色彩/うたかた
あなたの名前は?
この物語について*短編
*連載関係ない短編も含まれます
*基本恋愛要素ありor 悲哀あり
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そして時間にして一時間後。
「お待たせ、しました……ってことでいいのかな?これ…」
がちがちに緊張しながら、私は竜崎のいる部屋へと戻った。
あの後、部屋で待っていると、ワタリさんとともに自称ヘアメイクや自称スタイリストといった数名の謎のスタッフ集団が押し寄せた。彼らはまるで状況が飲み込めない私を取り囲むと、一気にいろいろなこと(未だにわかっていない)をされて、嵐のように去っていったのだった。
__慣れない服となれない履物。青い菫と星をあしらった浴衣にちょっぴり高い下駄。
「竜崎…?」
心もとなく立っていると、竜崎がずいっと距離を詰め、指をくわえたまま私の格好を上から下へと見まわした。恥ずかしい。
「…………。」
「…………。」
猫背をもっと折る形で、竜崎が私の浴衣姿を見回す。
いろいろな方向から鼻がくっつくくらい近くで見つめるので、ナオミさんだったら変態、と呼称していたかもしれない。それ以前にまずカポエイラの奥義で蹴っていたかもしれない、と思った。
「よく似合っています。」
「あ、うん、あ、ありがとう……。」
だけど、私は全くつっこんだり冷静にはなれず、竜崎に褒められると弱かった。思わず目を逸らしてしまう。
「では、行きましょう。」
「え、行くってどこへ?」
__今思えば、そんなの考えるまでもないことだったけれど、当時の私はぴんとこなかった。いたずらのように、冗談めかした竜崎の思い付きに。
「何処って、決まっているでしょう。」
にやりと笑って、竜崎はすたすたとドアの方へと歩いていく。
「シアンと一緒に花火を見に行くんです。__リンゴ飴があるといいのですが。」