第二章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆接近
コンコン、とドアが叩かれた音がした。
「ん、んんー」
重い両瞼を持ち上げる。
真っ暗だった。だが、それがただ布団の中に潜り込んでいただけだからだと気づく。私はもぞもぞと布団をはいで外に出ようとする。
「ぷはっ」
もう朝になっちゃったんだ。だって目の前には青空と同じような空色の
空色の、
ジーンズが……?
「まだ夜中ですが。夕陽、おはようございます。」
目の前には青空と同じような空色の
空色の、
ジーンズが……?
「まだ夜中ですが。おはようございます。」
驚くべきデジャブに視線を上げると、にやりと人差し指をくわえた竜崎がいた。
「!!」
__またかこの男!
ここでびっくりして叫んでも、どうせまた「はだけてます」とか言ってからかうに決まてるんだ。布団よし、はだけてない確認よし。ここは余裕をたたえて笑ってやろう。
「おはようございます。待ってましたよ?」
自信たっぷりにどや!とにこにこしてみせる。もちろんからかい損ねて拗ねた様子の竜崎がみられるのを期待してである。
「……」
だが、どうしてか竜崎は表情を一切変えない。というよりも、微動だにしていない。
相変わらず、指をくわえてニヤニヤである。
「…竜崎さん?」
「なるほどそうですか。」
「…は?」
「夕陽、大胆ですね。では隣に__」
「______!!!!」
……
このあと私が絶叫したのはいうまでもない。1000回くらい「違う」と繰り返した気もする。竜崎は勘違いした訳でもなんでもなく、ただ単に私をからかい返しただけなのだろう。本当に負けず嫌いにも程がある。
「一回は一回です。」
「勝ち負けなの?」
「はい、私の勝ちです。…あぁ罰ゲームが必要でしょうか?」
「い、いい!…ごめん、ごめんて!すみません!」
ベッドの中で布団にくるまったままの私と、そこに冗談のようにギシっとおとをたてて近づいてくる竜崎だった。さすがに焦る。
「………そういうところです。」
ふと、竜崎が落ち着いた口調になる。
からかうのはもう十分、と思ったのか、ベッドサイドの小さな椅子に、両足ごと座るようにした。
久しぶりに冗談で話をできて、私もちょっとだけ安心した気持ちになった。
「竜崎、話ってなに?」
布団にくるまったまま、尋ねてみた。部屋のなかは読書灯が一つ灯っているだけで薄暗く、音をたてるものは何もない。すごく静かな空間であることに、今更気づいた
「えぇ、そのことなんですが…今後は、キラと直接接触していくことになります。」
「キラ……もう、目星がついているんだね。」
「はい。正確に言うと、”彼”がキラである確率は数パーセントですが、0パーセントでない人間は、”彼”のほかにはいません。」
私は、「そうか」と受けいれるほかになかった。
これは、必ず必要となる未来であり、もしもこれが物語なのだとしても、必要な”展開”なのだ。いよいよか、と心配になる気持ちもあるが、ここで彼を止める選択肢はない。
「そっか、私、力になるよ」
「……おどろきました。」
そういって、竜崎は目を丸くする
「ん?」
「てっきり止められるかと考えていました。」
「あはは、止めても行くでしょ?竜崎は。」
竜崎は心底意外そうに、親指を口元にあてたままこちらを見つめる。それを見ていたら、すこしだけ可笑しくなってしまって、ちょっぴり笑ってしまった。すると、竜崎はただこちらを見ながら、遠くを見るようにして目を細めた。
「…いえ、以前、のことですが」
「?」
「夕陽は、貴方は…ひどく、私の身を案じてくれたので」
そこまで言うと、竜崎にしては珍しく、言いづらいことを話しているようにして、その視線を私から逸らすようにした。
「今回も、と…」
最後はとても小さい声だった。そして、横を向いたまま親指の爪をがりっと音がしそうに噛みはじめる。
その発言の意図についてはくみ取れるものではなかった。だけれど、子供のようなしぐさについては、場違いにもちょっぴりだけかわいいと思ってしまう。…とりあえず、訂正しようかな。
「竜崎」
名前をよぶと、彼はそっぽを向いたまま、最低限の横目でこちらの様子を窺うようにした。
「それって…竜崎が、まえに、捜査本部と合流するって言ったときのことだよね。」
一旦言葉を区切る。おそらく、「そうだ」ということなのだろう。竜崎は静かに、なにも言わない。
「あれは、もちろん、竜崎が心配だったんだけど、……それよりも、」
そこまで言って私は「むぐぐ」と言ってしまいそうに言葉に詰まる。
__…一言で何気なく言うつもりだったけど、なんだか恥ずかしい。
「私が竜崎を、守りたかったの。……えっと、だから、一人だけ安全な場所にいるのが我慢ならなかったっていうか。」
__言いづらく、恥ずかしく、気恥かしくもあったけれど。
どうしてか、あえて遠回しに話したり誤魔化そうとは思えなかった。
「そんな感じ!…えへへ」
言い切って、せめてもの照れくささにちょっとだけ微笑んでみると、いつの間にか真正面からこちらを見ていた竜崎が目を大きくした。
「夕陽、貴方は…」
ずいっと、こちらに身を乗り出し、なぜか距離がどんどん近くなってくる。
竜崎はもう椅子からはとっくに立ち上がって、両手を私の座るベッドにかけている。
「り、竜崎?!」
__近いよ!
「あまり私らしくないですが。」
___?!?!
「!!!??!!」
「……おとなしくしててください。」
「いや、あの、はい…」
今まさに、何が起きてるかというと、言語化すると、端的に言って、「なでなで」であった。
__らしくないし、意味わからないし、嬉しいし??!!
「……」
竜崎は微笑んでいる。
「あ、あの、あのあの、竜崎!」
「…なんですか。」
耐え切れなくなって、頭を思わず両手で押さえ、ベッドのヘッドボードまで後ずさる。なでなでのまま右手を宙にかざした格好の竜崎は、あからさまにじとっとした視線になる。
「えと、その、話って、いまの件だけ?」
「…………………………………………そんなことですか。」
「そんなことって!」
__間が長いです!大事な話をそんなふうに言っちゃっていいの?いまのなでなでがそんなに大事!?
何かを話しているときに遮られるのは嫌って聞いたことあるけど、これもそう?
混乱が抜けない私は、思わず場違いに心の中で叫んでしまう。
「…いえ、簡単なお願いをしようと思っていました。欲しいものがあります。」
「つまり、私に、お使いのお願いってこと?」
聞き返すと、ベッドにもたれていた竜崎は立ち上がり、いつも通りの様子でポケットに両手をいれた。
「お使いではない、”お買い物”です。明日、一緒に、二人で行きましょう。」
見慣れた、いつも通りの不敵な竜崎がそこに居た。
……どうやら、明日は、竜崎と二人でお出かけのようだ。