第二章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆意識
そうしてあっという間に3日たち、ナオミさんの件についてはどうにかうまく回ってくれたようだった。竜崎が考えていることはもちろん現実ではサイレントだが、ほどなくして夜神家、そして北村家への監視カメラの設置が決まった。
私もどうにか捜査本部に溶け込むことができている。部屋自体に出入りはするため、モニターをみることは可能ではあるが、監視自体にはもちろん私は積極的には関与していない。松田さんからせめてもの配慮、として私の参加も提案されたものの、私はお断りすることにした。夜神さんも私でなく、竜崎が監視することを受け入れた。
「クレープですか、なるほど」
私は相変わらず、スイーツ係だ。
最近では、簡単に自分で作れる焼き菓子に挑戦することもある。
仕事には慣れたものの、やはり竜崎ひとりにスイーツとお茶を提供するのは気が引けたので、仕事量は捜査員の人数分、数倍に増えた。けっこう大変だ。
……だけれどもやはり、一番最初に渡さないと竜崎はすねてしまう。
「おいしそうなメロンが売っていたので、クレープかなーと。」
とはいっても、メロンクレープなんてそうそう売っているイメージはなかった。おいしいかなぁ、なんて心配しつつ、私は沢山焼けた分、順番に捜査員の方にも配ろうとした。しかし新たな皿を片手にもった瞬間、竜崎についーっと袖を引っ張られた。心の中で「はいー?」とびっくりする。竜崎のこういう行動にはまだ慣れない。
私は落としそうになったお皿をかばいながら、大げさな動きになりつつ、竜崎のもとへ戻る。
「あ、はい、竜崎?」
「この味……かなり私の好みと言えます。」
「ほ、ほんとに?!……それは良かったです!」
「ちなみに、クレープの焼き色は砂糖の量で変わります。」
「へー、そうなんだ!竜崎はどれくらいの焼き加減が好きですか?」
「これくらいが丁度いいれふ。」
「ほんと?やったー!」
我ながらきらきらと喜んで周りが見えなくなっていたようで、遠くから「ごほん」と咳払いが聞こえた。相沢さんの声だった。
配慮に欠けていた!そう思って、夜神さんへ声をかけようとしたが、
「いや、大丈夫だ。”いつものこと”だからな。……私ももらっていいか夕陽くん」
「も、もちろんです!」
……夜神さんは聖人です。気を使わせてしまってごめんなさい。相沢さんも、夜神さんを気遣う優しい方です。すみませんでした。
一人反省しながら一人一人にクレープを盛り付けて渡していった。
正直な話をすると、私は竜崎に話しかけられて嬉しくなってしまっているのだった。
少し前まで、「そこに座っていてください」なんて言われて、隣でからかわれていたはずなのに、もう随分と昔のように感じられた。捜査本部には竜崎とワタリさん以外の人物が出入りし、キラ事件は緊迫した状況であり、とてもじゃないが私にかまっていらる時間なんてない……
ちょっと待って、何を考えているのだろう私は。
それじゃまるで自分が竜崎にかまってほしいみたいじゃないか。
こんな切迫した状況なのに、そんなこと考えてられない。
そうそう、仮に、仮に若干そう思っちゃったとしても無視しなきゃ。
公私混同よくない!
……でも、私の行動全般、はじめから一貫して私情であること自明だし……
あれ、よくわからなくなってきた!
「夕陽ちゃん!コーヒーまだあるかな?」
「……はい!えーと、まだありますよ!はいおかわりどうぞ松田さん!」
「えへへ、ありがとー。」
私を現実に引き戻してくれたのは松田さん。彼の笑顔にはほっとさせるものがある。緊張感がないなんて言うけれど、あのマイペースさは皆に必要なものだと思った。
そう、ここには松田さんがいて、夜神さん、相沢さん、模木さん、宇生田さんだっている。ここは捜査本部、自分の行動ひとつがどう影響するかわからないんだ、そう言い聞かせて両手で頬を抑えた。
「夕陽」
竜崎に声をかけられた。今度は袖を引っ張られていない。
真後ろからゆるっとこちらを見下ろす竜崎がいた。片手にはなぜか角砂糖を二本の指でつまんでいる。
「今夜、みなさんが帰られたら、お話があります。」
「今夜? はい、わかりました。」
みなさんが帰られたら、という点で一瞬だけひっかかるも、「あそっか、監視カメラは、今日までで撤去するんだったな」ということを思い出した。どうやら私の見ていないところで夜神月はポテチのトリックを実行して、監視をかいくぐったようだった。
久々に捜査本部が静かになる。このタイミングで、自分個人に用事があるというのは、一体なんの話をするのだろう?そこにいるのは竜崎だけなのだろうか。それともワタリさんも居合わせているのだろうか。ちゃんとお茶でも淹れたほうがいいかな。
「あーあー」
余計なことを考え始めてしまっていることに気づき、私は妙な声をだして無理やりかき消した。
「喉でも痛いんですか」
「!!」
竜崎はまだ後ろに立っていた。不思議そう、というよりはどうでもよさそうと表現したほうが近い表情で、親指を口元に持ってっている。勝手に一人で思考を始めてしまって、完全にマイワールドだった。
「あ、はい、ちょっと…あーあー、あ、あの一旦部屋に戻りますね!」
私はとっさに喉のあたりに片手を添えて再び声を試すようなふりをした。しかし即座にそれが場違いで迷惑な行為だと感じ、出入り口の方へとカートを押し始めた。不審だろうか、気にしすぎだろうか。竜崎は立ったままこちらをただ見ていた。単に自分の気にしすぎかもしれない。
「はい、それではまた後ほど」
竜崎が指をくわえたまま確認するように言った。わたしは「はーい」と言って、逃げるように捜査本部を後にした。