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誰にも言いませんから!


「ふぶっ!!!!!」

突然の奇襲にノエルはなすすべなくそのまま机の上に額を強打し、そのまま痛みで悶絶する。]
い、痛い…。これは地味に痛いよ…!

ノエルが涙目になりながら少し赤くなった額を押さえて顔を上げると、机上に乱雑に置かれた本の上にチョコンと小さな小動物が座っていた。

「もう…テト!びっくりするじゃない!!」

「キュー!!」

テト、と呼ばれた小動物はモフモフの尻尾を左右にぶんぶん振りながらその場で小さく跳ね上がる。大きな丸い瞳と、小さな耳。体は小さいがその分、柔らかな毛におおわれた尻尾の存在感が際立つ。

「朝ごはんならもう食べたでしょ?」

「キュッキュー!!!!」

「あ、おやつも駄目よ。テトったら最近食べすぎで丸くなってきてるし心なしかお尻のあたりがもっちりしてきてるし…って、いだっ!」

「キュキュー!!キュッキュキュー!!!!」

テトはそんなことが言いたいんじゃない!と言いたげに激しく憤慨すると、今度はノエルの顔面に尻尾ビンタを喰らわせた。

テトは少女といつも行動を共にしている相棒のリスで、友人で、理解者でもある。(むしろ、どこか頼りないところの多い未熟な彼女の保護者面をしているところもあるくらいだ。)首元に巻かれた赤色のリボンがまた可愛らしいが、しかし今はよほどご機嫌斜めなのか、白い歯でガジガジと彼女の三つ網をかじっている。

「うああああああ、やめてったら…!髪がぐしゃぐしゃになっちゃう!」

「キュー!」

「うー、分かった!分かったから…辛気臭い顔するのはやめるからもう勘弁してえ!」

ノエルがそう叫ぶと、ようやくテトの攻撃が収まった。乱れた三つ網を直しながら、少女は浅く息を吐き出して自分の手の平の上にテトを乗せて顔の真正面に持ちあげた。

「…分かってるよ、テト。元気出せしっかりしろって、言ってくれてるんだよね。」

「キュウ!!!」

「ふふ、そうよね…よし、しっかりしなくちゃ!」

その言葉にそうだと言わんばかりに頷いて声を上げた。ノエルは満足げなテトを見て小さく笑うと、自分の肩の上に移動させ、深く息を吸い込んで自分の両頬を両手でパチンと叩いた。

テトの励ましもあって、気合いも入れ直しだ!ノエルは意気込むとふと何かを思い出したように椅子から立ち上がった。

「あ!そういえば、おばあちゃんが帰ってくる前に水汲みに行って来なくちゃね。」

水場から水汲み用の桶を持って、家を後にした。

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