君なしではダメ
「那智さん、大丈夫?何だか調子が悪いようだけど」
「あ、ああ…大丈夫。初めてのCM撮影で慣れない事だらけだから緊張してるのかな…」
心配そうに俺を見る爽汰に無理矢理作った笑顔を向ける。
3日前に見た雑誌の写真が頭から離れない。
確かに写っていたのは奎亮だった。
でも、まるで直ぐ目の前に居る恋人に笑いかける様な表情の奎亮は、俺の知らない奎亮だった。
あの場に恋人が居たのか?
だからあんなに柔らかい表情ができたのか?
相手は誰だ?俺の知ってる人?
誰だよ?誰だよ!何で俺以外にそんな顔をするんだよっ!?
訳の分からないイライラと胸の中のモヤモヤで眠れない夜が続いた。
其処にCM撮影という初めての大きな仕事による緊張とストレスが重なって、疲労はピークに達していた。
「今日で撮影も終わるし、そしたらゆっくり休みなよ」
「……うん…ありがとな、爽汰…」
スタッフの声に呼ばれ、爽汰と一緒にカメラの前に向かう。
何度となく光るフラッシュに眩暈を覚えてふらつきそうになる足元を、気力とさり気なくフォローしてくれる爽汰の優しさで何とか堪えた。
「お疲れさまでーす!」
「お疲れさまでした。ありがとうございます」
気力も体力もそろそろ限界という頃、やっと撮影が終了した。
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
半分ぼうっとする頭を何度か振ってから、スタッフの1人1人に声をかけスタジオを後にしようとした時だった。
「あっ!危ない!」
ふらついた足元を床に這っていたコードの束に引っかけてしまった。
よろけた体を支え様と伸ばした手が近くに立てかけてあった脚立に当たり、その脚立が俺の方に倒れてくるのが視界に映った。
ヤバいっ!!
そう思い目を閉じた次の瞬間
「那智さんっ!!」
何か、力強いのに柔らかな感触に包まれた。
「あ、ああ…大丈夫。初めてのCM撮影で慣れない事だらけだから緊張してるのかな…」
心配そうに俺を見る爽汰に無理矢理作った笑顔を向ける。
3日前に見た雑誌の写真が頭から離れない。
確かに写っていたのは奎亮だった。
でも、まるで直ぐ目の前に居る恋人に笑いかける様な表情の奎亮は、俺の知らない奎亮だった。
あの場に恋人が居たのか?
だからあんなに柔らかい表情ができたのか?
相手は誰だ?俺の知ってる人?
誰だよ?誰だよ!何で俺以外にそんな顔をするんだよっ!?
訳の分からないイライラと胸の中のモヤモヤで眠れない夜が続いた。
其処にCM撮影という初めての大きな仕事による緊張とストレスが重なって、疲労はピークに達していた。
「今日で撮影も終わるし、そしたらゆっくり休みなよ」
「……うん…ありがとな、爽汰…」
スタッフの声に呼ばれ、爽汰と一緒にカメラの前に向かう。
何度となく光るフラッシュに眩暈を覚えてふらつきそうになる足元を、気力とさり気なくフォローしてくれる爽汰の優しさで何とか堪えた。
「お疲れさまでーす!」
「お疲れさまでした。ありがとうございます」
気力も体力もそろそろ限界という頃、やっと撮影が終了した。
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
半分ぼうっとする頭を何度か振ってから、スタッフの1人1人に声をかけスタジオを後にしようとした時だった。
「あっ!危ない!」
ふらついた足元を床に這っていたコードの束に引っかけてしまった。
よろけた体を支え様と伸ばした手が近くに立てかけてあった脚立に当たり、その脚立が俺の方に倒れてくるのが視界に映った。
ヤバいっ!!
そう思い目を閉じた次の瞬間
「那智さんっ!!」
何か、力強いのに柔らかな感触に包まれた。