Last Chapter
夢小説設定
この小説の夢小説設定Guardianの設定を引き継ぎます。
◇Lより主→Guardian主人公。元死神の人間。
◇ワイミーズより主→Guardianの間、夢を見ていた人間。記憶喪失の為、詳細設定はなし。
色々(本編)あって二人はまったく同じ外見です。
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◆Afterwards Last Chapter
-邂逅-
「キラだね」
僕の顔を見るなり、桜葉愛蔵は顔を上げて一言、そう言った。のんびりと、緊張感なく、静かに、それでも聞き間違いを許さないほど明瞭に言ったのだった。
「思い出した。君のこと……前にも僕に話しかけてきただろう」
「はは、そっか。だったら全てを思い出したってことだね。まぁ、昨日メールを貰った時点でそうだとは思っていたよ。夜神月にとって僕は、キラの記憶なくしては履修クラスが被っていただけの友人にも満たない人間だ。わざわざこうして連絡をくれて待ち合わせようなんて考えるはずもないからね。ようやくたどり着いてくれたわけだ。ずっと話したかったんだよ、キラ」
「……桜葉愛蔵」
「愛蔵でお願いするよ。苗字が嫌いなんだ」
「愛蔵。僕からの用件は一つだけだ。話はすぐ終わる」
助長な彼の言葉の大半を聞き流して、僕は用件を告げる。
「この殺しを止めて欲しい。理由がどうあれ、だ」
「…………」
僕の言葉を受けて、にやにやと笑っていた笑顔が消え失せる。ぼさぼさの髪が俯き、表情を影で覆ったかと思うと、愛蔵はあぁ、と呻きながら髪を両手でかき乱し始めた。
「駄目だ、駄目だ、それじゃあ駄目だ。理由がどうあれ止めてくれ、なんて無茶苦茶にも程がある。そりゃあ夜神月にはそういった強引な正義感があるかもしれないし、僕はキラを崇拝しているから問答無用でその要求を呑みたい気持ちはなくもないけれどさ、相手に何かをお願いするなら、せめて要求を聞いてもらわなくちゃ困るんだよ」
「……分かった。要求を聞く」
「君と話がしたい」
「っ……それだけか?」
「話がしたいんだ。僕はずっと、キラと話がしたかった」
噛みしめるように言ってから、再び愛蔵はにこりと笑った。
「話……だって?」
「あ、いちいち読み合いをするのは面倒だからこれくらいは先に言っておくね。キラの殺人手段は死のノート、通称デスノート。顔を把握してその名前を書けば四十秒で心臓麻痺に至るノートで、死神と契約すると名前が見える死神の目を貰うこともできる。はい、これで僕がノートと死神を知る、ノートの所有者だってことは証明できたよね。分かったかい?」
「……分かったよ」
思わず顔をしかめてしまったのだろうか、僕の表情の変化を見て取ったように、彼はあはは、と面白がるように両手を広げる。
「愛蔵。君がノートや死神に関する知識を持っていることは分かった。だがどうして僕なんだ。何故、僕がキラだと考えた?」
「あーもう、まだ状況の整理? もういいじゃない。どうしても何も、否が応でも、何がなんでも、僕はだって、全部知っているんだよ」
全部、という言葉が頭の片隅でずきりと何かを揺らす。
「貴方がどこでどうやってノートを拾ったか、どうやって死神のリュークと出会ったか、最初の殺人はどうやって起きたか、君が最も大切に思う人間も、最も敵視していた人間も――その本名も」
知っているんだよ。
全部、知っている――。
「貴方は本来、Lを殺せるはずだった」
「…………」
「この世界は間違っている。キラはまだ負けないはずなんだ」
ぐらりと、地面が揺れたような気がした。実際に軽く眩暈を起こしたのかもしれない。彼の座るベンチの、開いたスペースに腰を下ろす。Lを殺せたはずで――世界が間違っている?
「全部知っている、か。……仮にそうだとして、全部知っている君が僕にしたい話は一体なんなんだ?」
「うん」
やっと聞いてくれたね、と彼は静かに頷き――
「復活してくれ、キラ」
そのために僕はここに居る、と愛蔵は夢見る子供のように目を輝かせた。