春の日
瞬間、心臓がドクンと跳ねる。
近づいて来る姿にバカみたいに狼狽えた
「……ハヤ…ト……どう…して…」
一気に口の中が渇き、掌がジワリと汗ばむ。
「…何で……お前が、ココ…に…」
「………」
「……勇登…」
恐る恐る伸ばした指先を思いの外強く払われた。
「勇登…?」
見上げた両目にはハッキリと怒りの感情が見て取れた。
見下ろした両目には明らかに戸惑いの色が見て取れた。
「…勇登…どうしたんだよ、何で此処に」
「さっきの人、誰?」
「……え…」
「あの女の人、誰?どうしてキスしてたの?」
瞬時に逸らされた視線に、言いようのない不快感と抑えの効かない怒りが込み上げてきて、薫兄の腕を掴むと力任せに引き寄せ、直ぐ傍のコンクリートの壁に押しつけた。
「…ってえぇ……っにすんだよ!?」
俺を見る目に怒りの色が滲むのもお構いなしに、腕を掴む指先に更に力を込める。
また会えたら笑ってくれると思っていた。
嬉しそうに笑って俺の名前を呼んでくれると思った。
なのに、どうしてそんな顔で俺を見るの?
いきなり腕を掴まれコンクリートの壁に押しつけられた。
「…ってえぇ…」
背中に感じる硬い感触に声が詰まる。
壁に押しつけられた勢いと反動で、半ば投げ出すように落とした鞄から中身が転がった。
「…っにすんだよ!?」
目の前の男を睨みつける。けれど、腕を掴む指は緩まない。
「離せよ」
目の前の男は動かない。
「退けよ」
目の前の男は動かない。
「勇登っ!!」
名前を呼んだ直後、唇を塞がれた。
「勇登っ!!」
ずっともう一度俺を呼んで欲しかったその声に、その目に、明らかな怒りと微かな戸惑いが感じられて…
反射的に、薫兄の唇を塞ぐようにして唇を重ねた。
近づいて来る姿にバカみたいに狼狽えた
「……ハヤ…ト……どう…して…」
一気に口の中が渇き、掌がジワリと汗ばむ。
「…何で……お前が、ココ…に…」
「………」
「……勇登…」
恐る恐る伸ばした指先を思いの外強く払われた。
「勇登…?」
見上げた両目にはハッキリと怒りの感情が見て取れた。
見下ろした両目には明らかに戸惑いの色が見て取れた。
「…勇登…どうしたんだよ、何で此処に」
「さっきの人、誰?」
「……え…」
「あの女の人、誰?どうしてキスしてたの?」
瞬時に逸らされた視線に、言いようのない不快感と抑えの効かない怒りが込み上げてきて、薫兄の腕を掴むと力任せに引き寄せ、直ぐ傍のコンクリートの壁に押しつけた。
「…ってえぇ……っにすんだよ!?」
俺を見る目に怒りの色が滲むのもお構いなしに、腕を掴む指先に更に力を込める。
また会えたら笑ってくれると思っていた。
嬉しそうに笑って俺の名前を呼んでくれると思った。
なのに、どうしてそんな顔で俺を見るの?
いきなり腕を掴まれコンクリートの壁に押しつけられた。
「…ってえぇ…」
背中に感じる硬い感触に声が詰まる。
壁に押しつけられた勢いと反動で、半ば投げ出すように落とした鞄から中身が転がった。
「…っにすんだよ!?」
目の前の男を睨みつける。けれど、腕を掴む指は緩まない。
「離せよ」
目の前の男は動かない。
「退けよ」
目の前の男は動かない。
「勇登っ!!」
名前を呼んだ直後、唇を塞がれた。
「勇登っ!!」
ずっともう一度俺を呼んで欲しかったその声に、その目に、明らかな怒りと微かな戸惑いが感じられて…
反射的に、薫兄の唇を塞ぐようにして唇を重ねた。