第二章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆幕間の夢とフィクション
「こんにちは、”夕陽”。また会ったね。」
「なにをびっくりしているのかな」
「ん?これは夢のはずなのにはっきりしすぎだって?」
「そうだね。夢だけれど、大事な大事な"私たちの時間"だからね。ぼんやりしてる暇なんかないよ」
南空ナオミを助けたその日、私はまた前日夢に出てきたその声と出会った。
だけれど今回は、はっきりしている。というか、声、ですらない。ひとりの少女がゆらゆらと目の前に浮かんでいて、はっきりと自分に向けて話しかけてきている。
「どうしたの?わたしの姿が気になる?私がだれなのか、気になる?」
彼女ははっきりと姿を現していた。なにか言葉を発するたびに、柔らかく微笑む。
彼女は、夢の最後で、私と意識が一体化していたほうの少女だとわかる。なぜならば、と私はその顔を注意深く見つめた。
「……そうだよね。うん、ごめんね。私達同じ顔だもんね。気になっちゃうよね。」
じゃあ、ちょっとだけ解説。といって彼女はあぐらをかいてこちらを向き直った。
きらきらと瞳が光って、風もないのにその髪が揺れた。どこか人間離れしている雰囲気をもっているな、と思った。
「私は記憶。記憶は、その人が生きてきた証。その人そのもの。空って呼んでね!」
そう、私の鼻先を指さして彼女は言い切る。その言葉が全く理解できなくて__というよりも、自分の状況に落とし込めなかったせいで、きっと私は難しい顔でもしていたのだろう。
あはは、と彼女は笑う。
「もうそんな顔しないでよ!夕陽は真面目すぎるんだよー。大事な話があるっていったでしょ?これはさして重要なことじゃないから。どうせ、わたしももうすぐで消えちゃうしね。」
一人で話をすすめる、空と名乗った少女に、私は、なにも言うことができない。
身振り手振りはできるのに、なぜか言葉だけが、抑え込まれている。
「お願い。失敗しないで。」
失敗。
その言葉に、心が揺り動かされる。
「”わたし”は、もうすぐ、あなたに話しかけることもできなくなっちゃうから、話せるうちに、話したかった。」
「ねぇ、”夕陽”……手を伸ばして、これを受け取って」
脈絡なく、手を伸ばせと言われて躊躇しいていると、なんの不思議な力かで、強制的に腕が操られ、空のほうに延ばされた。
「はい」と言って渡されたのは、チェーンのついた、開かれた本の形のペンダントだった。大きさで言えば、ドッグタグを半分にしたくらいの、すごく小さいものだ。
「こんな形になっちゃったけれど、ちゃんとあなたのノートだから。……ほら、ちゃんと”私の名前”も書いてあるでしょう?」
なんのことを言っているのだろう。
私のノート?
彼女の名前、ということは……仮に、同じ姿かたちである空が私の記憶そのものであり、そこから生まれた夢の登場人物なのだとしたら……このペンダントには私の本当の名前が書いてあるのだろうか。「空」それが本名で、ここに書かれているとでも?
小さなモチーフに目を凝らすが、そこには折れ曲がった小さな彫刻のようなくぼみが走るだけで、とても文字には見えなかった。
「……小さすぎて、つぶれちゃって読めないか。あはは。」
そんなことどうでもいい、とでも言わんばかりに、空はあっけらかんと笑う。
そしてすっと真剣な表情になる。
「そのノートは、いまはもう使えない。だけれど、世界の境界がこうして曖昧になる夢の中なら、ちょっと違う役割を持って、あなたのヒントにはなるはず。」
「首にかけて、”ページを開く”と頭の中で考えて」
言葉が出ないので、言われたとおりにペンダントを首から下げ、心の中で「ページを開く」と念じてみた。
___!!!
「あはは、ナニコレ?って思った?」
「それは私たちが知るストーリー、あの人たちの世界、そして物語。」
得意げな彼女の様子。
ペンダント自体には変化がなかったものの、言われたとおりにすると、それ自体が光でできているような、淡く光る半透明の本が目の前に浮かびあがったのだった。
「その本、ちゃんと手に取れるよ。めくってみて」
急いで手に取ると、感触はふつうの紙でできた本となんら変わりなかった。
ページを開くと、ちゃんと中身はよみとれる。半透明ではない。
そして、いわゆるコミックの形態だった。
「ちゃんと手に取って見れたほうがいいでしょ?……あの女、南空ナオミ、このままじゃダメだよ。」
「その物語を、”DEATH NOTE”を、もういちど読んで、考えてみて。」
驚いたのは、そこに紡がれる物語は、唯一自分が持っていた記憶__竜崎や捜査本部の人間、そして死神リュークやまだ会わない人々のものだった。いままで「なぜか知っている」として記憶にあった知識が、”DEATH NOTE”というタイトルのもとに、一つの物語として、手の中に存在している。
__ここでは、彼らは、__竜崎は、まるで、本の中の架空の人物だ。
どうして漫画の形をとっているのか、という疑問もわいたが、竜崎たちが静止画として描かれている様子は不思議としっくりくるものだった。
もしかして、と私はページをぱらぱらと進める。
そして、見てしまった。
”__みなさん、しにがっ_”
大きく、そしてそれがいかにも衝撃的なシーンであるかのように。
”彼の死”は、はっきりと描写されていた。
ドクン、と心音まではっきり書き込まれていて。
耐え切れず、私は膝をついた。
これじゃまるで、全てが物語の中での出来事のようじゃないか。
まるで、
__まるで、”こちら側”からみているだけの私では、無力だといわんばかりに……