年上彼氏と年下の彼
その日、ジングルベルが鳴り響く街中を、私は一人で歩いていた。
今日は聖なるクリスマス。恋人たちのためにある行事とも言える。そんな日に一人で街中を歩く私―…察してくれることを願います。案の定、振られたてほやほやだった。
「ははは、二股とかうけるー。」
自嘲気味に笑ってマフラーで鼻先をうずめる。
…彼が、浮気をしていたのだ。それが都合よく24日に判明するなんて、しかも浮気現場を目撃してしまうなんて。なんというタイミングなんだろうか。まったくツイてない。私と愛し合ったあのベッドで、彼は違う女とも愛し合っていたのである。しかも極め付けがこの捨て台詞だ。
「君みたいな女、この世の中五万といるんだよ。一人身のお前を相手してあげてただけありがたく思って欲しな。」
こういう経験は今までかなり沢山してきた。昔から年上好きで色んな人に手出してきたのは私のほうだし。修羅場だって体験したこともある。だからもう慣れたし、また笑い話のネタが増えたと思えばまぁ楽しいものだ。とはいえ今日はクリスマス。女ひとりで街中を歩くには、やはり寂しすぎる。することもないし、缶コーヒーを買って近くのベンチに腰を下ろした。
最近嫌なこと続きだ。
一生懸命に頑張っている営業先で、君の営業は押しつけがましいとか言われるし。後輩のほうが業績いいとか言われてけなされるし。もう年なのに男と遊んでばっかで、とか言われるし。残業して必死でデータ作って、教材について学んで説明出来るように努力して、それでやってるはずなのに、なんでこんなにから回りばっかりするんだろうか私は。
…何がメリークリスマスだよ。何もおめでたくないよ!!
「メリーバッドクリスマース。」
そう呟いて缶コーヒーのプルタブを開ける。
ほんのりとした甘さが今日は少しだけ身にしみるような気がした。イルミネーションが施された町並みはいつもよりは数段浮かれて見える。そこを歩く人の姿もしかり。もう一口、コーヒーを飲みこんだ。
…と、そこで私は一枚のビラを見つけた。
大きなクリスマスツリーがイルミネーションされている写真が載ったそれは、大学のクリスマスイルミネーションの案内だった。どうやら一般にも開放しているらしい。開催している大学の名前を見て、私は思わず目を見開いた。
飲みかけの缶コーヒーを片手に、私は駅へと走った。
***
久しぶりに訪れた大学の校舎を見上げる。
ここにくるのは一年ぶりだ。懐かしさを感じながら、校門をくぐった。結構大々的にイルミネーションが施されており、一般の客の姿もチラホラ見える。大学主催で一般開放のクリスマスイルミネーションをしているせいか、屋台なども出てにぎわっているようだ。
そんな様子を横目に見ながらも、私は久しぶりに来たキャンパスを懐かしみながらフラフラとあてもなく歩いていた。聖なる夜に一人身の女なんて、なんて泣ける光景なんだろう。
溜息を一つ吐き出して、コーヒーを飲みこんだ。すっかり冷めてしまっているけれど、そんなもの、もうどうでもよかった。
今日は聖なるクリスマス。恋人たちのためにある行事とも言える。そんな日に一人で街中を歩く私―…察してくれることを願います。案の定、振られたてほやほやだった。
「ははは、二股とかうけるー。」
自嘲気味に笑ってマフラーで鼻先をうずめる。
…彼が、浮気をしていたのだ。それが都合よく24日に判明するなんて、しかも浮気現場を目撃してしまうなんて。なんというタイミングなんだろうか。まったくツイてない。私と愛し合ったあのベッドで、彼は違う女とも愛し合っていたのである。しかも極め付けがこの捨て台詞だ。
「君みたいな女、この世の中五万といるんだよ。一人身のお前を相手してあげてただけありがたく思って欲しな。」
こういう経験は今までかなり沢山してきた。昔から年上好きで色んな人に手出してきたのは私のほうだし。修羅場だって体験したこともある。だからもう慣れたし、また笑い話のネタが増えたと思えばまぁ楽しいものだ。とはいえ今日はクリスマス。女ひとりで街中を歩くには、やはり寂しすぎる。することもないし、缶コーヒーを買って近くのベンチに腰を下ろした。
最近嫌なこと続きだ。
一生懸命に頑張っている営業先で、君の営業は押しつけがましいとか言われるし。後輩のほうが業績いいとか言われてけなされるし。もう年なのに男と遊んでばっかで、とか言われるし。残業して必死でデータ作って、教材について学んで説明出来るように努力して、それでやってるはずなのに、なんでこんなにから回りばっかりするんだろうか私は。
…何がメリークリスマスだよ。何もおめでたくないよ!!
「メリーバッドクリスマース。」
そう呟いて缶コーヒーのプルタブを開ける。
ほんのりとした甘さが今日は少しだけ身にしみるような気がした。イルミネーションが施された町並みはいつもよりは数段浮かれて見える。そこを歩く人の姿もしかり。もう一口、コーヒーを飲みこんだ。
…と、そこで私は一枚のビラを見つけた。
大きなクリスマスツリーがイルミネーションされている写真が載ったそれは、大学のクリスマスイルミネーションの案内だった。どうやら一般にも開放しているらしい。開催している大学の名前を見て、私は思わず目を見開いた。
飲みかけの缶コーヒーを片手に、私は駅へと走った。
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久しぶりに訪れた大学の校舎を見上げる。
ここにくるのは一年ぶりだ。懐かしさを感じながら、校門をくぐった。結構大々的にイルミネーションが施されており、一般の客の姿もチラホラ見える。大学主催で一般開放のクリスマスイルミネーションをしているせいか、屋台なども出てにぎわっているようだ。
そんな様子を横目に見ながらも、私は久しぶりに来たキャンパスを懐かしみながらフラフラとあてもなく歩いていた。聖なる夜に一人身の女なんて、なんて泣ける光景なんだろう。
溜息を一つ吐き出して、コーヒーを飲みこんだ。すっかり冷めてしまっているけれど、そんなもの、もうどうでもよかった。