恩人ですよ」
「……」
何も言わない千屋さんに縋る様な視線を送る六倉爽汰は何だか可愛く見える。
これが超人気モデルの素の表情だなんて、神様は少し意地悪な気がする。
「…瑞希兄さん…ごめんなさい」
「……」
「千屋さん、もしかして少し前に出た爽汰のゴシップの事、気にしてます?」
不意に那智兄さんが口を開いた。
「あの時、爽汰も凄く気に病んでましたよ」
「…那智?どうして那智がそんな事…」
「何度か会う機会があったんだ。爽汰、言ってましたよ『瑞希兄さんに誤解されるのが一番怖い』て。なあ?」
「だって……俺には瑞希兄さんしか…兄さんが居なきゃ俺ダメだもん…」
「……爽汰」
千屋さんが漸く真っ直ぐに六倉爽汰を見た。
「悪かった…爽汰」
「ううん。俺もごめんなさい、酷い事言って」
しっかりと手を繋いだ2人を少し羨ましいと思った。