Last Chapter
夢小説設定
この小説の夢小説設定Guardianの設定を引き継ぎます。
◇Lより主→Guardian主人公。元死神の人間。
◇ワイミーズより主→Guardianの間、夢を見ていた人間。記憶喪失の為、詳細設定はなし。
色々(本編)あって二人はまったく同じ外見です。
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◆Afterwards Last Chapter
-その後-
大学の講義ってどうしてこう眠くなるんだろう?
分かりやすく説明してくれるでもなく、ぺらりとした紙を一枚配られて、そこに記された内容と全く同じことを、ぼそぼそと教授が読み上げるだけだ。空から籍と生徒証を譲り受けて一か月が経過した(空はどうやって飛行機に乗ったのだろう?)。元々人間ではなかった私だから、各国の言語を話せるという特技以外は、大学どころか高校レベルも中学レベルも知識は足りていない。
それでもどうにかやっていけているのは、テスト期間がまだやってきていないからだった。今はまだ、決められた時間に決められた教室にいくだけで、どうにか日々をやり過ごせるけれど。
「これ、レポートとか書けって言われたらどうしたらいいんだろう……」
退学かな。退学なのかな。
まぁ、元々は空がLや月君に憧れて入学した大学だし、私が卒業する必要性もそこまでないのだけれど、それでもいきなり落第はなんとなく空が可哀そうだ。
「次はコミュニケーションイングリッシュか……」
まだ次はマシだ。どうにかなりそう。危惧するとしても、難しいトピックを持ってこられないかどうかくらいだ。移動先の教室は近く、急いで移動する必要も無い。
キラ事件の、まだ一日中Lの隣に座っていた時期なんかを思い出して現実逃避をしながら、私は手元の筆記用具をかき集めた。教室にはもうほとんど人が残っていない。皆、短い休み時間で買い物をしたり友達と喋るためにそそくさと出て行ってしまったのだ。
私はまだ、友達と呼べる人間はいないけれど、まぁいいかと楽観的に過ごしている。というか早くLの居るビルに帰りたい。お菓子屋さんに行って、買い出しがしたい。
そのとき、長机の横をリュックが掠った。
はみ出ていたレジュメが、引きずられてぺらりと階段に落ちる。
「あっ」
「あっ、ごめん」
私が身を乗り出すより早く、リュックの持ち主がその場にしゃがみこんだ。それと同時に、彼が抱えていたのか、ばさばさと紙の束が階段に落ちる。
「あ、私も拾います!」
慌てて椅子から立って、一緒にしゃがんで紙を拾い集めようとする。原稿用紙だった。文学部の生徒なのかなと思いながら、しかし中身まではみようとは思わなかったけれど――
「……え」
思わず一点に目が留まり、声を漏らしてしまった。
――『このノートに名前を書かれたものは四十秒で』とある。
「これって――」
「あぁ、ごめん君、拾ってくれてありがとうね!」
すると、上から降ってきた別の声に、手に持っていた原稿用紙が奪われた。顔を上げると、そこにいたのは白髪の、けれども歳はそう自分と変わらなそうな青年だった。青年と言うか、少年のような童顔だった。
「こらアーマ、ひったくったらだめじゃないか」
「あはは、ごめんごめん」
けらけらと軽く笑うと、白髪の少年は「ごめんね?」と私を覗き見る。その声に、なんだか覚えがあった。というか今、アーマって……それに愛蔵と呼ばれた彼は私を見て――。
「……あれ、君ってどこかで会ったことあるかな」
「桜葉愛蔵?」
「どうして僕の名前を?」
目が合い、不思議そうに眉をひそめられる。あぁ、なんて偶然だろう。でも、どうやら相手は私のことを覚えていないらしい。
「あっははは愛蔵、小説家志望が言うにしてはものすっごく陳腐でありきたりな口説き文句!」
「く、口説いてなんかいないだろっ」
「えへへー、それくらい分かってるよー。愛蔵は真面目だなー」
「あの、貴方は……?」
聞き間違いでなければアーマと呼ばれたその少年に、私は問いかけた。彼はきょとんとして目を丸くしてから動きを止めると、
「雨宿友だよ。愛蔵の親友。よろしくね」
と無邪気に笑った。
「雨宿くん……よ、よろしく」
「うんうん、そして愛蔵のことは愛蔵くんって呼んであげてね。苗字が嫌いなんだってさ」
この感じ――『お前にはペナルティがある』と、リュークは言っていた。まさか、アーマは人間に――。
「やったー愛蔵。女の子の友達だ!せっかくだから取材したらどう?」
「取材?」
突飛な単語に、私は咄嗟に聞き返す。雨宿君の背後から愛蔵君が申し訳なさそうに出てきて、原稿用紙の束を指示した。
「……実は、現実的なファンタジー小説を書いていて」
「斬新なんだよっ、すごいんだよっ」
合いの手を入れる雨宿君に苦笑して、彼は困ったように笑う。
「死神や、不思議なノートが出てくる話で、端的に言うと天才同士の心理戦を描いているんだ。だけど、女の子の新キャラが出てきたところで、ちょっと筆に詰まっちゃったんだ。展開はちゃんと自分で考えるから、良かったらちょっとだけ意見を聞かせてくれないかな?」
「…………い、イエス」
「あははっ、なんで英語なのーっ面白いね、君」
なんという偶然。
いや、巡り合わせなのだろう。
世界がこうして収束していくのだとしたら。
「あの、私だけじゃなくて、すごく頭のいい友達とか、現役アイドルの友達もいるから、きっと力になれると思う。……ちなみにタイトルは?」
「うん」
まだ秘密なんだけれど、と恥ずかし気にはにかんで、桜葉愛蔵は原稿用紙の端を指さした。
「デスノート」