君なしではダメ
「はい、ミモザ館です。…ご予約ですか?いつでしょうか?……申し訳ないですが、その日は既に予約が入っておりまして……はい、またの機会に宜しくお願いします」
電話を切り小さく息を吐く。
予約票を確認する。
もともとそんなに大きくないペンションだから、4ヶ月ぐらい先まで休日は予約で一杯となった。
「スゴイなぁ瑞希さんは。雑誌に少し紹介してくれただけでこの反響だ」
先日、瑞希さんが完成したばかりの雑誌を持って来てくれた。
「あんまり大きな特集じゃないし、俺の写真だから大した物じゃないですけど…」
そう言って見せてくれた写真は、自分でも気恥ずかしくなるくらいだった。
「これで少しはこのミモザ館に貢献できると良いんですけど…」
「ありがとうございます、瑞希さん。こんなステキな写真を撮っていただいて」
「モデルが良いですからね。それに…奎亮さんに喜んでもらえたならそれだけで…」
そう言って俯くと照れ臭そうに笑った瑞希さんに、少し胸がドキドキした。
「あ、そうだ。今日はどうされますか?泊まって行かれますか?」
「いえ、今日はこのまま帰ります。でもまた数日後に来ても良いですか?」
「勿論ですよ!瑞希さんなら飛び込みでも歓迎します」
あれから暫く経つけど瑞希さんからは何の連絡も無い。
「まあ、忙しいんだろうなぁ。あんなステキな写真を撮るほどの腕前なんだから、きっと引っ張り凧なんだな」
何となく寂しく残念な気持ちを感じながら、共用スペースであるリビングへと向かった。
ソファの上のクッションを整理し、雑誌を幾つか最新号と入れ替える。
と、その時
「あっ」
重ねて持っていた週刊誌が1冊、手から滑り落ちた。
拾い上げ様として、開いたページの【人気モデル、撮影中に負傷か!?】という目立つ文字と共に大きく掲載された写真に、視線が吸い寄せられた。
「……那…智…?」
2人の人物が重なる様に写った写真。
ぼやけていて不鮮明だからハッキリとは判別できないけど、俺にはその2人のうち下になっている1人が那智だという確信が、何故かあった。
「…え、怪我って……それにこの…男は…?」
写真の中で那智を庇う様に覆い被さっている人物に、妙な胸騒ぎを感じた。
電話を切り小さく息を吐く。
予約票を確認する。
もともとそんなに大きくないペンションだから、4ヶ月ぐらい先まで休日は予約で一杯となった。
「スゴイなぁ瑞希さんは。雑誌に少し紹介してくれただけでこの反響だ」
先日、瑞希さんが完成したばかりの雑誌を持って来てくれた。
「あんまり大きな特集じゃないし、俺の写真だから大した物じゃないですけど…」
そう言って見せてくれた写真は、自分でも気恥ずかしくなるくらいだった。
「これで少しはこのミモザ館に貢献できると良いんですけど…」
「ありがとうございます、瑞希さん。こんなステキな写真を撮っていただいて」
「モデルが良いですからね。それに…奎亮さんに喜んでもらえたならそれだけで…」
そう言って俯くと照れ臭そうに笑った瑞希さんに、少し胸がドキドキした。
「あ、そうだ。今日はどうされますか?泊まって行かれますか?」
「いえ、今日はこのまま帰ります。でもまた数日後に来ても良いですか?」
「勿論ですよ!瑞希さんなら飛び込みでも歓迎します」
あれから暫く経つけど瑞希さんからは何の連絡も無い。
「まあ、忙しいんだろうなぁ。あんなステキな写真を撮るほどの腕前なんだから、きっと引っ張り凧なんだな」
何となく寂しく残念な気持ちを感じながら、共用スペースであるリビングへと向かった。
ソファの上のクッションを整理し、雑誌を幾つか最新号と入れ替える。
と、その時
「あっ」
重ねて持っていた週刊誌が1冊、手から滑り落ちた。
拾い上げ様として、開いたページの【人気モデル、撮影中に負傷か!?】という目立つ文字と共に大きく掲載された写真に、視線が吸い寄せられた。
「……那…智…?」
2人の人物が重なる様に写った写真。
ぼやけていて不鮮明だからハッキリとは判別できないけど、俺にはその2人のうち下になっている1人が那智だという確信が、何故かあった。
「…え、怪我って……それにこの…男は…?」
写真の中で那智を庇う様に覆い被さっている人物に、妙な胸騒ぎを感じた。