Jour de muguet ~君なしではダメ~
急いでミモザ館まで引き返して来ると、待ちかねた様子の奎亮兄さんが走って来て
「もう!気がついたらいつの間にか居ないんだから吃驚するだろ!」
「えっと…ごめん」
「とにかく直ぐに来てくれ」
腕をグイグイ引かれながら中へと連れ込まれた。
「だから!関係無いって何度言わせるんだよ!」
「じゃあ何で此処に居るの!何で一緒なの!?」
ミモザ館に入ると食堂の方から大きな声が響いて来た。
「え?何々?何かあったの?」
「大翔が居なくなった後、ちょっとな…」
「参ったな」と小さく呟いた奎亮兄さんに続いて食堂に入ると、困惑した様子の透真先輩の隣で明らかに怒った表情の千屋さんと、先刻ぶつかりかけた男…六倉爽汰と彼を宥める様にしている那智兄さんが対峙していた。
「だから!偶然だって言ってるだろ!!」
「偶々居合わせたって言うの!?本当は示し合わせてたんじゃないの!?」
「いい加減にしろよっ!!」
「あの…本当に偶然だか」
「アンタに訊いてない!」
「爽汰っ!」
「爽汰、落ち着けよ。林さんは少し前に此処で働き始めたばっかだし、千屋さんは今来たばっかりなんだぞ?」
「那智さんまで2人の肩を持つの?もしかしたら日をずらしてミモザ館に来る約束だったかもしれないじゃん。瑞希兄さん、俺が何度電話しても出てくれないし、メールやメッセージだって…」
「あれ?あの2人って知り合いなの?」
直ぐ隣を振り返ると奎亮兄さんが僅かに眉間に皺を寄せて一点を凝視していた。
その視線の先を辿ると、目許を腕で隠し肩を震わせ始めた六倉爽汰の背中を落ち着かせる様にそっと撫でる那智兄さんの手に向けられていた。
…うわぁ~、奎亮兄さんって意外と妬きもち焼きなんだぁ…
心なしか唇が少し尖って見える奎亮兄さんの肩をツンツンと突付く。
「ねえ兄さん。彼奴ってモデルの六倉爽汰?」
「あぁ、らしいな。瑞希さんの幼馴染だとかで前にも一度うちに泊まったんだ」
「那智兄さんとも知り合いなんだ?」
「…一緒に仕事した事があるんだよ」
「あ~、それで。2人共人気だもんね」
奎亮兄さんにジロリと睨まれて、慌てて視線を逸らす。
「でもさぁ、六倉爽汰は何であんなに怒ってるの?」
「どうやら瑞希さんと透真の仲を疑ってるみたいなんだよ」
「え?透真さんとの?どうして?」
「どうも付き合ってるみたいだな、瑞希さんと六倉さん」
「はぁっ!?えっ、付き合ってる!?千屋さんと六倉爽汰が?!」
「わっ!バカ、大翔!声が大きい!」
奎亮兄さんの口から出て来た爆弾発言に思わず素っ頓狂な大声を出してしまい慌てた兄さんに手で口を塞がれたけど、時既に遅く、そ~っと振り返った食堂からは4人の視線がガッツリこっちを見ていた。
「もう!気がついたらいつの間にか居ないんだから吃驚するだろ!」
「えっと…ごめん」
「とにかく直ぐに来てくれ」
腕をグイグイ引かれながら中へと連れ込まれた。
「だから!関係無いって何度言わせるんだよ!」
「じゃあ何で此処に居るの!何で一緒なの!?」
ミモザ館に入ると食堂の方から大きな声が響いて来た。
「え?何々?何かあったの?」
「大翔が居なくなった後、ちょっとな…」
「参ったな」と小さく呟いた奎亮兄さんに続いて食堂に入ると、困惑した様子の透真先輩の隣で明らかに怒った表情の千屋さんと、先刻ぶつかりかけた男…六倉爽汰と彼を宥める様にしている那智兄さんが対峙していた。
「だから!偶然だって言ってるだろ!!」
「偶々居合わせたって言うの!?本当は示し合わせてたんじゃないの!?」
「いい加減にしろよっ!!」
「あの…本当に偶然だか」
「アンタに訊いてない!」
「爽汰っ!」
「爽汰、落ち着けよ。林さんは少し前に此処で働き始めたばっかだし、千屋さんは今来たばっかりなんだぞ?」
「那智さんまで2人の肩を持つの?もしかしたら日をずらしてミモザ館に来る約束だったかもしれないじゃん。瑞希兄さん、俺が何度電話しても出てくれないし、メールやメッセージだって…」
「あれ?あの2人って知り合いなの?」
直ぐ隣を振り返ると奎亮兄さんが僅かに眉間に皺を寄せて一点を凝視していた。
その視線の先を辿ると、目許を腕で隠し肩を震わせ始めた六倉爽汰の背中を落ち着かせる様にそっと撫でる那智兄さんの手に向けられていた。
…うわぁ~、奎亮兄さんって意外と妬きもち焼きなんだぁ…
心なしか唇が少し尖って見える奎亮兄さんの肩をツンツンと突付く。
「ねえ兄さん。彼奴ってモデルの六倉爽汰?」
「あぁ、らしいな。瑞希さんの幼馴染だとかで前にも一度うちに泊まったんだ」
「那智兄さんとも知り合いなんだ?」
「…一緒に仕事した事があるんだよ」
「あ~、それで。2人共人気だもんね」
奎亮兄さんにジロリと睨まれて、慌てて視線を逸らす。
「でもさぁ、六倉爽汰は何であんなに怒ってるの?」
「どうやら瑞希さんと透真の仲を疑ってるみたいなんだよ」
「え?透真さんとの?どうして?」
「どうも付き合ってるみたいだな、瑞希さんと六倉さん」
「はぁっ!?えっ、付き合ってる!?千屋さんと六倉爽汰が?!」
「わっ!バカ、大翔!声が大きい!」
奎亮兄さんの口から出て来た爆弾発言に思わず素っ頓狂な大声を出してしまい慌てた兄さんに手で口を塞がれたけど、時既に遅く、そ~っと振り返った食堂からは4人の視線がガッツリこっちを見ていた。