君なしではダメ
「水谷、事務所に届いたファンレター、此処に置いておくぞ」
「ありがとう、早瀬さん。あの…」
「いつものアレだろ。ちゃんと来てたよ」
「あ、う…うん…」
「毎年毎年マメだよな~、ほんと。でもそういうファンは大事にしろよ?」
「…うん」
マネージャーの早瀬さんが手紙の束をダイニングテーブルの上に置くと、俺の肩をポンと叩いてから部屋を出て行った。
読んでいた雑誌を傍らに置きソファから立ち上がる。
テーブルに近づくと、手紙の束の中から1通の封筒を手に取る。
どんなに沢山積まれた手紙やプレゼントの山であっても、その封筒だけは直ぐに見分けられる。
その封筒だけは、まるで星の瞬きの様な淡い光に包まれて見えるから。
そっと封を開くと中には写真が1枚。
青空を背景に、鮮やかに咲き誇るミモザの花
写真を裏返すと、サインペンで一言
『今年も綺麗に咲いたよ。いつか見に来てくれ』
変わらない文章。
何度も見慣れたその文字をそっと指先でなぞる。
「いつもありがとう…奎亮」
目を閉じれば瞼の裏に焼きついているかの如く直ぐに、屈託なく満面の笑みで笑う奎亮の顔を思い浮かべる事ができる。
自分でも不思議だけど、いつも隣にあったその笑顔を思い出すだけで、俺まで自然と笑みが零れてくる。
「…俺も会いたいよ、奎亮 …」
目を閉じたまま、写真の文字にそっとキスした。
「ありがとう、早瀬さん。あの…」
「いつものアレだろ。ちゃんと来てたよ」
「あ、う…うん…」
「毎年毎年マメだよな~、ほんと。でもそういうファンは大事にしろよ?」
「…うん」
マネージャーの早瀬さんが手紙の束をダイニングテーブルの上に置くと、俺の肩をポンと叩いてから部屋を出て行った。
読んでいた雑誌を傍らに置きソファから立ち上がる。
テーブルに近づくと、手紙の束の中から1通の封筒を手に取る。
どんなに沢山積まれた手紙やプレゼントの山であっても、その封筒だけは直ぐに見分けられる。
その封筒だけは、まるで星の瞬きの様な淡い光に包まれて見えるから。
そっと封を開くと中には写真が1枚。
青空を背景に、鮮やかに咲き誇るミモザの花
写真を裏返すと、サインペンで一言
『今年も綺麗に咲いたよ。いつか見に来てくれ』
変わらない文章。
何度も見慣れたその文字をそっと指先でなぞる。
「いつもありがとう…奎亮」
目を閉じれば瞼の裏に焼きついているかの如く直ぐに、屈託なく満面の笑みで笑う奎亮の顔を思い浮かべる事ができる。
自分でも不思議だけど、いつも隣にあったその笑顔を思い出すだけで、俺まで自然と笑みが零れてくる。
「…俺も会いたいよ、
目を閉じたまま、写真の文字にそっとキスした。
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