第二章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆逆光
「…はい!もちろん!」
大きな声で答えたところで、外から勢いよくゴンドラのドアが開かれた。地上に到着したのだ。
時間が過ぎるのはあっという間だった。私は竜崎から慌ててぱっと離れて、あけられたドアからそそくさと地面に降りた。
…観覧車に乗る前とあととで、こうも状況が変わってしまうなんて。
「おかえりなさーい」
ドアを開いてくれたのは乗り場で見送ってくれた派手なお姉さんだった。何も言っていないのに、なぜか小さく親指を立てて、ウィンクをされた。
「…………」
なんだか、竜崎が拗ねているようだ。昨日、頭をなでてもらっているのを遮った時と同じ表情のような。気のせいだろうか。
「りゅうざき?」
「夕陽、今日はまだ時間があります。」
なぜかジトっとした目のままこちらを睨む。怖い。
「予定変更です。今日はこのままデートしましょう。」
「えっ」
「行きますよ」
「えーっ」
……恋人というテイ、ではなかったのか。と突っ込みを心の中でいれつつ。
まぁ、今日だけはいっか。と、意外といろいろな表情をみせてくれる竜崎と、一日、遊びまわった。
…
…
そうして帰り際、冬だから陽もあっという間傾いてきて、肌寒くなるころ。
「夕陽、最後に一つだけ。」
並んで歩いていた竜崎が、ふと立ち止まってぽつりと言った。
一歩先をあるく形になった私は、彼を振り返る。逆光でまぶしくて、竜崎の表情はよく見えない。
「ん、なに?」
海風で顔にかかる髪をよけながら、私は聞き返す。
オレンジ色に縁どられた夕陽の中で、竜崎はにやりと笑った気がした。
「りゅうざ、」
たった一歩の距離だった。
息をつく暇もなく、文字通り、私の言葉は竜崎に遮られた。
「ん…」
体温が伝わり、胸が締め付けられるようだった。自分がどこに立っているのかさえ、分からなくなりそうだった。
竜崎は最後に私の頬をそっとなぞると、ゆっくりと離れた。
距離がつかの間、ゼロになった。それだけで十分だと言わんばかりに。
その一瞬で、名残惜しいほどにあっさりと竜崎は離れていく。
「これで、今日を終われます。」
私はまぶしさに目を細めながら、逆光の中の、優しい声のほうを見た。
「……夢じゃない、よね?」
泣きそうになりながら、私は聞き返す。
竜崎は私を追い越して振り返ると、ちゃんと見えるところで優しく微笑んだ。
「ええ、ちゃんと現実です。……さぁ、帰りましょう。ワタリが待っています。」
探偵はひとりぼっち。
そんな物語に、紛れ込んだファンタジー。
約束の未来が来るように、願おう。
雨が降ったら傘をさして、
アイスとチョコレートとクレープと、
甘いものでも食べながら、もっと一緒にいろいろなところに行けますように、と。